はっぴいえんど (アルバム) 影響

はっぴいえんど (アルバム)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/08 04:42 UTC 版)

影響

本作は1971年 (1971)に『ニューミュージック・マガジン』誌で第2回(1970年 (1970)度)日本のロック賞を受賞したが、内田裕也はそれに対して、同賞においてURCレコードのアーティストが優遇されているという主張をしたため、『ニューミュージック・マガジン』誌上の日本語ロック論争へ発展していった[5]

収録曲

SIDE 1

  1. 春よ来い  – (4分17秒)
    • 作詞:松本隆、作曲:大滝詠一
    • 後に細野は、この曲に関連して大瀧について「彼の存在は、僕には大きいところがあって、宮沢賢治と同郷人という、なんか東北の暗い懐の深さを感じた。そこを松本隆は引っ張り出してきた。大瀧にとっては『春よ来い』は面白くない歌だったと思う。こたつに入る暗いイメージは、現実そのものだったからね。大瀧も音楽的な人間だから、詞のことはあまり深く考えずに、言われたとおりに、出来上がった詞を忠実に歌ってたのね。彼はバッファロー・スプリングフィールドスティーヴン・スティルスの歌い方や曲作りを勉強したり、スティルスとリッチー・フューレイの歌い方を一つにしようとしたり、そういう所ではマニアックに音楽をやっていたんですよね」[6]と語っている。
  2. かくれんぼ  – (4分32秒)
    • 作詞:松本隆、作曲:大滝詠一
    • 松本によれば、この曲には最初は大サビがなかったが、つけたいと言われて後から2行付け加えられた。また、この曲で聞こえる鈴は大瀧が入れたものだという[7]
  3. しんしんしん  – (3分06秒)
    作詞:松本隆、作曲:細野晴臣
  4. 飛べない空  – (2分44秒)
    • 作詞・作曲:細野晴臣
    • 本作中唯一、細野が歌詞も手掛けた曲。歌を作るとはどういうことかを解説したような作品。細野は「わりと苦労して悩みながら作ったんで、習作みたいなものかもしれないね。あの頃は、お手本の素材の影響が非常に強くて、聴いていた音楽がすぐに出てきちゃうんだけど、それが自分のなかを通過していくと東京臭くなってくるというか、青くさいというか。音楽的にはプロコル・ハルムの影響が強いですね。当時は、曲の作り方がわからなかったんです。自分が作曲するということがよくわからなかった。音符を並べていって、コードをつけて、言葉をつければ曲になるんだけど、それが良い曲なのか悪い曲なのか、自分でわからないんです。その前に僕はエイプリル・フールで何曲か作ってて、なんとなく曲らしくできる自信はあったけど。ところが自分では歌ってなかったので、まず歌が歌えないと歌はできないんじゃないかと思ってた。だから、はっぴいえんどで自分が歌うとなった段階で非常に悩んで、どうやって歌ったらいいかわからなかった。歌うことに気を取られて全体がわからなくなっちゃう。とたんに無力感に襲われて、非常に不安な状態になったんです。そういう不安定な気持ちをそのまま詞にしちゃったんだと思うのね」[6]と後年、インタビューで答えている。
  5. 敵タナトスを想起せよ!  – (3分00秒)
    作詞:松本隆、作曲:細野晴臣

