ウルトラ6兄弟VS怪獣軍団
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ウルトラ6兄弟VS怪獣軍団 | |
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หนุมานพบ 7 ยอดมนุษย์ | |
監督 | 東條昭平 |
脚本 |
若槻文三 淡豊明 ソンポート・シングデァンチャイ |
製作 |
ソンポート・シングデァンチャイ 伊藤久夫 |
ナレーター | 木原正二郎(日本語版) |
出演者 |
コ・ガオデンディ アナン・プリーチャー ヨーチャイ・メクスワン パワナー・チャナチット |
音楽 | 冬木透 |
主題歌 |
佐々木いさお コロムビアゆりかご会 「ぼくらのウルトラマン」(日本語版) |
撮影 |
町田敏行 佐藤貞夫(特撮) |
編集 |
柳川義博 小林煕昌 |
制作会社 |
円谷プロダクション チャイヨー・プロダクション |
配給 | 富士映画 |
公開 |
1974年11月29日 1979年3月17日[注釈 1] 1975年6月27日 |
製作国 |
タイ 日本 |
言語 | タイ語 |
1979年3月17日[注釈 1]に松竹洋画系で公開された[注釈 2]。タイでは1974年11月29日に初公開された[注釈 3]後、2001年には劇中音楽の差し替えや再アフレコを施し、リバイバル公開された。
概要
仏像泥棒に殺害されたコチャン少年が、ウルトラの母の導きでインド神話に登場する白猿ハヌマーンとして復活し、ウルトラ6兄弟(ゾフィーからウルトラマンタロウまでの6人)とともにタイに出現した怪獣軍団と戦う[3]。日本版タイトルにある「ウルトラ6兄弟」の通りポスターも彼らが前面に描かれている[3]が、物語の主役はハヌマーンであり、ウルトラ6兄弟が参戦するのは終盤からである。
- 仏像泥棒が追いかけてきたコチャンを至近距離から射殺するという描写がある。
- 巨大化したハヌマーンが仏像を盗んだ強盗を追いかけ回し、「仏様を大切にしろ! 大切にしない奴は死ぬべきなんだ! さあ、殺してやるぞ!」と握り潰す。
- 水不足を解決するため、ハヌマーンが接近する太陽の神に直談判して遠ざける。
- ハヌマーンが「卍」のポーズで飛行する。
- 作品終盤における怪獣軍団とウルトラ6兄弟の戦いでは、怪獣軍団がウルトラ6兄弟とハヌマーンにリンチを受けるかの如くいたぶられた挙句、残虐に殺される。
など、当時の日本の子供向け特撮作品には向かない過激な映像描写も含め、タイの文化を下地にして製作されていたこともあり、日本公開当時も異色の作品であった。
作品の成立
1970年代半ば、タイで日本の漫画やアニメ、そしてヒーローが人気を博していた。本作品は、タイのチャイヨープロの社長ソンポート・シングデァンチャイが、かつて日本の東宝撮影所に留学して円谷英二や円谷皐らと親交を深めていた[4]縁で製作された。原題は『ハヌマーンと7人のウルトラマン』を意味しており[5]、ウルトラの母も含まれている。これはタイ語では「6」の発音が「転ぶ」を意味する単語と同じであり、あまり縁起の良い数字と考えられていないため、縁起をかついで「7人」としているためである。一方、『ファンタスティックコレクションNo.10 ウルトラマンII』(朝日ソノラマ・1978年発行)では、原題が「白猿ハヌマーン&ウルトラ6兄弟」と記載されている[2]。
円谷プロとの合作は『ジャンボーグA&ジャイアント』に続く2作目[1]である。また、本作品の終了後は東映の仮面ライダーと共演した『ハヌマーンと5人の仮面ライダー』[注釈 4]や、本作品と『ウルトラマンZOFFY ウルトラの戦士VS大怪獣軍団』の映像を組み合わせて再編集した『ハヌマーンと11人のウルトラマン』(英題:SPACE WARRIORS 2000)、『ジャンボーグA&ジャイアント』のフィルムを流用した『エリマケトカゲ一人旅』も製作された。
