ユズ ユズの概要

ユズ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/03 22:30 UTC 版)

ユズ
ユズの果実(2004年11月4日)
分類
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
: ムクロジ目 Sapindales
: ミカン科 Rutaceae
: ミカン属 Citrus
: ユズ C. junos
学名
Citrus junos (Makino) Siebold ex Tanaka (1830)[1]
シノニム
  • C. ichangensis x C. reticulata var. austera
英名
Yuzu

果実が小形で早熟性のハナユ(ハナユズ、一才ユズ、Citrus hanayu)とは別種である。日本では両方をユズと言い、混同している場合が多い。また、獅子柚子(鬼柚子)は果実の形状からユズの仲間として扱われることがあるが、分類上はザボンの仲間であり、別種である。

名称

日本では古くから「柚」「由」「柚仔」といった表記や、「いず」「ゆのす」といった呼び方があった。『和名抄』(932年ころ)には、漢名で「柚」、和名も「由」として表されている[4]。別名を、ユノス[4]ともいう。酸っぱいことから、日本で「柚酸(ユズ)」と書かれ、「柚ノ酸」の別名が生まれている[4]

「柚(ゆ)」は古くはユズを意味したが、近世にはユズに近い大型柑橘類が伝わり、1712年の『和漢三才図会』では柚(ゆ)には二種あり、大きなもののほうは「朱欒(しゅらん)」とも呼ぶとしている[5]。この「朱欒(しゅらん)」はザボン(ブンタン)のことで、1709年の『大和本草』には「朱欒(ザンボ)」とある[5]。また『大和本草』には朱欒(ザンボ)は京師(京都)では「ジャガタラ柚(ゆ)」と呼ばれているとしているが、「ジャガタラ柚(ゆ)」はジャカルタから伝わったザボンの近縁種で獅子柚子のことともいわれている[5]

学名のジューノス(junos)は、四国・九州地方で使われた「ゆのす」に由来する[6]中国植物名(漢名)は香橙(こうとう)という[1][7]。柚子は中国での古い名だが、今の中国語で柚や柚子はザボンを指している[6][8]

原産地・分布地

ユズ(本柚子)は、中華人民共和国中央および西域、揚子江上流の原産であると言われる[4]。中国から日本へは平安時代初期には伝わったとみられ[9]、各地に広まって栽培されている[7]。また、日本の歴史書飛鳥時代奈良時代に栽培していたという記載がある[10]

海外では、韓国最南部の済州島全羅南道高興郡など、中華人民共和国の一部地域で栽培されている。日本では本州東北地方以西、四国九州に分布する[2]。全国で広く栽培されるが、主な産地として高知県、徳島県がよく知られる[2]

ハナユ(花柚子)は、日本原産とも言われるが、詳しいことは判っていない。


  1. ^ a b 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Citrus junos (Makino) Siebold ex Tanaka ユズ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年1月22日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o 田中潔 2011, p. 84.
  3. ^ a b c d 猪股慶子監修 成美堂出版編集部編『かしこく選ぶ・おいしく食べる 野菜まるごと事典』成美堂出版、2012年7月10日、192頁。ISBN 978-4-415-30997-2 
  4. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q 田中孝治 1995, p. 162.
  5. ^ a b c 柑橘歴史散歩・文旦とザボン”. 愛媛県農林水産研究所. 2021年2月18日閲覧。
  6. ^ a b c d 吉岡照高「ユズ」、『週刊朝日百科植物の世界』31、3-214頁。
  7. ^ a b c d e f g 貝津好孝 1995, p. 76.
  8. ^ 商務印書館・小学館・共同編集『中日事典』第2版、2003年、1824頁。
  9. ^ a b c d e f g h i 平野隆久監修 永岡書店編 1997, p. 124.
  10. ^ 高知県農業振興部 (2012年11月2日). “ユズ”. こうち農業ネット. 2012年12月12日閲覧。
  11. ^ 高知県農業振興部 (2012年10月26日). “多 田 錦 ”. こうち農業ネット. 2016年3月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年12月12日閲覧。
  12. ^ 沢村正義、柏木丈拡「柚子搾汁後残滓のエココンシャスな精油抽出・処理技術の開発」(PDF)『高知大学国際・地域連携センター年報2008』、国立大学法人高知大学 国際・地域連携センター、2008年、64-66頁、 オリジナルの2016年3月4日時点におけるアーカイブ、2012年12月12日閲覧 
  13. ^ 馬路村農協 高知大学 沢村正義名誉教授および溝渕俊二教授の研究 アーカイブ 2015年6月7日 - ウェイバックマシン


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