パッションフルーツ 名称

パッションフルーツ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/26 09:28 UTC 版)

名称

和名は時計のように見える特徴のある花のトケイソウの仲間で、果実を実らせるであることに由来する[2]。英語では、トケイソウを passion flower と呼ぶことから passion fruit の名がある。なお、この passion は「情熱」の意味ではなく、花の中心が十字架のように見えることから「キリストの受難」を意味する[2]。(詳しくは「トケイソウ#名称」を参照)

本場ブラジルでは maracujá(マラクジャ)と呼ぶほか、ペルーではmaracuya(マラクヤ)、中南米各地で granadilla(グラナディリャ)、ハワイでは lilikoʻiリリコイ)などと呼ばれ、土地それぞれの栽培品種が流通している。中国語名は西番蓮であるが、近年英語名の「パッション」の当て字+「果」で 百香果(バイシャングオ、拼音: bǎixiāngguǒ)が使われる状況多いが、前述の「情熱」の意味と誤解されて情熱果(熱情果)と誤訳されることがしばしばある。

日本では沖縄や、鹿児島で栽培されることが多い。

植物学上の特徴と分布

500種類以上もあるトケイソウ科の仲間で、蔓性常緑多年草。南米を中心に分布している。熟したパッションフルーツの果実は直径5センチメートル (cm) ほどの球状又は卵形で、堅い表皮は滑らかで黄色か濃紫色、赤色など、内部に小さくて堅い種を多く含み、黄色いゼリー状の果肉と果汁がある[2]。果汁及び果肉は強い香気をもつものが多い。果皮が濃い赤紫色をしたもののほか、黄色い果皮のイエローパッションフルーツもある[2]

栽培

2010年現在では、実を食用とする数十種の中から選抜され品種改良された種が、世界の熱帯から亜熱帯地域の広範囲で栽培されている。ブラジルが最大の生産国で、その周囲の中南米での栽培が主流になっている。近年[いつ?]ミャンマー北部のゴールデントライアングルでケシ(アヘン)の代替作物として栽培が増えており、ヨーロッパ市場へ進出している。また、台湾、インドネシアなど東南アジア圏でも栽培されている。

日本では、別名時計草トケイソウとも呼ばれており、古くは奄美諸島を中心とした南西諸島東京都の島嶼部、鹿児島県沖縄県を中心に栽培されている。栽培面積・生産高ともに鹿児島県が日本一だが、熊本県岐阜県、東京都、長野県栃木県福島県など各地で栽培が盛んになっている。これら栽培はほとんどがハウスを利用したものだが、露地栽培も可能であり、昔から各地で栽培されていた。近年[いつ?]は、千葉県岐阜県でも露地栽培されている。

日本国内の栽培はおおむね紫玉、黄玉、中間交配種の3つに分かれ、生食用では甘みの強い紫玉の需要が多い。黄玉は性質強健で果汁の多いものが多く、世界的に加工用原料としての栽培が多い。

生育には一定の温度が必要で、越冬には最低でも4 以上の温度が必要である。亜熱帯植物のわりに高温を嫌い、30 ℃以上の気温が続くと、高温障害を起こし、花芽や未熟果を落下させることがある。

開花・受粉から14日で玉伸びを終え、その後45日で完熟、自然落下する。収穫は自然落下したものを回収する(もしくは軽く触れると落下する程度)。蔓ごとに一番花は人工授粉で確実に受粉を行うのが栽培の要諦であり、開花を誘導する技術、多収量の元苗の作り方などにノウハウが形成されている。自然界では、トケイソウ科の花の花粉媒介者はクマバチ類が有力であるケースが多いことが知られ、パッションフルーツの花にもよく訪花し、受粉を手伝っている[3][要ページ番号]


  1. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Passiflora edulis Sims クダモノトケイソウ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年1月28日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i j k 猪股慶子監修 成美堂出版編集部編 2012, p. 204.
  3. ^ 日高敏隆(監修)『日本動物大百科10 昆虫III』平凡社、1998年


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