量
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可能な演算による量の分類
順序尺度量
順序尺度量(英: ordinal quantity)とは、取決めによる測定手順によって、他の同種の量との間で大きさに基づく全順序関係を確立することができる量である[2]。順序尺度量の間には代数関係は存在せず、その差や比に物理的な意味はない。順序尺度量の値の目盛によって並べられる。順序尺度量は経験的関係だけを通して他の量と関係付けられるため、通常は量体系の一部とはみなされない。また、測定単位も量の次元も持たない。
- 例
ポテンシャル量
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ポテンシャル量とは何らかの積分として与えられる量である。積分であるため空間上の点と強く結びついている。ここでいう空間とは幾何学的な空間だけでなく、時間を併せた時空や、位相空間や状態空間などのより抽象的な空間も含まれる。 ポテンシャル量の大きさには積分定数に相当する任意性があり、適当に基準点を選び、基準点におけるポテンシャル量の大きさを定めることで、任意の点におけるポテンシャル量の大きさが定まる。基準の選び方に依存して変わるためポテンシャル量の絶対的な大きさには意味がない。その為、同種のポテンシャル量の間での比にも意味がない。 また、基準点に依存するため、ポテンシャル量の和に意味がない場合もある。 一方、ポテンシャル量の差は基準点への依存性が相殺されるため不定性なく定義が可能で、○○差や○○間隔と呼ばれる新たな量を定める。
ポテンシャル量の例としては、山の標高や飛行軌道の高度、重力ポテンシャル、静電ポテンシャル(電位)、温度などが挙げられる。 例えば、標高や高度は一般的に海面を高さゼロの基準に定めて海抜で表される。また、局所的に存在する電荷による静電ポテンシャルであれば、場を生じさせる電荷から無限の遠方においてゼロとなるように選ばれる。摂氏温度は当初は氷点をゼロ基準としたが、現在では273.15Kの絶対温度をゼロ基準として定義されている。
そもそも空間の座標、例えば1次元空間での例として東海道線の駅の位置を東京駅からの線路に沿った距離で表した座標などは、ここでいう間隔尺度的な量であり長さの次元を持つ。座標間の差である位置間隔は長さそのものである。また時間軸に沿って言えば、時刻や日付は間隔尺度的な量であり、時間間隔は比例尺度的な量である。
加法的な量
質量や体積などの素朴な加法が成り立つ量は加法的な量と呼ばれる。素朴な加法とは部分の量の和が全体の量となるということである。例えば、物体Aと物体Bを合わせた物体A+Bの質量m(A+B)は、物体Aの質量m(A)と物体Bの質量m(B)の和m(A)+m(B)となる。 熱力学においては加法性による区別は重要であり、加法的な量は示量性(英: extensive)の量(示量性変数)、加法的でない量は示強性(英: intensive)の量(示強性変数)と呼ばれて区別される。 加法的でない量としては温度や圧力、電場の強度や磁場の強度などが挙げられる[8]。
- ^ この「質」は、あえて言えば「品質」の「質」である。
- ^ [誰?]「性質というものも、複数の「量」を組み合わせて総合的に判断したものと見ることもできる。[要出典]」
- ^ 領域ごと、学問分野ごとに、扱うのは離散量が多いか、連続量が多いか、異なっている。
- ^ なお、量同士の演算においては、これら助数詞も離散量の単位と見なして式の変形などにおいて単位と同様に扱うことが可能である。
- ^ [誰?]「"一定の体系の下で"とは実際上は国際単位系の下でということであり[要出典]、"次元が確定し"とは基本量およびその組立量である[要出典]と解釈できる。これは複数の物理的条件により変動するため測定条件を約束事として定義する工業量との区別を意識した定義であろう。[要出典]」 また"定められ単位の倍数として表すことができる"ということは比例尺度または間隔尺度だと言うことであり、例えば順序尺度でしかないモース硬度はJIS-Z8103の定義では物理量とは言えない。
- ^ 「この物理量の定義は、心理量と比較すれば、測定者によらない物理現象や物質固有の属性であるという点に特徴を見た定義だと言える。[要出典]」心理量は「心理的要素によって評価される量」とされ、測定対象の物理現象や物質が同じでも測定者が異なれば異なりうる量である。
- ^ [誰?]「感覚量は、感覚を生ずる物理化学的刺激の強さとほぼ相関している[要出典] [要検証 ]」と考えている。
- ^ [いつ?] [誰?]「物理的実体はなく、物理量ではないと言える。[要出典]」と言った人がいる? 「ただし「コインの数」「紙幣の枚数」などは物理量であるとも言える。」とも。
- ^ [誰?]は「人為的に定められた量で物理的実体はなく、物理量ではないと言える。[要出典]」とコメントした。
- ^ a b 広辞苑第六版「りょう【量】」
- ^ a b c d e f g h i j JIS Z8000-1 量及び単位-第1部:一般
- ^ a b c d JIS Z8103 計測用語
- ^ 計量学-早わかり 第3版 6.用語集、p.70、Quantity(measurable) の説明、訳編者は産総研 計量標準総合センターと製品評価技術基盤機構 認定センター、2008年7月、ISBN 978-87-988154-5-7(オリジナル版)
- ^ a b 二村隆夫『丸善 単位の辞典』丸善、2002年3月
- ^ Stevens, S. S. (1946). “On the Theory of Scales of Measurement”. Science 103 (2684): 677–680. Bibcode: 1946Sci...103..677S. doi:10.1126/science.103.2684.677. PMID 17750512 .
- ^ 新計量法とSI化の進め方-重力単位系から国際単位系(SI)へ- pp.8-11、通商産業省 SI単位等普及推進委員会、1999年3月発行
- ^ 長倉三郎、他(編)『岩波理化学辞典-第5版』岩波書店、1998年2月
- ^ a b c d e f g h i j k l ブリタニカ百科事典
- ^ NIST Guide to the SI 8 いくつかの量とその単位についての注
- ^ 「IUPAC 物理化学で用いられる量・単位・記号 第3版 日本化学会監修 産業技術総合研究所計量標準総合センター訳
- ^ a b c 遠山啓(Toyama, Hiraku)『遠山啓著作集数学教育論シリーズ(6)量とはなにか』太郎次郎社、1981年7月,p16,69
- ^ a b 銀林浩『量の世界-構造主義的分析-』むぎ書房、1986年
- ^ 星田直彦『単位171の新知識』講談社ブルーバックス、2005年 ISBN 4-06-257484-5
- ^ 久保和良『量の理論とアナロジー』コロナ社、2021年、42-43頁。ISBN 9784339033830。
- 1 量とは
- 2 量の概要
- 3 量体系
- 4 可能な演算による量の分類
- 5 各領域とさまざまな量
- 6 誘導方法等による分類
- 7 量ではない例
「量」に関係したコラム
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