リノリウムとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > デジタル大辞泉 >  リノリウムの意味・解説 

リノリウム【linoleum】

読み方:りのりうむ

亜麻仁(あまに)油の酸化物松やにコルク粉などを混ぜて麻布圧延付着させて乾燥したもの床敷き・壁張り材などにする。


リノリウム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/19 06:14 UTC 版)

リノリウム (linoleum) とは、亜麻仁油(あまにゆ)などの乾性油を加熱酸化させたものに、コルク粉や顔料ほかを混入し麻布に圧着して作る床仕上材である[1]。インテリア素材としても使われる。1863年、イギリスのフレデリック・ウォルトンが発明した[2]。塩化ビニールなどの床材に取って代わられていたが、エコロジーの観点から見直されている[1]

名称

リノリウムの名は、ラテン語: linum亜麻)と ラテン語: oleum)からなるかばん語である。発明者フレデリック・ウォルトン (Frederick Walton) の命名で、当初はカンプティコン (英: Kampticon) と呼んでいたのを改名した。

日本における商標権は、スイスのフォルボ・フィナンシャル・サービス社 (独: Financial Services AG) が保有[4]している。

特徴

黄色に染めたリノリウムの断面。

リノリウムは天然素材から製造される建材であり、亜麻仁油(あまにゆ)を煮沸・酸化させて作るリノキシン[5]の他に、ジュート(麻)などの植物繊維の他、ロジン・木粉(コルク粉)・石灰石などから製造される[6]

着色も可能であり、適宜色素を加える場合もある。以上のような原料であるため、施工後少しの間、原料の油分が臭気を残すものの、次第に消失する。

短所として、ポリ塩化ビニル製の建材などに比べて、製造に時間がかかることが挙げられる。また、塩基性の床維持剤や剥離剤を使用すると黄変することがあり、黄変すると回復は非常に困難である。そのため、清掃・維持には中性の物を使用する必要がある。また、表面の油膜が剥がれると浸透性が格段に上がるため、その後の床維持剤の乗りが悪くなることもある。よって、定期作業などの際は硬いパッドは避けた方が良い。

逆に長所としては、天然由来のある種のウィルスに対する抗ウイルス性、ある種の細菌に対する抗菌性、脱臭効果が認められており、それに注目した医療機関や教育施設の床材として使用されることが多い。

また、バレエスタジオやステージの床材として利用されている。バレエは床が滑りすぎると転んでしまうし、滑らなすぎると引っかかって回れないため、適度な摩擦にするのがバレエスタジオにおけるリノリウムの役割とされている[7]

歴史

1860年代に、イギリス人フレデリック・ウォルトン英語版が発明し、その後、世界中で大量に生産されていった。

日本には、加賀藩藩士であった寺西福吉(てらにしとみきち)が、アメリカ合衆国から持ち込んだ。寺西は、1919年に「東洋リノリユーム(東リ)」を兵庫県川辺郡伊丹村(後の伊丹市)で創業した。軍艦甲板などに利用され、日本の軍需産業を支えた。また教育施設などの公共施設の床や、住宅のトイレなどの水回りにも用いられた。ところが、日本では高度経済成長期に、製造に時間のかからないポリ塩化ビニル製の建材などに代えられていった。

しかし、亜麻仁油由来の特定抗ウイルス性と特定抗菌性や、プラスティック使用に伴う環境問題の対策や、シックハウス症候群対策などで再度注目され[8]、21世紀初頭においても、医療機関や教育施設や住宅まで、幅広く世界中で利用されて続けている。リノリウムのメーカーは世界で3社で、全てヨーロッパで生産される。

出典

  1. ^ a b 渡辺優『図解インテリア・ワードブック』建築資料研究社、1996年、175頁。 
  2. ^ 本田榮二『ビジュアル解説 インテリアの歴史』秀和システム、2011、328頁。 
  3. ^ 国際登録0762227-20010703のURL情報
  4. ^ 国際登録 第762227号(スイス連邦基礎登録番号 486529号に基づき)[3]
  5. ^ 本田榮二『ビジュアル解説 インテリアの歴史』秀和システム、2011、328頁。 
  6. ^ マーモリウム』(田島ルーフィング)2020年3月31日閲覧。
  7. ^ バレエを裏で支える人々Vol.2リノリウムの役割と重要性:バレエスタジオ施工専門 アテールに聞く~日々のレッスンをより充実したものにするために~”. バレエナビ (2018年12月14日). 2021年6月24日閲覧。
  8. ^ nissouren.jp”. 2009年8月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年11月6日閲覧。

「 リノリウム」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「 リノリウム」の関連用語

 リノリウムのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



 リノリウムのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのリノリウム (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2024 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2024 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2024 GRAS Group, Inc.RSS