宇宙食 日本の食文化と宇宙食

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宇宙食

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/10/03 04:24 UTC 版)

日本の食文化と宇宙食

醤油ラーメン(スペースラム)

JAXAはホームページ上で宇宙日本食に認証された食品(2020年9月時点で24社・団体 45品目)の情報を掲載している[10]日清食品のチキンラーメン、日清焼そばU.F.O.ローソンのからあげクン、ホテイフーズコーポレーションのやきとり缶詰、福井県立若狭高等学校海洋科学科の高校生が研究開発したサバ缶などが紹介されている。

日本の食品は特別食・一般食として、多数が宇宙で食されている。例としてはたこ焼き赤飯みそ汁などが挙げられる。変わったものとして、STS-65ミッション時に向井千秋が公募して持ち込んだ、菜の花のピリ辛あえなどがある。

前述のとおり、特別食の場合は一般食と比較して多少緩い制限で持ち込みが許可されるが、食品の性質によっては却下される場合もある。毛利衛納豆を機内に持ち込めるかアメリカ航空宇宙局に承認を求めたが、臭いの点では合格だったものの、糸を引く点が減点材料となり認められなかったという。

せんべいなどは粉が飛び散ってしまいそうだが、実際に若田光一が特別食として持ち込み、スペースシャトル内で食べている。

宇宙食に不適な食品の代表格としてラーメンがあったが、これも日清食品中央研究所が「スペース・ラム」という名称で実際に開発したインスタントラーメン野口聡一が持ち込んでいる[11]。この「宇宙ラーメン」とも呼ばれるスペース・ラムはカップヌードルをベースとしているが、一般に食べられているカップ麺とは少々異なり、袋の中に摂氏約70度と低温の湯で柔らかくなる円筒状にまとめられた麺3塊が入っており、これに湯を注入、所定時間置いてから袋を破って円筒状になった麺をフォークや箸で食べる。

スープは飛び散らないように粘度が高く、少量で麺にまぶす程度しかないが、満足感を増すために、やや香辛料を効かせた味となっているという。なお、しょうゆ・みそ・カレー・とんこつと4種類の味が用意されている。

また、かけそばどん兵衛)や焼き鳥土井隆雄が持ち込んだ。そばもスペース・ラムと同様に低温のお湯で戻すことが出来、麺は3個の塊になっている。これらの食品の開発も日清食品が担当した。

なお、前述のとおり、宇宙航空研究開発機構が食品会社と共同で認証審査および選定を行った宇宙日本食は、ISSの一般食に採用されており、2008年からは通常メニューとして宇宙日本食を食べることが可能になった。主なメニューとしては前述のスペース・ラムをはじめ、おかゆや日本式のカレー、サンマの蒲焼や緑茶などがある。この宇宙日本食は他国の飛行士にも人気があり、野口の食料としてISSに持ち込まれた宇宙日本食を、他国クルーが前任日本人クルーの若田光一の置きみやげと勘違いして、一部を喜んで食べてしまう珍事も起こっている。ただし宇宙食はもともと多めにあり、輸送も頻繁なためミッションに影響はなかった[12]

スペースシャトルのボーナス食

スペースシャトルへの日本人クルー搭乗ミッションでは、これらクルーの栄養維持やリフレッシュ用などに、その宇宙飛行士個人の好物が「宇宙日本食」以外にも特別メニューとして積み込まれる[13]。これらは日本人クルーの分だけではなく、他のクルーが消費する分も用意され、いわゆるコミュニケーションツールとしての側面を併せ持つ。日本食とされているものの、和食に限定されず、日本の家庭料理で一般的に取り入れられている料理なども含まれる。(注:以下のメニューの中(2008年以降の分)には一部ボーナス食ではなく、「宇宙日本食」も混じっている模様)