SIDE 2

  1. あやか市の動物園  – (2分48秒)
  2. 12月の雨の日  – (3分27秒)
    • 作詞:松本隆、作曲:大滝詠一
    • はっぴいえんどの楽曲の中では最初に作られた曲。制作時期は1969年の12月。実際には、細野・松本が在籍していたバンド「バーンズ」時代に作られた「めざめ」という楽曲があったが、小倉エージによって没にされたため、「12月の雨の日」がはっぴいえんどの処女作ということになった[8]
  3. いらいら  – (3分15秒)
    • 作詞・作曲:大滝詠一
    • 大瀧曰く「“松本隆の詞”が全てであった“はっぴいえんど”」であったが、松本本人の意向などもあり、全部自分の詞ではなくて細野・大瀧の詞曲も一曲ぐらいはあったほうが良い、ということで本作には二人とも一曲ずつ自作詞曲を収録している。松本的ではないものを、ということで松本の叙情的な詞に対し、細野は内省的な「旅」(未発表)を作り、大瀧はそのどちらとも違う“ワイルドな側面”を選び、この曲が作られた。また、ローラ・ニーロのアルバム『イーライと13番目の懺悔 (Eli and the Thirteenth Confession)』から着想を得ている。“イーライ”から“イライラ”にしたという、ただの言葉遊びだった。「発声的に面白ければ全く意味などなくてもいい」という大瀧のノベルティー・ソングに対する考えで、別に当時、個人的にイライラしていたとか、時計の音が気になって眠れなかったことなど、一度もなかった。この曲の詞は単に“イライラ”というストーリーを完結させるための思いつきであり。こじつけでありでまかせなのだという[9]
  4.  – (2分29秒)
    作詞:松本隆、作曲:大滝詠一
  5. はっぴいえんど  – (3分26秒)
    • 作詞:松本隆、作曲:細野晴臣
    • ボーカルは大瀧
  6. 続はっぴーいいえーんど  – (2分20秒)

クレジット

鈴木茂 lead guitar, celesta
大滝詠一 12st.guitar, 6st.guitar, comb and vocal
細野晴臣 electric bass, keyboards, 6st.guitar, and vocal
松本隆 drums, percussions
 
小倉栄司 recording director, 12st.guitar and hand-crapping
四家秀次郎   chief director of mixing engineer
島雄一 assistant mixing engineer
林静一 jaket design and illustration
野上眞宏 photography
矢吹申彦 art-direction and liner design
奏政明 produce
録音 1970年4月9,10,11,12日 アオイスタジオ
 
下記の方々の多大なる御援助に深く感謝したい 敬称略・順不同

注釈

  1. ^ 1960年代後半に流行した日本語グループ・サウンズは、欧米のロック・グループの影響を受けている。
  2. ^ 風街ろまん』 1971年11月20日 (1971-11-20)発売 URC LP:URG-4009
  3. ^ 12月の雨の日/はいからはくち」 1971年4月1日 (1971-04-01)発売 KING 7":BS-1366

出典

  1. ^ 株式会社ローソンエンタテインメント. “はっぴいえんど|プロフィール|HMV&BOOKS online”. HMV&BOOKS online. 2021年10月31日閲覧。
  2. ^ 大滝詠一「MUSICIAN FILE “大滝詠一徹底研究II”」『ミュージック・ステディ』第4巻第5号、ステディ出版、1984年5月15日、43-76頁。 
  3. ^ 野上眞宏「11 はっぴいえんどのジャケット」『はっぴいな日々』第19巻第10号、株式会社ミュージック・マガジン、2000年7月31日、44-48頁。 ASIN B001FADJZ2
  4. ^ 大瀧詠一「日本のポップスの歴史と私のキャロル・キング」『大滝詠一 Talks About Niagara Complete Edition』第33巻第7号、株式会社ミュージック・マガジン、2014年4月1日、454-462頁、JANコード 4910196380441。 
  5. ^ 『TJ MOOK 聴け! 伝説の日本ロック1969-79』(宝島社、2004年、ISBN 4-7966-3862-8)p.33
  6. ^ a b 北中正和 編『細野晴臣インタビュー THE ENDLESS TALKING』株式会社平凡社、2005年9月9日、37-73頁。ISBN 4-582-76550-5。"2 風をあつめて"。 
  7. ^ 北中正和「01 松本隆インタヴュー」『ロック画報』第1号、株式会社ブルース・インターアクションズ、2000年6月25日、12-21頁、ISBN 978-4938339746 
  8. ^ http://shyglance.web.fc2.com/interview/pg640.html
  9. ^ 『All About Niagara』白夜書房、2001年3月21日、359-374頁。ISBN 4-89367-692-X。"II “Liner Notes”"。 
  10. ^ バックステージ[リンク切れ]Internet Archiveへ(ミレニアムキッチン公式サイト内、2010年1月5日閲覧)
  11. ^ 小倉エージ「『ゆでめん』ができるまで はっぴいえんど制作担当ディレクターの証言」『レコード・コレクターズ』第34巻第1号、株式会社ミュージック・マガジン、2015年1月1日、38-41頁、JANコード 4910196370152。 


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