インド神話に起源を発し、孫悟空のモデルともなった怪力で忠孝なハヌマーンは、タイの人気者である。芝居などでもオチに困ると脈絡なくハヌマーンが登場し、その度に大喝采となる。いわゆるデウス・エクス・マキナ、または日本の講談などでの加藤清正や源義経のような扱いである。そういった経緯もあり、本作品はハヌマーンがウルトラ戦士と共闘する娯楽作品となった。
BGMは『ウルトラセブン』からの流用が多いが、『ウルトラマンタロウ』からも流用されている[6]。
制作当時は日本での公開は未定となっていたが、1970年代後半のウルトラブームを受け、急遽タイからネガを取り寄せて公開された[1]。一部地域では、『実相寺昭雄監督作品ウルトラマン』や『ウルトラマンレオ レオ兄弟対怪獣兄弟』と併映された[2]。
しかし、本作品の日本国内興業権の支払いに窮した円谷プロが、チャイヨープロに『ウルトラマンタロウ』以前のウルトラシリーズの海外使用権を譲渡する契約を交わす(チャイヨープロ側の主張)契機ともなった。そのため、本契約を巡って裁判が起こり、日本ではビデオやDVDの発売、雑誌掲載が行われない状態にある。
本作品の権利
2008年当初の時点では、チャイヨープロは本作品の著作権を主張しており、円谷プロはそれを否定も肯定もしていないとみられていたため、「合作」と主張する当事者はいなくなっていた[7]。日本の著作権法では両者の権利は消滅しないため、共同制作物のままである。一方、タイにおいては2008年2月の最高裁判所の判決により、円谷プロのみが著作権を持つことで決着している[8]。それ以外の国では2008年12月24日にチャイヨープロからユーエム社へ利用権が譲渡されているが、1998年にチャイヨープロからバンダイへ利用権行使の権利が売却されていたことが2011年に発覚したため[9]、それぞれの国の司法においてチャイヨーの権利が有効であったとしても、ユーエム社はバンダイの許可なく利用権を行使できないうえ、円谷プロの権利が有効であるならばユーエム社に利用権はない。
登場人物
- コチャン
- ブッダを敬う、勇気ある10歳の少年[注釈 5]。3人組の仏像泥棒に殺害されてしまうが、その姿を悲しんだウルトラの母によって白猿ハヌマーンの命を与えられて蘇った[3]。
- アナン
- コチャンの親友で、マリサーの年の離れた幼い弟。ハヌマーンが蘇ったコチャンであると確信し、単身で追いかけるうちに熱射病となって倒れたところを、コチャンに助けられる。その後、コチャンに別れを告げられるが、基地の戦いではハヌマーンを応援し続けた。
- 日本語クレジットではアナンダ。
- ヴィルット博士
- ドーナ第7ロケット基地で人工降雨ロケットを開発し、タイの国を干ばつの危機から救おうとしている科学者。科学を過信しており、「科学こそ現代のハヌマーンだ」と考えている。頑固な性格でもあり、指揮官の「実験中止」という命令に平気で逆らった。ロケット施設を怪獣軍団に破壊された末に発狂し、燃え盛る基地の中でハヌマーンに助けを求めた。
- 続編の『ハヌマーンと5人の仮面ライダー』では精神は回復しており、ハヌマーンと仮面ライダーに協力した。
- マリサー
- アナンの年の離れた姉で、ヴィルット博士の助手。ヴィルット博士に「仏の力を忘れるな」と釘を刺す。アナンとともに基地から逃げる際、ゴモラに襲われたが、ウルトラ兄弟とハヌマーンに助けられた。
- シープアク、シースリヤー
- ドーナ第7ロケット基地の職員。『ウルトラマンタロウ』のZATの隊員服に似た制服を着ており[注釈 6]、その下にはレオタードを着用している。日本語版では関西弁で会話する。テンションは高いが、怪獣軍団の出現になす術もなくひたすら右往左往していた。ウルトラ兄弟に関してはまったく知らないらしく、どこから来たのかと首をかしげていた。
