堅果
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種子散布
ブナ科やクルミ科などの堅果[注 5]は、リスやネズミ、シジュウカラ、カラス、カケスなどの動物によって収集・輸送・貯蔵されることがある(下図6a)。これらの動物の食料となるのは堅果中の種子であるため、食べられた堅果は発芽できないが、貯蔵されながら食べ残された堅果はそこで発芽することがあり、このような種子散布様式は、貯食散布(食べ残し型散布[40])とよばれる[41][42][43][44]。貯食散布される堅果を生産する植物は、堅果の生産量が年によって大きく変動することが知られている[43][45]。これによって、果実食者や果実に対する害虫が増えすぎないようにしていると考えられている。
オニグルミの"堅果"は上記のように貯食散布されるが、果実中に空洞があるため水に浮くこともでき、これによる水流散布も行われるとされる[20][46]。ハスの堅果(痩果ともされる)も空洞をもち、水に浮いて散布される[46]。
サワグルミ属やノグルミ属(クルミ科)の堅果には苞が発達した翼が付随しており[20][33][47](上図6b)、またクマシデ属やアサダ属(カバノキ科)の堅果は大きな苞(果苞)の基部についている[33][32](上図6c)。またカバノキ属やハンノキ属(カバノキ科)では、果皮が翼状に発達することがあり[33][32]、このような果実は翼果ともよばれる[4]。スイバやイタドリ(タデ科)では、小堅果(または痩果)が翼状の花被で包まれている[33]。これらの構造は、風による果実の散布に役立つと考えられている[33]。またシナノキ属(アオイ科)では、複数の花をつけた花梗が苞に癒合しており、そこから形成された複数の堅果が垂下した苞が風散布される[33](上図6d)。
ガマ科の堅果(小堅果、または痩果)は長い果柄の先についているが、この果柄には長い毛が多数生えている。果実は、この毛によって風にのって散布される[38][48](上図6e)。ワタスゲ(カヤツリグサ科)の小堅果(痩果)には花被が変化した綿毛がついており、風にとばされる[48]。
注釈
出典
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