世界忍者戦ジライヤ 世界忍者戦ジライヤの概要

世界忍者戦ジライヤ

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メタルヒーローシリーズ > 世界忍者戦ジライヤ
メタルヒーローシリーズ
通番 題名 放映期間
第6作 超人機
メタルダー
1987年3月
- 1988年1月
第7作 世界忍者戦
ジライヤ
1988年1月
- 1989年1月
第8作 機動刑事
ジバン
1989年1月
- 1990年1月
世界忍者戦ジライヤ
ジャンル 特撮テレビドラマ
原作 八手三郎
脚本
監督 辻理
出演者
声の出演
ナレーター 大平透
音楽 若草恵
オープニング 「ジライヤ」
歌:串田晃
エンディング 「SHI・NO・BI '88」
歌:串田晃
言語 日本語
製作
プロデューサー
制作 テレビ朝日
放送
放送局テレビ朝日系列
音声形式モノラル放送
放送国・地域 日本
放送期間1988年1月24日
- 1989年1月22日
放送時間日曜 9:30 - 10:00
放送枠メタルヒーローシリーズ
放送分30分
回数全50

特記事項:
メタルヒーローシリーズ」 第7作
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概要

ハイテク装備のヒーローを描いたそれまでの「メタルヒーローシリーズ」から一転、本作品では日本古来のキャラクターである忍者をモチーフとし、シリーズ中最も異色の作品となった[1]。さらにその忍者が世界各国に存在し、それぞれが独自に忍法を身につけているという設定は、オリンピックをイメージソースに[2]、本作品の放映時期である1988年に開催されたソウルオリンピックを意識した「世界の忍者版オリンピック」というコンセプトから生まれたもので[3][4]、『世界忍者戦』というタイトルの所以である。前作が愛憎劇をドラマの強化に働かせたことによって3クールで終わってしまったため、本作品では前作同様、キャラクターのバリエーションを継承しつつ、個性の源泉を思想や立場ではなく、能力や出自に由来するものへと変更された[5]。企画時は『世界忍者大戦ジライヤ』というタイトルで、児童誌の予告ページではこのタイトルが用いられた[要文献特定詳細情報]

妖魔一族など一部の例外を除き、作中に登場する世界忍者の多くは人間であり悪人ではない。この個性豊かな世界忍者たちが、敵となり味方となり様々なドラマを生み出すというキャラクター志向の構成は、本作品と同様にフィギュア販売を玩具展開の中心としていた前番組『超人機メタルダー』から受け継がれたものである。また、プレックスの大石一雄によると、この構成は『キン肉マン』と『聖闘士星矢』の影響を受けたものであるという[6]。他方、主人公たちの家族生活にスポットを当てた描写も多く、本来隠されるべき「忍者」という存在と、現代的な家族の明るい描写を巧みに融合させたユニークな作風が特徴の1つになっている。

主人公・磁雷矢のデザインは、それまでのメタルヒーローと異なり、生身の目や指が露出しているのが特徴である[4]。プロデューサーの吉川進によると、磁雷矢はキャラクターデザインを手掛けた村上克司の好みのキャラクターであったといい、村上自身も本作品の企画に際して、それまでの忍者ものが頭巾というだけでパターン化していたことに対し、日本の時代劇でしか出せない良さを今風にデザインしたらどうかと提案したという[6]。また村上は本作品の玩具展開について、番組前半は『メタルダー』同様にフィギュア中心の商品展開で苦戦したものの、後半の「磁雷神」は売れたことを後年のインタビューにて述懐している[6]

前番組の早期終了に伴い、本作品は3 - 4月の放送開始が多かったそれまでのシリーズ作品と異なり、1月の第1週から開始予定とされたが、準備が間に合わなかったこともあり、初回放送はそれから3週遅れての1月24日となっている。過去にバンダイから販売されたメタルヒーローの総集編ビデオ『ジバン誕生!メタルヒーロー大集合』などに収録されないなど、一時期はメタルヒーローとして扱われなかったこともあるものの[注釈 1]、21世紀に入ってからは関連書籍やCDには必ず本作品も含められており、公式にシリーズ作品の1つとして認定されている。

あらすじ

世紀の秘宝“パコ”を手に入れるため、悪の忍者・妖魔一族が行動を開始した。代々パコを守り通してきた戸隠流忍者の宗家・山地哲山は、自分の養子である山地闘破にジライヤスーツを与え、パコを守ることを命じた。闘破は戸隠流正統・磁雷矢(ジライヤ)を名乗り、妖魔一族、そして世界中から挑んでくる様々な世界忍者たちと戦いを繰り広げる。