- 仏像泥棒
- 仏像の首をもいで盗んだ3人組の仏像泥棒。そのうちの1人が追跡してきたコチャンを射殺したため、後に巨大化したハヌマーンから3人とも追いかけ回される。散々いたぶられた結果、1人は踏み潰され、1人は大木の下敷きになり、残った1人(コチャンを殺した張本人)は握り潰された。
- 続編の『ハヌマーンと5人の仮面ライダー』では1人がキングダークによって復活し、仮面ライダーたちと戦っている。
- 太陽の精スーリヤ[10]
- 太陽の動きを支配する精で、チャリオットに乗っている。太陽の火の勢いを強くしたうえ、地球に近づき過ぎたためにタイの国に水不足をもたらしてしまい、ハヌマーンに説得されて地球から離れていった。
- 風の女神サワハ[10]
- タイの風の女神で、空から地上の平和を見守っている。体いっぱいに吸い込んだ風を吐き出し、ハヌマーンを生み出した。
- サンユラニトリチャワーの花[11]
- 『ラーマーヤナ』で語られる、ハヌマーンがラクサナを助けた話に登場する花。
- サッパーヤ山の頂点に咲いている赤い花で、花汁をかければどんな傷口もたちまち治るという強力な治癒力を持っているが、太陽が昇りきる前にしないと効き目はなくなる。『ラーマーヤナ』では鬼の矢に倒れたラクサナを救うため、ハヌマーンは太陽にしばらく動かないでいてもらうよう懇願してまで、この花を手に入れた。本作品では熱射病に倒れたアナンを救うため、コチャンが再び手に入れた。
- 人間の女性のような人格を持っており、お茶目で人を馬鹿にしたような態度で、様々な場所に現れては消える。ハヌマーンでさえも、山の頂点で花を捕まえるのに苦労したほどだったが、最終的にはハヌマーンの尻尾で捕縛された。
- ウルトラ6兄弟(ゾフィー、ウルトラマン、ウルトラセブン、帰ってきたウルトラマン[注釈 7]、ウルトラマンA、ウルトラマンタロウ)
- M78星雲でコチャンの復活を見届けた後、終盤には苦戦するハヌマーンを助けにタイへ飛来し、ともに戦った。アナンからは「ウルトラマン兄弟」と呼ばれていた。タイ版のポスターには、本作品には登場しないウルトラマンレオやアストラも描かれていると言われることがあるが、これは『ハヌマーンと11人のウルトラマン』のもので、『ウルトラ6兄弟VS怪獣軍団』当時のものから描き足されている。
- ウルトラの母
- ウルトラ兄弟の母親的存在。コチャンの遺体をM78星雲へ運び、新たな命を与えた。本編中、ハヌマーンとの共演は無いが、地球上のセットにおいて二者が並んだ特写スチールは存在している(この際に用いられたスーツは、ブーツ部分が銀色となっている)。
注釈
- ^ a b 関東では、同年4月28日に公開された[2][3]。
- ^ 当時、円谷プロダクションは東宝の傘下だったために長らくウルトラシリーズの映画は同社から配給されていたが、本作品以降は原則として松竹が配給するようになった。
- ^ 書籍『ウルトラマン白書』では、1975年1月公開と記載している[2]。
- ^ 本作品と異なり、東映は制作を許可していない。正確にはチャイヨープロは『仮面ライダーX』劇場版のタイ国配給権を得ただけにもかかわらず、無断で新撮・編集を行なった。
- ^ コチャンを演じたコ・ガオデンディは撮影当時は10歳の子役であった(2016年現在は俳優業を引退)。
- ^ ヘルメットは『ミラーマン』のSGMのものを流用。彼ら以外の職員はファイヤーマンのSAFの制服を着ている。他にも爆発事故で逃げ惑う隊員たちがPAT制服、ジャンボーグA、9の機内服、電波特捜隊(緊急指令10-4・10-10)、SAT(トリプルファイター)の上着とTAC(ウルトラマンA)のズボンを一緒に着ている者も散見される)。
- ^ 日本初公開時の宣伝素材では、ウルトラ新マンとも表記されている[3]。
- ^ 誕生シーンは、『ファイヤーマン』からファイヤーマンの変身シーンを流用。
