線型写像の階数
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/22 03:39 UTC 版)
V, W をベクトル空間とし、線型写像 f: V → W が与えられたとき、f の像 f(V) の次元を線型写像 f の階数と呼び、rk f や rank f などで表す。V や W は一般に無限次元であっても、像の次元 dim f(V) が有限であれば線型写像の階数の概念は意味を持つ。とくに階数有限なる線型写像にはトレースが定義できて、古典群の表現論などで重要な役割を果たす。 V や W が有限次元ならば、行列表現によって f は表現行列 Af の共軛類が対応する。このとき、線型写像の階数と行列の階数との間には rank f = rank Af という関係が成り立つが、行列の階数が正則行列を掛けることに関して不変であることから、この等式の成立は表現行列 Af のとり方に依らない。 ベクトル空間 V, W に対して V が n 次元とすれば、線型写像 f: V → W の階数は n 以下である。実際に、rank f = n となるとき、線型写像 f は非退化(ひたいか、non-degenerate, full rank)であるという。そうでないときには、像 f(V) は f で 0 へ写される元の分だけ「つぶれている」と考えられ、線型写像 f の核 ker f := { v ∈ V ∣ f ( v ) = 0 } {\displaystyle \ker f:=\{v\in V\mid f(v)=0\}} の次元 dim ker f を f の退化次数と呼ぶ。f の退化次数を nl f や null f などで表すことがある。次の公式 dim V = rank f + null f . {\displaystyle \dim V=\operatorname {rank} f+\operatorname {null} \,f.} が成立し、階数と退化次数の関係式あるいは簡単に階数・退化次数公式などと呼ばれる。
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