出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/14 20:53 UTC 版)
行列表現
ℝ2 における線形変換行列の例
反時計回りの90度回転
|
反時計回りのθ回転
|
x 軸に関する反転
|
y 軸に関する反転
|
すべての方向に長さ 2 倍
|
squeeze 変換
|
水平方向に剪断
|
y 軸への射影
|
成分を体 𝕂 にもつ m 行 n 列の行列をA とするとき、f(x) = Ax (x ∈ 𝕂n) は数ベクトル空間 𝕂n から 𝕂m への 𝕂-線型写像を定める。これとは逆に、V と W が有限次元のベクトル空間で、それぞれの空間の基底が選ばれているならば、各ベクトルをそれらの基底に関する成分表示と同一視できるから、V から W への任意の線型写像は行列として表すことができる。このことは、具体的な計算を可能にするという点で便利である。
V の基底を 、 W の基底をとおく。
Vの要素の線型写像 f: V → W について、線形性の定義から
が成り立つ。各基底の行き先 f(vj) が分かれば、この写像は一つに決まる。このとき
となるスカラー aij を (i,j)-成分にもつ行列を Af とすれば、この写像は、
と書くことができる。基底の変換
を行うとき、P, Q は正則行列で (v′1, …, v′n) = (v1, …, vn)P, (w′1, …, w′m) = (w1, …, wm)Q であり、
が成立するから、表現行列は Q−1AfP に置き換わる。
適当な基底を固定して各線型写像 f: V → W に対応する行列を Af と書けば、
が成り立つから、特に 𝕂 上のベクトル空間 V, W の 𝕂 上次元がそれぞれ n, m であるとき、
というベクトル空間の同型が成り立つ。また、合成に関しても
(右辺は行列の積)となるから、特に V = W のとき
は結合多元環の同型になる。これらの同型が成り立つことをもって、線型写像が行列によって表現されるという。