礫 礫の概要

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/04/16 03:10 UTC 版)

川原の礫

概説

サマセット(イングランド)の礫浜の礫

礫にはさまざまな色やきめのものがあり、石英などの鉱物の縞を持つものもある。礫はほぼ滑らかだが、他の岩石や礫との接触の頻度によっては跡のあるものもある。

土砂のような可動性堆積物によって形成された堆積物海岸は、主成分となる堆積物の種類により、礫浜(礫浜海岸)、砂浜(砂浜海岸)、泥浜(泥浜海岸)に分けられる[2][3][4]。礫浜には波の侵食に対して表面保護特性があり、また動植物に生息環境を与える生態的地位も持つ[5]

礫でできた浜堤が存在する場所もあり、サフォークイングランド)にあるオー川(en:River Ore)の入口のように、礫の土手が移動し航行上の著しい課題となる[6]

大きさによる分類

堆積学に基づく分類

堆積学における(れき、: gravel[7])とは、直径2mm以上砕屑物のこと。よりも大きい。粒子が角張っている場合は、角礫(かくれき、: rubble[7])という。礫が固結してできた岩石は礫岩と呼ばれる。

礫は粒子の大きさによってさらに細分されている。

  • 巨礫boulder) - 径が256mmより大きいもの。
  • 大礫(cobble) - 径が64 - 256mmのもの。
  • 中礫(pebble) - 径が4 - 64mmのもの。
  • 細礫(granule) - 径が2 - 4mmのもの。

粒径2mm以上をひとくくりに礫とするのは、礫と砂とを分類するためであり、礫のうちでも巨礫と中礫・細礫とでは性質が大きく異なる。

地盤工学における分類

土壌分類では、粒径2 - 75mmのものが礫に区分される[8]

火山学における分類

火山学において、火山礫は直径2 - 64mm火山砕屑物のことである[9]

  • 火山岩塊: volcanic block) - 粒径64mm以上で、溶岩のように連続していないもの。
  • 火山礫(: lapilli) - 粒径2 - 64mm。
  • 火山灰: volcanic ash) - 粒径2mm以下。

地球外での生成

火星では礫岩が見つかっており、かつての河床で形成されたものと解釈されている。その礫岩はアメリカ航空宇宙局(NASA)の火星探査車キュリオシティによって発見されたものであるが、含まれる礫の大きさの範囲は砂粒程度からゴルフボール大にまで及ぶ。歩くペースで流れ、踝から腰の深さの川で堆積したと分析されている。[10][11]


  1. ^ 礫(れき)とは? 意味や使い方”. コトバンク. 2023年2月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年4月16日閲覧。
  2. ^ 砂浜”. 海岸林用語集. 日本海岸林学会. 2023年4月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年4月16日閲覧。
  3. ^ 第1回 中長期的な展望に立った海岸保全検討会 参考資料9 用語の解説” (PDF). 国土交通省 (2006年12月27日). 2023年4月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年4月16日閲覧。
  4. ^ 石川の自然 第20集”. 石川県教育センター. pp. 1-2. 2021年9月23日閲覧。
  5. ^ 石の隙間を利用する魚たち”. 独立行政法人土木研究所自然共生研究センター. 2016年11月16日閲覧。
  6. ^ (英語)Ore and Alde, Rivers”. 2016年11月13日閲覧。
  7. ^ a b 文部省学術用語集 地学編』日本学術振興会、1984年。ISBN 4-8181-8401-2http://sciterm.nii.ac.jp/cgi-bin/reference.cgi 
  8. ^ 地盤工学会 (2009年11月25日). 地盤工学会基準書. ISBN 978-4-88644-083-9. 
  9. ^ Fisher, R. (1961). “Proposed classification of volcaniclastic sediments and rocks”. Geol. Soc Amer. Bull. 72: 1409-1414. 
  10. ^ (英語)NASA Rover Finds Old Streambed on Martian Surface”. News. Jet Propulsion Laboratory / California Institute of Technology (2012年9月27日). 2016年11月19日閲覧。
  11. ^ 火星探査車が見つけた丸い小石”. アストロアーツ (2012年10月1日). 2016年11月19日閲覧。


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