線型写像
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/14 20:53 UTC 版)
線型写像の連続性
一般に無限次元のベクトル空間を扱うとき、空間には付加的な構造として位相が定められているのが普通であり、そのような空間では線型写像の連続性を考察することができる。有限次元空間上の線型写像は必ず連続であり、したがって不連続線型作用素の概念は特に無限次元の場合において意味を持つ。
バナッハ空間のようなノルム線型空間では、線型写像がノルムの定める距離に関して連続となることと、そのノルムに関して有界となることとが同値である。
ノルム空間 X 上の可微分函数全体の成す空間 C1(X) に上限ノルムを入れて考えるとき、函数の微分は作用素として有界でない(つまり、0-値函数の微分が常に 0 であるにもかかわらず、値の十分小さい函数でも導函数の値が非常に大きくなるということが起こりうる)。また、可微分函数の微分は必ずしも微分可能ではないから、始域よりも終域のほうが大きく、故に函数の微分は連続にならない。
脚注
注釈
参考文献
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- 齋藤正彦『線型代数入門』東京大学出版会〈基礎数学1〉、1966年。ISBN 978-4130620017。
- 佐武一郎『線型代数学』裳華房〈数学選書1〉、1974年。ISBN 978-4785313012。
- Halmos, Paul R. (1974), Finite-dimensional vector spaces, New York: Springer-Verlag, ISBN 978-0-387-90093-3
- Lang, Serge (1987), Linear algebra, New York: Springer-Verlag, ISBN 978-0-387-96412-6
関連項目
- ^ 一次の微分形式(一次微分形式もしくは微分一次形式; differential one-form)を単に「一次形式」または「1-形式」(one-form) と呼ぶこともある。これとの対照のため、本項に云う意味での一次形式を「代数一次形式」(albegraic one-form) と呼ぶ場合がある。
- ^ 加法性から斉一次性が従うベクトル空間もあるが、一般にはそのようなことは期待できない。例えば、実数の全体 ℝ は無限次元 ℚ-線型空間とも一次元 ℝ-線型空間とも見做すことができるが、ℝ 上の加法的函数は必ず ℚ-線型写像となり、しかし必ずしも ℝ-線型でない(この場合はさらに連続性を仮定すれば ℝ-線型になる)ことが示される(コーシーの函数方程式の項を参照)。つまり一般には「加法性」と「斉一次性」は独立した制約条件である。
- ^ 考えている係数体が何であるかは線型性にとって重要である。例えば、複素数全体の成す体 ℂ は ℂ 上一次元のベクトル空間であるとともに、ℝ 上二次元のベクトル空間でもある。各複素数に対し、その複素共軛をとる操作は ℂ 上の ℝ-線型変換であるが、しかし ℂ-線型ではない。
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