CD-ROM2 CD-ROM2の概要

CD-ROM2

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/27 06:20 UTC 版)

PCエンジン > CD-ROM2
CD-ROM2
TurboGrafx-CD

CD-ROM2(上)、TurboGrafx-CD(下)
メーカー NECホームエレクトロニクス
種別 据置型ゲーム機
世代 第4世代
発売日 1988年12月4日
1989年8月29日
対応メディア CD-ROMCD-DA
対応ストレージ バッテリーバックアップ
売上台数 202万台(SUPER CD-ROM²と合算)
最高売上ソフト 天外魔境II 卍MARU /50万本
次世代ハードウェア SUPER CD-ROM2
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欧米市場ではTurboGrafx-CD(ターボグラフィックスシーディー)の商品名で発売された。

家庭用ゲーム機としては世界初となる光学ドライブを搭載し、CD-ROMをゲームソフトとして採用したプラットフォームである[4]

CD-ROM2及びSUPER CD-ROM2の普及により、PCエンジンのソフト供給はCD-ROMへ移行していく事になる。

沿革

1987年10月1日インテックス大阪で開催された「'87エレクトロニクスショー」でプロトタイプとなるPCエンジン用CD-ROMユニットが初出品される。この時出品されたCD-ROMユニットは本体が青色で、CD-ROMドライブとインターフェイスユニットは一体化されており、PCエンジンはフロント右側に空けられたベイに挿入する形状だった[5]。CD-ROMドライブはキャディカートリッジを使用したフロントローディングが採用されていた。デモ用のソフトとしては「大通公園殺人事件[6]」という、画面がスチル写真アドベンチャーゲームが使用されていた。

1988年6月16日にはプレス向け発表会を実施。続けて1988年6月16 - 19日に開催された「'88東京おもちゃショー」で一般公開された。形状は製品版とほぼ変わらないが、PCエンジンユニットが挿さる部分のサイド形状や各所のシルク印刷に若干の違いがあった。この時点で『天外魔境』は本体と同時発売と発表された。

発売時にはストリートファイターの家庭用初移植となる『ファイティング・ストリート』と、世界初の芸能人の実写画像や生音声による歌を収録したゲーム『No・Ri・Ko』がロンチの目玉となったものの、非常に高価なシステム[注釈 2]であったため当初はほとんど普及しなかった。その後、1989年6月発売の『天外魔境 ZIRIA』を皮切りに、同年12月発売の『イースI・II』、1990年3月発売の『スーパーダライアス』など人気タイトルを連ねることでCD-ROM2の持つ性能が認知され、ゲーム機に高額を投資できるマニア層をメインに普及していった。

成熟期にはHuCARDとCD-ROM2で同一タイトルをリリースし、CD-ROM2版は追加要素を付けて内容を豪華にする差別化も見られた。

ハードウェア

PCエンジン本体背面に拡張バスを持つ機種に直接接続が可能だが、PCエンジンスーパーグラフィックスのみ形状の問題から接続アダプタRAU-30が必須である。

販売時のパーツ構成

発売当時のCDプレーヤーは音響機器扱いで物品税がかけられていた。そのため、課税されるCD-ROMユニット(32,800円)と非課税のインターフェースユニット(システムカード付属、27,000円)を別売にすることで価格を抑えた[注釈 3]。 1989年4月より消費税が導入されたのに伴い物品税が廃止されたことで分ける必要がなくなったため、1パッケージでのセット売りに変更された(セットでの価格は57,300円)。

初期型
CDR-30(CD-ROMプレイヤー)+IFU-30(インターフェースユニット システムカード ver1.0同梱)
中期型
CD-R30(CD-ROMプレイヤー、インターフェースユニット、システムカード ver2.0[CD-G再生機能付])
後期型
CD-R30A(CD-ROMプレイヤー、インターフェースユニット、システムカード ver2.1[CD-G再生機能、CDオートディスクチェンジ機能付])

CD-ROMプレイヤーとインターフェースユニットが同梱して発売された際にCD-ROMプレイヤーは型番を削除された。なお型番の最後に"A"が付けられた物はCDアクセスエラー対策として内部基板などへのアース処理が強化されている。

CD-ROM2

本機発売当時、ファミリーコンピュータロムカセットの容量が数100KBであったのに対して、本機で採用されたCD-ROMは540MBの大容量である。そのため音楽CDと同様にCD-DAによる音楽再生または声優によるアフレコをゲームと同時に出力することが可能になった。またCDは再プレスが容易であり、一度原版ができればロムカセットと比較して低価格かつ量産時間の短縮が実現した。

