タオル 材質

タオル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/14 10:16 UTC 版)

材質

一般に広く使われているのは綿である。そのほか、吸水性を向上したものでは、ナイロンポリエステルが使われる。また、ナイロンやポリエステルの繊維を特殊加工して、吸水性をさらに向上したものがある。この他にもカゼインを利用するなど特殊な素材で吸水性に特化した製品もあり、特に女性乳幼児など皮膚がデリケートな人向けに造られたものも見られる。

そのほか、医療/介護用途として不織布のタオルがある。

産地

タオル地の産地は軽工業の盛んな地域に集中する。

世界

米国では大量生産に即している製品が多いが、綿製品の生産で培った技術による生地の厚い製品が多く、中国がやや薄く極めて安価な製品を大量生産し供給しているが、2000年代辺りより技術供与や提携などで技術力をつけたメーカーによる、日本製と変わらない品質の製品も見られる。

日本

一般的に日本のタオルは織機技術の高さが優れ、意匠を凝らしたものなど小ロット対応も盛んである。

今治

「今治タオル」ロゴマーク

愛媛県今治市を中心に西条市松山市などで生産され、地域団体商標は「今治タオル」。今治市に今治タオル工業組合が設置され、2016年現在で110社が加盟、生産数量は12036トン。1960年に泉州を抜き、日本最大のタオル産地となっている。国産タオルの6割弱のシェアを有する。

1894年に阿部平助が綿ネル機械を改造しタオル生産を開始したのが始まりである。1918年に中村忠左衛門がジャガード織機を初めて今治に導入し、「織る→晒す→染める」という従来の製法を改め、今治の豊富な水資源を生かした「晒す→染める→織る」という「先晒し先染め」の製法を確立[5]。さらに1922年に愛媛県工業講習所に産業技官として赴任した菅原利鑅の技術指導によって織り柄による自由な表現を可能とする今治タオルの特徴が創生された[5]。現在でも「先晒し先染め」や複雑で繊細な柄を表現する技術を得意とするのは今治のタオル産地の特徴となっている。

高い技術力を活かし1970年代からは有名海外ブランドのタオルを受託するOEM生産が増加したが、バブル崩壊に加えて、中国など安価な製品の流入により1991年をピークに今治のタオル生産量は減少に転じた。1995年には今治の生産数量は輸入数量に逆転され、1980年代まで1割程度だった輸入品のシェアは2000年代に入って8割近くまで上昇し、今治のタオルメーカーは次々と倒産・廃業に追い込まれた[6]

産地が存亡の危機を迎える中で、2006年経済産業省の「JAPANブランド育成支援事業」に採択され「今治タオルプロジェクト」を開始した。総合プロデューサーに佐藤可士和を迎え、今治タオルのブランディングを進めている。今治タオル工業組合の設けた基準を満たした製品に対しては「今治タオル」のブランドマークの付与している他、国内外への見本市の出展や今治タオル南青山店などのオープン、タオルソムリエ資格試験の実施などの取組みが行われている。

ブランディングの効果によって今治のタオル生産量は2009年の9,381トンを底に増加に転じた[7]。また四国経済産業局および今治タオル工業組合の調査では、今治タオルの認知度はプロジェクト開始前の2004年の36.6%から、2012年には71%へと上昇した[8]

2015年から開催されている女子メジャーのANAインスピレーションの優勝者に与えられるローブは今治製となっている。

泉州

大阪府泉佐野市を中心に泉南市熊取町などで生産され、地域団体商標は「泉州タオル」。泉佐野市に大阪タオル工業組合が設置され、2016年現在で95社が加盟、生産数量は8583トン。日本のタオル産業発祥の地で、国産タオルの4割強のシェアを有する。

1887年、里井圓治郎がテリーモーションによる打出機を考案し、タオル生産が開始された。製織後に漂白する後晒タオル。

国内製造産地として、中国産の影響で、苦境に立たされているが、薬品をほとんど使わないタオルを製品化するなどの努力を続けた結果、品質の高さから企業の贈答品向けの生産などが増えている。また、2006年に大阪府下では初めてとなるJAPANブランド育成支援事業の認定を受けている。

なお、タオル生産の根幹となるタオル織機は、その多くが津田駒工業社製の織機を使用している。レピアやシャトル織機も残るが、多くはZA207Tiなどのエアジェット織機が多く、最近ではZAX9100Terryと呼ばれる最新のエアジェット織機が導入されつつある。

三重県

1904年頃からタオル生産が開始され、1920年までは生産量で泉州につぐ全国第2位だったが、家内工業主体で量産体制が確立できず脱落した。現在は愛媛県、大阪府についで全国第3位の生産高で、高い技術力により時代の求めているタオルを製造している。北勢タオル工業協同組合は2003年に解散している。

タオル関連施設


  1. ^ wikt:towel 発音[ˈtaʊ(ə)l]は「タウル」が近く、オの音はない。
  2. ^ タオルの輸出 大阪税関調査統計課、2020年1月6日閲覧。
  3. ^ 橋田規子「MS2-1 入浴スタイルとデザイン : -日本の入浴文化の独自性-」『人間工学』第51巻、日本人間工学会、2015年、S16-S17、doi:10.5100/jje.51.S16ISSN 0549-4974NAID 1300050924302020年10月14日閲覧 
  4. ^ 【ココハツ】奈良だけ?マラソンタオル朝日新聞』2018年12月15日(3面)2019年4月28日閲覧。
  5. ^ a b 佐藤可士和・四国タオル工業組合(2014)『今治タオル奇跡の復活 起死回生のブランド戦略』、朝日新聞出版、91頁。
  6. ^ 今治タオルは産地消滅寸前の危機からどうやって復活したか - ダイヤモンド・オンライン、2021年5月4日閲覧。
  7. ^ 企業数、織機台数、革新織機台数、従業員数、綿糸引渡数量、生産量、輸出・輸入数量の推移(pdf) - 今治タオル工業組合
  8. ^ 今治タオル産業集積 その8:達人に訊け! - 中日新聞WEB(2017年11月28日)、2021年5月4日閲覧。


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