ヤマノイモ
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形態・生態
雌雄異株の多年生つる植物で、茎は淡緑色で他物に絡みつき、地上部は1年で枯れる[11][10]。茎は長く伸びて、まばらに枝分かれをする[11]。葉はふつう対生するが、まれに互生し、葉身は長卵形から三角状披針形で、基部が凹んだ細長いハート形をしており、長い葉柄で茎につく[11][10][8]。葉身には先端に向って伸びる5本の葉脈が目立つ[2]。
花期は夏(7 - 9月ごろ)で[6]、葉腋から3 - 5本の細長い穂状の花序を出して、白い小さな粒のような目立たない花を付ける[11][2][9]。雌雄異株で雄株と雌株があり、雄花の花序は直立し、雌花の花序は垂れ下がる[11][10]。
果実は蒴果で平たく、円形の大きな3枚の陵(翼)があり、縦の長さより横幅が広い[11][10]。それぞれの陵が中に種子を1個含んでいて、熟すと壁が剥がれて、中から扁平な種子が出る[10][8]。種子は、周囲に紙のように薄い円形の膜質翼がついていて、果実が割れたときに散布される[11][10]。雌株では種子のほかに、葉腋に発生する球状の芽である零余子(むかご、珠芽)をつけて栄養繁殖する[10][8]。ムカゴ(球芽)は、種類によって付けるものと、つけないものがある[12]。ムカゴは直径1センチメートルほどの球状から、大きなもので長さ3センチメートルほどに達する場合がある。
地下には円柱状で多肉質の担根体(芋)が1本あり、自然薯(じねんじょ)ともよばれている[10]。トロロイモとしても知られているが、芋とされる中が白くて柔らかい部分は、植物学的には特殊な組織で担根体(たんこんたい)とよび、ヤマノイモ属に特有な根でも茎でもない器官であり[2]、茎の基部についた枝の下側部分が伸びたものである[11]。担根体は地下深くへとまっすぐに伸びて[11]、石などの障害物がなければ長さは1メートルを超えることもある[13]。毎年春に再び頂部から発芽して地上部を育てる栄養源となり、成長にしたがって担根体は縮小して夏までには元のイモはすっかりなくなって空の袋となり、秋までには再び栄養を蓄えて一回り大きな新しい担根体と置き換えられ更新される[6][3]。なお、秋にできるヤマノイモにできる芋のようなムカゴも、小型の担根体である[2]。
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ムカゴ
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果実
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販売されている自然薯
注釈
出典
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Dioscorea japonica Thunb. ヤマノイモ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年9月16日閲覧。
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- ^ a b c d 田中孝治 1995, p. 212.
- ^ a b c d 篠原準八 2008, p. 109.
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- ^ 鈴木晋一 『たべもの史話』 小学館ライブラリー、1999年、195 - 201頁
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