  • 毛利衛宇宙飛行士
    白飯、赤飯、レトルトカレー、梅干、浮かし餅、羊かん、ほうじ茶、オニオンスープ
  • 向井千秋宇宙飛行士
    たこ焼き、肉じゃが、さけの南部焼き、菜の花ピリ辛あえ、五目炊き込みご飯
  • 土井隆雄宇宙飛行士
    日の丸弁当、天ぷらそば、焼き鳥、京風あんかけ五目うどん、お稲荷さん、白飯、白かゆ、たまごスープ、レトルト ポークカレー、シーフードラーメン、イワシのトマト煮、お好み焼き、カレーラーメン、しょうゆラーメン、スペースねぎま
  • 若田光一宇宙飛行士
    白飯、カレー、草加せんべい、ワカメみそ汁
  • 野口聡一宇宙飛行士
    1度目の搭乗時はラーメン、2度目の搭乗時は寿司(ホタテにこだわりがある)、カレー
  • 星出彰彦宇宙飛行士
    お好み焼き、スペースねぎま

  1. ^ 宇宙日本食の申請について” (日本語). JAXA 有人宇宙技術部門. JAXA. 2022年3月13日閲覧。
  2. ^ ISSに電子レンジはありますか”. JAXA. 2013年11月9日閲覧。
  3. ^ a b Mars, Kelli (2020年8月14日). “Space Station 20th: Food on ISS”. NASA. 2022年3月13日閲覧。
  4. ^ Glenday, Craig, ed (2012). Guinness World Records 2013. Guinness World Records. p. 27. ISBN 9781904994879. https://archive.org/details/isbn_9781904994879/page/27 
  5. ^ Lane, Helen W.; Feeback, Daniel L. (October 2002). “History of nutrition in space flight”. Nutrition 18 (10): 797–804. doi:10.1016/S0899-9007(02)00946-2. PMID 12361770. https://zenodo.org/record/1260127. 
  6. ^ 宇宙食”. JAXA SPACE PHOTO MUSEUM. 2010年8月8日閲覧。
  7. ^ 日本経済新聞 2014年2月23日 15面 『若田さんの宇宙発リポート』
  8. ^ “宇宙食も中華料理 「神舟5号」”. 人民日報(日本語版). (2003年10月16日). http://j.people.com.cn/2003/10/16/jp20031016_33212.html 2022年4月22日閲覧。 
  9. ^ 「宇宙日本食」の認証について”. JAXA. 2010年8月6日閲覧。
  10. ^ 認証された宇宙日本食:宇宙日本食 - 宇宙ステーション・きぼう広報・情報センター - JAXA” (2020年9月12日). 2020年9月29日閲覧。
  11. ^ 宇宙食ラーメン「スペース・ラム」 - 日清食品プレスリリース(2005.07.27発表)2017年11月3日閲覧
  12. ^ 東山正宜「野口さんの宇宙食、食べられた 同僚、若田さんと勘違い」『朝日新聞』、2010年2月23日。2010年8月7日閲覧。オリジナルの2021年6月12日時点におけるアーカイブ。
  13. ^ 宇宙日本食の開発 (PDF)”. JAXA. 2010年8月7日閲覧。
  14. ^ ASCII. “宇宙でコーヒー、やはりカップで飲まなくては” (日本語). ASCII.jp. 2022年3月13日閲覧。
  15. ^ 「きぼう」日本実験棟で芸術利用テーマ 「宇宙で抹茶を点てる」が実施されました:「きぼう」での実験 - 宇宙ステーション・きぼう広報・情報センター - JAXA”. iss.jaxa.jp. jaxa. 2022年3月13日閲覧。
  16. ^ Why astronauts are banned from getting drunk in space” (英語). BBC Online. BBC. 2018年11月24日閲覧。
  17. ^ Levkovich, Yevgeny (2017年4月12日). “Space smugglers: How Russian cosmonauts sneak booze into outer space”. RBTH. https://www.rbth.com/science_and_tech/2017/04/12/space-smugglers-how-russian-cosmonauts-sneak-booze-into-outer-space_740566 
  18. ^ http://spaceflight.nasa.gov/gallery/images/shuttle/sts-110/hires/iss004e10096.jpg
  19. ^ 「宇宙食用アイスクリーム」は実はウソだったGIGAZINE記事





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