注釈

  1. ^ 書籍『超人画報』では、個別の作品紹介には『ジライヤ』もメタルヒーローと記述しているが、「東映メタルヒーロー13年史」には『ジライヤ』を含めていない[7]
  2. ^ 同番組が放送された後の2019年12月5日に、演者である筒井が初見より戸隠流忍術第三十五代宗家に指名されている。
  3. ^ 稀に「お兄様」と呼ぶ時もある。
  4. ^ このセリフ回しの多くは須藤のアドリブである[20]
  5. ^ テロップでも火忍チャンカンフーの息子と書かれている。
  6. ^ テロップでも獣忍マクンバの兄と書かれている。
  7. ^ 書籍『全怪獣怪人 下巻』では、名称を紙忍の統領と記載している[29]
  8. ^ 第6話で倒された音忍宇破はバラバラになった五体を繋ぎ合わされてサイボーグとして復活し、第31話で必殺技によって倒された化忍パルチスは第40話で無事生還していたことが判明した。
  9. ^ 前述した設定と同作品にて監督を務めた竹本昇は、アカニンジャーがレーザー刀を発動したのではなく、磁雷矢がレーザー刀を発動させた状態で渡したのだとしている[31]
  10. ^ 竹本は、造形物の構造上銃を抜くことができなかったためとしている[31]
  11. ^ ヘルメットを脱ぐシーンはあるが、全てライブラリー映像で処理されている。
  12. ^ このフレーズは『ニンニンジャー』ゲスト出演時の第34話次回予告でも用いられた[31]
  13. ^ 後に中原は第20話の脚本を執筆している。
  14. ^ 11月6日は「第20回全日本大学駅伝」中継のため放送休止。
  15. ^ 1989年1月8日は昭和天皇崩御のニュース放送のため1週繰り下げ。
  16. ^ 火忍チャンカンフー、漢忍緑龍、音忍宇破、剛忍アブダダ、祭忍ギュウマ、獣忍マクンバ、闇忍デビルキャッツ、水忍シルバーシャーク、灼忍ストローボ、化忍パルチス、宇宙忍デモストの11人。
  17. ^ 一部、未放送の回がある。
  18. ^ 第30話は高校野球中継のため未放映。その後KBS京都での再放送にて、初めて放送された。本作品以降、当該週に高校野球中継が4試合ある場合には未放映エピソードが発生し、かつ別時間帯での振替放送も行われないという状況が、1999年度の『燃えろ!!ロボコン』まで続いた。
  19. ^ 長崎県では、本作品よりメタルヒーローシリーズの放送を開始。
  20. ^ スーツはマスク・手足のパーツ・パンツが新規造形で、胴アーマーとアンダーシャツはテレビシリーズ当時のものを使用している[31]
  21. ^ 劇中では終始ジライヤの姿での登場。

