リベリア
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/22 14:47 UTC 版)
地理
大西洋に面しており、沿岸部には首都モンロビアをはじめとして港湾都市が点在する。地形は内陸部に行くにしたがって標高が上がっていき、北部にある最高峰のニンバ山の標高は1,752mである。国土のほとんどは熱帯モンスーン気候に属し、非常に高温多湿で沿岸部を中心に熱帯雨林が広がっている。降水量は非常に多く、首都モンロビアの降水量は年5300㎜に達するが、内陸部では2000㎜程度にまで降水量は減少する。河川のほとんどは国境地帯の山岳に端を発して、すべて大西洋まで注ぎ込む。4月から11月が雨季、12月から3月が乾季であり、乾季には内陸からハルマッタンと呼ばれる砂混じりの乾いた風が吹くため湿度が下がる[19]。
地方行政区分
リベリアは全15郡 (County)、そしてモンロビアの連邦区に分かれている。中央政府は郡長を任命し、郡にはさらに地区に分かれ、地区長がいる。また最高部族長と族長、町長がいる。
- ボミ郡(Bomi)
- ボン郡(Bong)
- バルポル郡(Gbarpolu)
- グランドバッサ郡(Grand Bassa)
- グランドケープマウント郡(Grand Cape Mount)
- グランドゲデ郡(Grand Gedeh)
- グランドクル郡(Grand Kru)
- ロファ郡(Lofa)
- マージビ郡(Margibi)
- メリーランド郡(Maryland)
- モンセラード郡(Montserrado)
- ニンバ郡(Nimba)
- リバーセス郡(River Cess)
- リバージー郡(River Gee)
- シノエ郡(Sinoe)
主要都市
経済
IMFの推計によると、2013年のリベリアのGDPは19億6千万ドルである。1人当たりのGDPは479ドルであり、世界平均の5%にも届かない水準にある。いわゆるタックス・ヘイヴン(租税回避地)の1つである。
隣国シエラレオネと接するボミヒルズでは鉄鉱石が採掘されている。ニンバ山にも膨大な鉄鉱石が埋蔵されており、山麓のイェケパを基地として採掘がおこなわれている。ほかダイヤモンドや金なども発掘されるが、ダイヤモンドは密輸出もされている。農作物ではアブラヤシやコーヒー、ココア、米、サトウキビなどが栽培されている。ゴムも国の重要な資源であり、モンロビア近くにあるハーベルにアメリカのファイアストーン社がゴム農園を開いていた。
最大の経済援助国はアメリカであった。1980年代にドウ政権は、アメリカからの援助資金の多くを不正に私用などに用いていたため、リベリアの経済はうまくいかず、財政難を抱えていた。このようなリベリアの状況に対してアメリカは失望してはいたものの、まだ将来性があると援助をし続けていたが、結局1992年には経済支援の失敗の経験と内戦から、経済支援の見直しを行い、リベリアとの関係に見切りを付けた。1997年以降のテーラー政権下においては、アメリカはシエラレオネ内戦での反乱軍への武器輸出を批判し、リベリア産のダイヤモンドなどの輸出を禁止する厳しい圧力を掛けた。リベリアの経済は内戦前から悪化しており、財政難も抱えていたが、1989年以降の内戦によってリベリア経済は崩壊状態となり、内戦が終わっても経済は悪化したままであった。
便宜置籍国
リベリアはまた、安価な手数料や船舶国籍証書の発行の便宜を図る便宜置籍国として知られる。登録している船舶数はパナマに次ぐ規模であるが、あくまでも書類上の船籍であるため、ほとんどの船舶はアフリカ西海岸への航海を行わぬままその一生を終える。
注釈
出典
- ^ a b “UNdata”. 国連. 2021年11月9日閲覧。
- ^ a b c d “World Economic Outlook Database, October 2021” (英語). IMF (2021年10月). 2021年11月9日閲覧。
- ^ 『アフリカを知る事典』、平凡社、ISBN 4-582-12623-5 1989年2月6日 初版第1刷 p.432
- ^ 田辺裕、島田周平、柴田匡平、1998、『世界地理大百科事典2 アフリカ』p. 633、朝倉書店 ISBN 4254166621
- ^ a b 中村弘光「リベリア【歴史】」日本大百科全書(ニッポニカ)、小学館、コトバンク。2020年6月30日閲覧。
- ^ アメリコ・ライベリアン「リベリア」世界大百科事典、平凡社、コトバンク。2020年6月30日閲覧。
- ^ C M Hegberg (2008年5月7日). “Biography: William Wade Harris”. Helium. 2013年4月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年6月30日閲覧。 “William Wade (his Grebo name pronounced Woddy) Harris”
- ^ a b c d F. L. Cross, E. A. Livingstone, ed (2005). “William Wadé Harris”. The Oxford Dictionary of the Christian Church (Third Edition Revised ed.). Oxford University Press. pp. 741-742. ISBN 9780192802903 2020年6月30日閲覧。p. 741, p. 742. 2022年1月31日閲覧。
- ^ a b c 野口隆「宗教と社会 低度社会における宗教運動をめぐって」社会学研究会、1965年、10頁。2020年6月30日閲覧。
- ^ Elwood D. Dunn; Amos J. Beyan; Carl Patrick Burrowes (20 December 2000). Historical Dictionary of Liberia. Scarecrow Press. p. 308. ISBN 978-1-4616-5931-0.
- ^ Taiwan as an Emerging Foreign Aid Donor: Developments, Problems, and Prospects, Gerald Chan; Pacific Affairs, Vol. 70, 1997
- ^ “Charles Taylor Received Money From Taiwan and Libya For His Presidential Campaign, He says”. International Justice Monitor. (2009年12月1日) 2018年9月2日閲覧。
- ^ “Taiwan plays down Liberia blow”. BBC. (2018年10月13日) 2018年9月2日閲覧。
- ^ 外務省: リベリアの大統領選挙について(選挙結果の確定) 外務省 2012年11月22日閲覧
- ^ 外務省:リベリア共和国大統領選挙について 外務省 2012年11月22日閲覧
- ^ a b ジョナサン・ペイェ=レイラ (2022年2月20日). “リベリア――肌の色で市民権が決まる国”. BBC 2018年3月26日閲覧。
- ^ WTO文書WT/LET/1171
- ^ a b c “外務省 リベリア基礎データ”. 外務省. 2018年3月21日閲覧。
- ^ 田辺裕、島田周平、柴田匡平、1998、『世界地理大百科事典2 アフリカ』p628、朝倉書店 ISBN 4254166621
- ^ CIA World Factbook 2009年11月14日閲覧。
- ^ “リベリア 安全対策基礎データ「犯罪発生状況、防犯対策」”. 外務省. 2021年11月23日閲覧。
- ^ Former American slaves played oppressive role in Liberia's past
リベリアと同じ種類の言葉
- リベリアのページへのリンク