一方で一度に扱えるデータ容量は本体メモリに依存するためローディング時間が発生する。

仕様

CD-ROMドライブ
読み取り速度は等速 (150KB/秒)で通信プロトコルはSCSI-1を使用する。
本機発売後の1989年11月に発売されたPC-8801MCCD-ROMドライブと同型機であり、PC(PC-8801MCのみ)のCD-ROMドライブとしての利用(その逆も同様)もできる。
PCエンジン本体用のACアダプタを接続することで、ヘッドフォン式の卓上CDプレーヤーとしても使用可能である。フロント部分にCD操作用のボタン、トラック表示LED、ヘッドフォン端子、ボリュームダイヤルが並んでいた。インターフェイスユニットからの給電でHuCARDソフトと同時に再生出力も可能。
インターフェースユニット
SRAMは64KB、ADPCM用DRAMは64KB、ADPCMデータフォーマットは1ch 1Bit(符号)+3Bit(最適化済変位量 沖電気独自形式) 、バックアップ用SRAMは2KBである。
コンデンサを使用してのバックアップ機能(バックアップブースター・天の声2の代わりとしてHuCARDソフトのバックアップユニットとしても使用可能)がある。
AV出力の追加。CD-DA、ADPCM、PCエンジン本体内蔵波形メモリ音源各々の音声信号のステレオ対応独立音量調整出力機能がある。
ADPCM音源沖電気 MSM5205)は当初そのチップ特性によって1秒当たり8KBを消費する割にダイナミックレンジもなく、ヒスノイズを伴い、クリアな音質を得ることが難しかった。そのため、初期CD-ROM2システムの64KBという小さなメインメモリの容量を補うため、プログラム、ならびにデータ用バッファにも転用された。
読み込むデータを指定すると自動的にADPCMバッファに読み込むことが可能。ただし読み込みデータ指定時に一瞬プログラム停止する問題がある(音の停止・動作速度の低下も伴う)。
本来の音源のバッファとして活用されるようになるのは、データに特定のノイズを加算することによって音質を改善する手法が開発された1990年末以降である[7]
システムカード
ゲーム起動に必要な日本語BIOSカード。製作はハドソンが担当。
専用の操作画面による音楽CDの再生やセーブデータ管理のユーティリティー機能がある。ver2.0以降はCD-G再生、ver2.1ではCDのオートディスクチェンジ機能が付いた。
最初期(Version 1.0)のシステムカードには、隠しコマンドとしてバイナリエディタが内蔵されており、本体のバックアップRAMの内容を自由に書き換えることが可能となっていた。
SUPER CD-ROM2やPCエンジンDUOシリーズでは、カードスロットに差し込んで起動すると旧バージョンのシステムとして認識される。これにより旧本体がなくても、SUPER CD-ROM2用ゲームのバージョン違いの注意メッセージや、バージョンアップを促す隠し画面等を見ることができた。
システムカード内には「12x12ドット」と「16x16ドット」のJIS第一水準漢字フォントと、JIS第二水準漢字フォントの一部の約3000文字が内蔵されており、ゲーム中にはこれらのフォントを使用して漢字カナ混じりのテキストをメモリを圧迫せずに標準で使用できた。また、後に発売されたスーパーシステムカードでは、これらのフォントデザインの修正および記号の追加などが施され、旧版よりも読みやすいデザインになっている。ちなみに、スーパーシステムカードでノーマルのCD-ROM2のゲームを起動すると、ゲーム中に使用されているフォントがスーパーシステムカード仕様のデザインに差し替わる。これらのフォント製作は当時のハドソン社内のアーティスト陣が総掛かりで担当した。

注釈

  1. ^ CD-ROMROMと書くのは間違いで、CD-ROMに2乗した形で書く。
  2. ^ CD-ROM2ユニット部分だけで、FDドライブを搭載したMSX2+本体と同じ価格帯。
  3. ^ 税務署からは「CD-ROMソフトもCDなので物品税がかかる」と言われたが、そこは実際のゲーム画面を見せて「児童向けなので非課税」と説明することで回避した。
  4. ^ CD-Rの発売開始は1989年に入ってからであり、極めて高価であったことに加え、一般消費者には殆ど知られていなかった。
  5. ^ みつばち学園』、『鏡の国のレジェンド』、『うる星やつら STAY WITH YOU』など。SCD登場後も『ときめきメモリアル』、『悪魔城ドラキュラX 血の輪廻』、『エメラルドドラゴン』などこのパターンに顕著

出典

  1. ^ a b PCEngine博物館 - ウェイバックマシン(1999年1月16日アーカイブ分)
  2. ^ 名称の由来はCD-ROMとシステムカードROMの2つのROMで動くシステムであることからロムロムとなった。
  3. ^ a b データベース振興センター 1989, p. 85.
  4. ^ PlayStationStore「ゲームアーカイブス」カテゴリ内にて「PCエンジンアーカイブス」を、本日より取り扱い開始”. ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパン ニュースリリース (2007年9月15日). 2012年9月21日閲覧。
  5. ^ PC Engne Prototype”. 2023年2月4日閲覧。
  6. ^ 鯨武長之介『PCエンジン&メガドライブ発売中止ゲーム図鑑』8ページ(三才ブックス、2023年)によると、ゲームは無音で、グラフィックは粗かったという。1987年のエレクトロニクスショーに出展された。
  7. ^ 「読み込むデータを指定すると、指定時に一瞬プログラムが止まるだけで、あとは勝手にADPCMバッファに読み込んでくれる」「一定のホワイトノイズを加算すると、音が良くなり、かつ聞きやすくなる…というのが分かったのは1990年末あたり」Colorful Pieces of Gameより一部引用
  8. ^ 日記みたいな何か(CD-ROM2ギア修理)
  9. ^ ACアダプタ代替。
  10. ^ 知っていると特かもしれない情報。
  11. ^ Parent Frameset 1400_Model


「CD-ROM2」の続きの解説一覧

CD-ROM²

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2010/03/02 03:01 UTC 版)

CD-ROM2(シーディーロムロム)とは、1988年12月4日日本電気ホームエレクトロニクス(NECホームエレクトロニクス)より発売されたPCエンジン用の周辺機器。また、それを用いたゲームソフトプラットフォームの呼称。PC-8801MCCD-ROMドライブとしても使えるためパーソナルコンピュータ用の周辺機器でもある。




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