出典

  1. ^ 全怪獣怪人 下 1990, p. 350.
  2. ^ a b c d gvsg 2012, p. 63, 「メタルヒーロー クロニクル」
  3. ^ 常識 2013, p. 14, 「東映"メタルヒーロー"の系譜」
  4. ^ a b c 最強戦士列伝 2014, pp. 88–89, 「総論『ジライヤ』とは何だったのか? 世界の忍者が大乱戦!痛快無比のアクション絵巻」
  5. ^ 特撮全史 2020, p. 48, 「世界忍者戦ジライヤ」
  6. ^ a b c 『宇宙刑事年代記』(徳間書店、2004年3月、ISBN 978-4-19-730103-4)pp90-91、吉川進インタビュー
  7. ^ 超人画報 1995, pp. 26 - 27、188.
  8. ^ 19話での逮捕状の際のデータより
  9. ^ a b c d e 常識 2013, pp. 76–77, 「山地闘破はなぜ「磁雷矢」になった?」
  10. ^ 長潟将光 編『世界忍者戦ジライヤ』勁文社〈ケイブンシャの大百科別冊・ヒーロースペシャル(3)〉、1988年3月5日。雑誌コード 63546-62。 
  11. ^ 村山実編「ギンザ怪獣横丁」『宇宙船』vol.44、朝日ソノラマ、1988年10月1日、110頁、雑誌コード 01843-10。 
  12. ^ TVステーション」(ダイヤモンド社)関東版2015年21号 76頁
  13. ^ a b c d e f g h i j 奇怪千蛮 2017, pp. 200–202, 取材・執筆 サマンサ五郎(チェーンソー兄弟)「DESIGNER INTERVIEW 10 篠原保[1]」
  14. ^ 「特別企画 恐竜戦隊ジュウレンジャーメモリアル座談会 さようなら栄光の戦士たち」『恐竜戦隊ジュウレンジャー スーパー戦隊超全集小学館てれびくんデラックス愛蔵版〉、1993年4月20日、73-77頁。ISBN 978-4-09-101435-1 
  15. ^ 常識 2013, pp. 86–87, 「『ジバン』と『ジライヤ』の世界はつながっている?」
  16. ^ a b c d 奇怪千蛮 2017, p. 152
  17. ^ a b c d e f 奇怪千蛮 2017, p. 154
  18. ^ a b c d e f g h i j 常識 2013, pp. 78–79, 「磁雷矢の仲間になった世界忍者の名は?」
  19. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q 最強戦士列伝 2014, pp. 84–87, 「ジライヤが立ち向かう世界忍者とは?」
  20. ^ 【レポート】忍者系ヒーロー続々登場! - イベント「忍祭」が開催”. マイナビニュース (2008年11月22日). 2013年4月14日閲覧。
  21. ^ a b c d e f 奇怪千蛮 2017, p. 153
  22. ^ a b c d e f 奇怪千蛮 2017, p. 155
  23. ^ a b 奇怪千蛮 2017, pp. 188–189, 取材・執筆 高坂雄貴、山崎優「DESIGNER INTERVIEW_06 村上克司」
  24. ^ a b c d e 奇怪千蛮 2017, p. 156
  25. ^ a b c d 奇怪千蛮 2017, p. 158
  26. ^ a b c d e f 超解析 2018, pp. 108–109, 「復活のヴィランズGUIDE in「スペース・スクワッド」 宇宙忍デモスト」
  27. ^ a b 奇怪千蛮 2017, pp. 160–163, 「世界忍者 背面&武器 COLLECTION」
  28. ^ a b 最強戦士列伝 2014, pp. 82–83, 「世界一の忍者は誰だ?ジライヤのスーパーバトル」
  29. ^ 全怪獣怪人 下 1990, p. 359.
  30. ^ a b c d e f g 最強戦士列伝 2014, pp. 80–81, 「世界忍者戦ジライヤ」
  31. ^ a b c d e f g 「Ninninger Staff Interview 02 竹本昇」『手裏剣戦隊ニンニンジャー公式完全読本 天下無敵』ホビージャパン、2016年6月25日、69-71頁。ISBN 978-4-7986-1248-5 
  32. ^ 全怪獣怪人 下 1990, pp. 351、355.
  33. ^ a b c d 常識 2013, pp. 80–81, 「聖徳太子が作った巨大ロボットがいる?」
  34. ^ a b 奇怪千蛮 2017, p. 151
  35. ^ a b 超解析 2018, p. 107, 「復活のヴィランズGUIDE in「スペース・スクワッド」 紅牙」
  36. ^ a b c d e f 仮面俳優列伝 2014, pp. 199–207, 「第5章 プレイヤーからアクション監督への転身 19 宮崎剛
  37. ^ a b 「『恐竜戦隊ジュウレンジャー篠原保のコメント」『東映スーパー戦隊シリーズ35作品記念公式図録 百化繚乱 [上之巻] 戦隊怪人デザイン大鑑 1975-1995』グライドメディア、2011年12月15日、303頁。ISBN 978-4813021636 
  38. ^ 奇怪千蛮 2017, p. 192, 取材・執筆 サマンサ五郎(チェーンソー兄弟)「DESIGNER INTERVIEW_06 雨宮慶太」
  39. ^ 奇怪千蛮 2017, p. 159
  40. ^ 全怪獣怪人 下 1990, p. 358.
  41. ^ 全怪獣怪人 下 1990, p. 351.
  42. ^ 超人画報 1995, p. 188.
  43. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae af ag 秋田英夫、浮間舟人(構成)「東映ヒーローミュージアム 第18回 世界忍者戦ジライヤ」『東映ヒーローMAX』Vol.27、辰巳出版、2008年12月10日、52 - 58頁、ISBN 978-4777805907 
  44. ^ 登壇者紹介NO5”. 筒井巧 オフィシャルブログ (2018年9月22日). 2019年6月23日閲覧。
  45. ^ a b c d e f g h i j ノンクレジット。
  46. ^ a b c d 仮面俳優列伝 2014, pp. 71–80, 「第2章 昭和から平成へ仮面の下のイノベーション 06 竹内康博
  47. ^ a b 「スーパー戦隊制作の裏舞台 竹内康博」『スーパー戦隊 Official Mook 21世紀』 vol.14《烈車戦隊トッキュウジャー》、講談社〈講談社シリーズMOOK〉、2017年8月25日、32頁。ISBN 978-4-06-509525-6 
  48. ^ 仮面俳優列伝 2014, pp. 81–90, 「第2章 昭和から平成へ仮面の下のイノベーション 07 今井靖彦
  49. ^ 村瀬直志編「[対談]横山一敏×野中剛」『宇宙船』Vol.148、ホビージャパン、2015年4月1日、110頁、ISBN 978-4-7986-1002-3 
  50. ^ 筒井巧オフィシャルブログ 登壇者紹介No4”. 2018年9月23日閲覧。
  51. ^ a b 奇怪千蛮 2017, p. 150, 「世界忍者戦ジライヤ」
  52. ^ 宇宙船178 2022, p. 70, 「[インタビュー]串田アキラ
  53. ^ 手裏剣戦隊ニンニンジャー 忍びの35 キンジ、妖怪への迷路!”. 東映. 2015年10月21日閲覧。

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