高温超伝導
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鉄系超伝導体
結晶構造としてはFe(鉄)イオンが正方格子を形成しており、Feの3d軌道がフェルミ面を構成する。Fe同士は金属結合になっていると考えられ[25]、ヒ素などのプニコゲン元素がFeと強い共有結合を作り、構造を安定化させている。このため、電子のドープを行なうと反強磁性スピン配列が消え、超伝導転移温度が高くなるという解釈もできる[26]。
LnFeAsO1-XFXの母物質の一つであるLaFeAsOの測定では、160K(約マイナス110℃)付近で正方晶から斜方晶への転移が起きることがわかっている。この付近の温度では比熱のピークも見られ、La(ランタン)のスピン格子緩和時間が発散してスピン配列が生じている。Feのスピン配列はFeAs平面内でa軸とb軸の長さが等しいが、160K以下では両者の長さに差が生じ、反強磁性的な整列状態になる。これらの結果より、140Kがネール温度に相当すると見られる[26]。
水素化物超伝導体
2015年にドイツのマックス・プランク研究所により、それまで約20年間破られていなかった転移温度の最高記録を約40度も上回る203kが硫黄水素化物によって実現したことにより、2020年現在、高温超伝導体の探求は水素化物に超高圧をかけることに向けられている[27][28]。2019年にはランタン水素化物で超高圧下という条件下ながら従来の銅酸化物超伝導体の転移温度を100℃も上回る、250kを達成した[14]。2020年10月14日、炭素質水素化硫黄(CH8S)が超高圧下という条件下ながら、287.7Kを達成し、超伝導の歴史上初めて水の凝固点を超える発見となった[17]。
応用
YBa2Cu3O7-δの発見で転移温度が液体窒素温度を越えてから、高価な液体ヘリウムにかわって安価な液体窒素を使えることから実用への期待が高まった。しかし加工が難しいことや臨界電流密度を高めるのが難しいことから応用はなかなか進んでいないが、近年[いつ?]はヘリウムの供給不足と価格高騰[29][30]も重なり、高温超伝導体ならではのバルクでの用途が徐々に見出されつつある。応用としては送電線、高周波通信用超伝導フィルター、SQUID、磁界検出器、超電導リニア、米海軍の艦船推進用モーター、核磁気共鳴、MRI[31][32][33][34]など。ビスマス系超伝導体超伝導電磁石を使用した磁気浮上式鉄道の走行実験が2005年11月に実施され、成功した[35][36]。
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