線型写像
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/14 20:53 UTC 版)
核・像と全射性・単射性
線型写像 f: V → W に対して
をそれぞれ、f の像 (image), 核 (kernel) という。これらはそれぞれの空間の線型部分空間であり、またこれらの次元
は f のそれぞれ階数 (rank), 退化次数 (nullity) と呼ばれ、有限次元のときには
なる等式を満足する(階数退化次数定理)。
は f の余核と呼ばれる。核および余核は線型写像 f のそれぞれ単射性および全射性からの「ずれ」を測るものと考えることができる。即ち、
- f が単射であるための必要十分条件は Ker(f) = {0} となることであり、
- f が全射であるための必要十分条件は Coker(f) = {0} となることである。
線型写像 f ∈ Hom𝔽(V, W) が全単射であるとき、 f は V から W への 𝔽-線型同型写像あるいは 𝔽 上の同型、𝔽-同型であるという。また、ベクトル空間 V, W の間に線型同型が存在するとき、V と W はベクトル空間として同型であるという。
- ^ 一次の微分形式(一次微分形式もしくは微分一次形式; differential one-form)を単に「一次形式」または「1-形式」(one-form) と呼ぶこともある。これとの対照のため、本項に云う意味での一次形式を「代数一次形式」(albegraic one-form) と呼ぶ場合がある。
- ^ 加法性から斉一次性が従うベクトル空間もあるが、一般にはそのようなことは期待できない。例えば、実数の全体 ℝ は無限次元 ℚ-線型空間とも一次元 ℝ-線型空間とも見做すことができるが、ℝ 上の加法的函数は必ず ℚ-線型写像となり、しかし必ずしも ℝ-線型でない(この場合はさらに連続性を仮定すれば ℝ-線型になる)ことが示される(コーシーの函数方程式の項を参照)。つまり一般には「加法性」と「斉一次性」は独立した制約条件である。
- ^ 考えている係数体が何であるかは線型性にとって重要である。例えば、複素数全体の成す体 ℂ は ℂ 上一次元のベクトル空間であるとともに、ℝ 上二次元のベクトル空間でもある。各複素数に対し、その複素共軛をとる操作は ℂ 上の ℝ-線型変換であるが、しかし ℂ-線型ではない。
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