アマ (植物) アマ (植物)の概要

アマ (植物)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/12/21 08:06 UTC 版)

アマ
アマ
分類
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
: キントラノオ目 Malpighiales
: アマ科 Linaceae
: アマ属 Linum
: アマ L. usitatissimum
学名
Linum usitatissimum L.
和名
アマ
英名
Flax, Linseed
アマ
ケーラーの薬用植物』から
亜麻の生産高 (2005年)

の繊維は、衣類などリネン製品となる。種子からは亜麻仁油(あまにゆ)が採れ、これは食用や塗料油彩に用いられる。

リンネの『植物の種』(1753年) で記載された植物の一つである[1]

生態

原産地はカフカス地方から中東にかけての一帯とされる。古代から中東やユーラシア大陸西域で栽培され、現在は各大陸で栽培される。日本では冷涼な気候の北海道のみが栽培適地である。連作障害が起きやすいため6-7年の輪作を行う。北海道では4月末から5月にかけて播種し、繊維用は7月末から8月に抜きとって収穫され、種子用途には1-2週間遅れて収穫される。

亜麻には産業用だけでなく、多様な園芸種がある。多年草の園芸種の亜麻は花が可憐なことや栽培が容易なことから愛好者が増加し、北海道では一般家庭だけでなく、街路の植樹帯や公園でも栽培されている。特に札幌市の麻生町や苗穂地区および当別町では、亜麻の歴史と文化の普及のために多彩な行事が開催されて、亜麻を生かした街づくりが行われている。

亜麻の生産量トップ10 (2007年)[2]
国名 生産量
(トン)
備考
カナダ 633,500
中華人民共和国 480,000 *
インド 167,000
アメリカ合衆国 149,963
エチオピア 67,000 *
バングラデシュ 50,000 F
ロシア 47,490
 ウクライナ 45,000 *
フランス 41,000 F
アルゼンチン 34,000
 全世界 1,875,018 A
No symbol = official figure
P = official figure
F = FAO estimate
* = Unofficial/Semi-official/mirror data
C = Calculated figure
A = Aggregate (may include official, semi-official or estimates)

日本における亜麻

日本では、江戸時代元禄年間に、江戸の小石川付近の薬草園(小石川御薬園)で、種子(亜麻仁)を薬種として使用するために、種子が輸入され栽培された記録がある[3]。しかし当時は亜麻仁を中国から比較的安易に輸入出来たので栽培は定着しなかった。

本格的な栽培は、明治時代に入り北海道で導入された。明治元年(1871年)、プロシア人のガルトネルが北海道の七重村に亜麻を試作[4]、また1874年に駐ロシア公使の榎本武揚が北海道開拓使長の黒田清隆にロシアの亜麻の種子を送り[5]、函館の郊外にて栽培された[3]。長野県でも栽培される(寒冷、山岳部など綿の適さない土地で)[5]。戦中は、麻製品全般の軍需で帝国製麻が創立され[4]、1914年にはイギリスに亜麻の帆を1500反輸出している[5]。北海道では1920年(大正9年)に最高の生産量となる[3]。全国規模では1948年の大麻取締法による大麻の栽培制限により、1950年より試験的に亜麻の栽培が奨励されていることから、亜麻の栽培は衰退していたものと考えられるが、この後1950年以降、水稲の前に亜麻を栽培する換金作物として生産は増大したが、輸入した方が安く1957年をピークに減少し続け、1980年ごろまで細々と生産されていた[3]

次第に生産が途絶えたが、2000年に若者が北海道での栽培の復活を試み、何年もの試行錯誤を経て大塚農場にて栽培が続いている[6]。種子を食用に利用するために北海道の当別町で亜麻栽培が復活し、北海道亜麻ルネサンスプロジェクトが進行している。2007年には当別町亜麻生産組合が設立されて、栽培技術の向上と普及に取り組んでいる。北海道独自の特用作物として亜麻の評価が高まるにつれて、十勝地方上川地方に栽培が広がっている。


  1. ^ Linnaeus, Carolus (1753) (ラテン語). Species Plantarum. Holmia[Stockholm]: Laurentius Salvius. p. 277. https://www.biodiversitylibrary.org/page/358296 
  2. ^ Food and Agricultural Organization of the United Nations: Economic and Social Department: The Statistical Division
  3. ^ a b c d 妹尾清子「亜麻について」『民俗服飾研究論集』第12号、1998年、 29-38頁。
  4. ^ a b 福山和子「北海道の麻事業の歴史概説」『民俗服飾研究論集』第2号、1987年、 23-26頁。
  5. ^ a b c 塩田公子、正地里江、岡野和子「埼玉県の麻について」『民俗服飾研究論集』第11号、1997年、 17-26頁。
  6. ^ 永井佳史「なるべくしてなったわらしべ長者 大塚農場 代表取締役 大塚慎太郎」『農業経営者』第259号、2017年10月、 4-9頁。
  7. ^ 大澤俊彦、「がん予防と食品」『日本食生活学会誌』 2009年 20巻 1号 p.11-16, doi:10.2740/jisdh.20.11
  8. ^ 文部科学省日本食品標準成分表2015年版(七訂)
  9. ^ 厚生労働省日本人の食事摂取基準(2015年版)
  10. ^ http://ndb.nal.usda.gov/
  11. ^ シアン化合物を含有する食品の取り扱いについて(医薬食品局食品安全部監視安全課、平成20年9月3日)


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