- ^ 白鳥鉄夫と誤クレジット。
- ^ クレジットでの表記。シングルやCDではささきいさお、コロムビアゆりかご会[14]。
出典
- ^ a b c 白書 1982, p. 111, ウルトラマンシリーズ劇場用作品オール解説
- ^ a b c d 白書 1982, p. 112, 劇場映画版ウルトラマン全作品リスト
- ^ a b c d e f g h “ウルトラマン6兄弟vs怪獣軍団 プレス+チラシセット”. まんだらけオークション. まんだらけ. 2023年9月7日閲覧。
- ^ “各国で泥仕合? 長期戦に…円谷プロ敗訴の真相とは”. ZAKZAK (産経デジタル). (2010年10月1日) 2022年6月1日閲覧。 ※この記事では「ソンポート・センゲンチャイ」と表記されている。
- ^ “タイ最高裁が「ウルトラマン」に判決、タイ企業の著作権を認めず”. タイランドハイパーリンクス (魔法組). (2020年9月24日) 2021年5月29日閲覧。
- ^ a b c “君は、タイのウルトラ戦士を覚えているか”. エキサイトニュース (エキサイト). (2007年3月24日) 2021年5月29日閲覧。
- ^ 安藤健二『封印作品の憂鬱』洋泉社 p.218。
- ^ “タイ最高裁、「ウルトラマン」訴訟に関するタイ人実業家と制作会社の上訴を棄却 円谷プロが著作権保有と確定”. ねとらぼ (アイティメディア). (2020年9月27日) 2020年9月29日閲覧。 ※この記事では「サンゲンチャイ・ソンポテ」と表記されている。
- ^ “円谷プロが逆転勝訴 ウルトラマン商品販売権めぐる争い”. asahi.com (朝日新聞社). (2011年7月27日). オリジナルの2011年7月29日時点におけるアーカイブ。 2022年6月1日閲覧。
- ^ a b c d ウルトラ怪獣大全集 1984, p. 102, 「ウルトラ6兄弟VS怪獣軍団」
- ^ ウルトラ怪獣大全集 1984, p. 103.
- ^ @takeshi_okanoの2020年6月9日のツイート、2022年10月15日閲覧。
- ^ @kechinbouzoukeiの2017年5月28日のツイート、2022年10月15日閲覧。
- ^ “『ウルトラマン』シリーズ50周年記念!263曲の主題歌・挿入歌を網羅した「Ultraman Songs Collected Works」が12月28日に発売!”. 電撃ホビーウェブ (KADOKAWA). (2016年11月25日) 2023年1月25日閲覧。
- ^ “ウルトラマンシリーズ放送開始50年 ウルトラマン主題歌大全集1966-2016 商品情報”. 日本コロムビアオフィシャルサイト. 日本コロムビア. 2023年9月7日閲覧。
- ^ “ウルトラ6兄弟vs怪獣軍団 (日本コロムビア)”. 国立国会図書館サーチ. 国立国会図書館. 2022年10月19日閲覧。
- ^ a b 安藤健二『封印作品の憂鬱』洋泉社、2008年、p.220
- ^ a b “รมว.วธ.พร้อมช่วยบ.ไชโยฯสู้คดีอุลตร้าแมน-ยันหนัง 'หนุมาน-ยักษ์วัดแจ้งฯ' สร้างโดยคนไทย” (タイ語). Isranews. (2020年1月29日) 2020年10月1日閲覧。
- ^ a b Space Warriors 2000 - IMDb(英語)
- ^ a b “ไฟเขียว “หอภาพยนตร์” รับบริจาคหนัง “หนุมานพบ 11 ยอดมนุษย์” ปลอดภาษี” (タイ語). Isranews. (2012年12月14日) 2020年10月1日閲覧。
固有名詞の分類
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