フィフス・ディメンションとは? わかりやすく解説

フィフス・ディメンション

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/27 13:04 UTC 版)

フィフス・ディメンション
左からタウンソン、ラルー、デイビスJr.、マックー、マクレモア
基本情報
別名 ヴァーサタイルズ(旧名)
出身地 アメリカ合衆国 カリフォルニア州 ロサンゼルス
ジャンル
活動期間 1966年 -
レーベル
メンバー
  • フローレンス・ラルー
  • パトリス・モリス
  • レオナルド・タッカー
  • フロイド・スミス
  • ウィリー・ウィリアムス
旧メンバー
  • ビリー・デイビスJr.
  • マリリン・マックー
  • ラモンテ・マクレモア
  • ロン・タウンソン
  • フローレンス・ラルー
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フィフス・ディメンション(The Fifth Dimension)は、1966年から現在まで活躍し続けているアメリカのコーラス・グループ。

歴史

黎明期

1963年に、ラモンテ・マクレモア、マリリン・マックー、ハリー・エルストン、フロイド・バトラーの4人が男性3名と女性1名の混声コーラス・グループであるハイ-ファイズ(Hi-Fis)を結成。ロサンゼルスのクラブ歌手として活動を開始した。

1964年、レイ・チャールズに気に入られ、ツアーを共にすることになり、チャールズのプロデュースによるジャズ・ナンバー「ロンサム・ムード(Lonesome Mood)」をリリースした。その後、エルストンとバトラーが意見の相違からグループを脱退したため、マクレモアとマックーは新しいメンバーを募ることになった。

リバティ・レコード時代

1966年、フローレンス・ラルー、ロン・タウンソン、マクレモアの従兄弟に当たるビリー・デイビスJr.が加入。マックーとラルーの女性2名とマクレモア、タウンソン、デイビスJr.の男性3名からなる5人編成のヴァーサタイルズ(Versatiles)が結成された。モータウン・レコードの門を叩くが拒否された。しかしジョニー・リバース(Johnny Rivers)の目に止まり、リバティ(Liberty Records)傘下の新しいR&Bレーベルdeであるソウル・シティ(Soul City)からフィフス・ディメンションとしてデビューすることになった。

第一弾として、フォー・トップス風のリズム・アンド・ブルースを目指した「I'll Be Lovin' You Forever」をリリースしたが不発に終った。そこでプロデューサーのボーンズ・ハウは、急遽、コーラスを重視した「黒いママス&パパス」(Black - Mamas & Papas)」路線に変更。1967年、ママス&パパスの「青空を探せ(Go Where You Wanna Go)」をカバーさせた[注釈 1]。これがBillboard Hot 100(全米)16位へ躍り出る大ヒットになった。続いて、当時まだ無名だった作曲家ジミー・ウェッブの「ビートでジャンプUp, Up and Away)」で全米7位を記録。同曲は翌1968年の第10回グラミー賞で最優秀レコード賞など4部門を受賞した[2][注釈 2][注釈 3]

1968年は、ローラ・ニーロ作の「ストーンド・ソウル・ピクニック」が全米3位を記録してプラチナディスクを受賞した。

1969年、ミュージカル「ヘアー」の挿入歌「輝く星座/レット・ザ・サンシャイン・イン」でついに全米1位の座を射止めた。同曲は翌1970年に第12回グラミー賞最優秀レコード賞を受賞し、フィフス・ディメンションも同賞のBest Contemporary Vocal Performance By A Groupに選ばれた[2]。「ウェディング・ベル・ブルース」のヒットを機にマックーとデイビスJr.が結婚。同曲はマックーをソロとしてフィーチャーすることを決定付けた最初のヒット曲となった。

ベル・レコード時代

1970年、ベル・レコードへ移籍。「悲しみは鐘の音と共に(One Less Bell to Answer)」や「夢の消える夜」など、マックーをリードにしたアダルト・コンテンポラリー・ミュージックナンバーがヒットの中心になって行った。「悲しみは鐘の音と共に」はアメリカTVドラマ「スパイのライセンス」シーズン3 "To Sing a Song of Murder"[注釈 4]で使用され、マックーは同エピソードのマドンナ役を演じ、他のメンバーも全員がゲスト出演した。

同年に大阪で開催された日本万国博覧会に際して来日を果たした。

ベル・レコードはリバティ時代の音源を引き継いだため、アリスタに社名変更後も、黄金期の録音全てを含むベスト・アルバムをリリースしている。

abcレコード時代以降

1975年 abcレコードに移籍。マックーとデイビスJr.が脱退して夫婦によるユニットとして活動を開始。「星空のふたりYou Don't Have to Be a Star)」が全米1位に輝き、翌1977年の東京音楽祭でもグランプリを受賞した。

一方、2人を失ったフィフス・ディメンションは、5人編成を維持すべく新メンバーを加えるものの、メンバーが激しく入れ替わっていくことになった。

最後のシングル・リリースはラルーのリードによる「ラブ・ハングオーヴァー(Love Hangover)」(1976年)だったが、直後にダイアナ・ロスモータウンから同曲をリリースしたので、競作となった。結果として、マックー不在のフィフス・ディメンション版は、当時絶大な人気を誇ったロスの壁を超えることはできなかった。

1976年、モータウンへ移籍。

1991年、遅まきながら、ハリウッド・ウォーク・オブ・フェームに名前が刻まれることになった。

2001年、タウンソン病没。享年68歳。

現在在籍するオリジナル・メンバーはラルーだけで、「フローレンス・ラルーとニュー・フィフィスディメンション」と言うべき陣容になっている。

メンバー

オリジナル・メンバー

メンバーの変遷

年代 フローレンス・ラルー ラモンテ・マクレモア ロン・タウンソン ビリー・デイビスJr. マリリン・マックー
1975~80

'78~79 Mic Bell 
'75~ Danny Beard

'78~ Lou Courtney

'79~ Michael Procter
'75~ Eloise Laws
'76~ Marjorie Barnes
'78~ Terri Bryant
'79 Pat Bass,Tanya Boyd
'79~ Joyce Wright Pierce
1980年代 タウンソン復帰

'89~ Eugene Barry-Hill

'86 Estrelita
'88~ Phyllis Battle
1990年代
'98~ Willie Williams 

'93~グレッグ・ウォーカー
Greg Walke
2000年代


'06~ Michael Mishaw


'09~ Floyd Smith


'06~Leonard Tucker

'02~ Julie Delgado
'02~ Van Jewell
'05~ Jamila Ajibade
'06~ Valerie Davis
'07 Jennifer Leigh Warren
'07 Gwyn Foxx December
'08~ Patrice Morris

※ グレッグ・ウォーカーは、元サンタナのボーカリスト。

ディスコグラフィ

シングル USビルボード・ランキング

チャート・イン 曲目:邦題 "原題" US US AC US R&B 作曲者 収録アルバム
1966/1/14
Soul City
青空を探せ
"Go Where You Wanna Go"
16 - - ジョン・フィリップス ビートでジャンプ
Up, Up and Away 
1967/4/29
Soul City
アナザーデイ
"Another Day, Another Heartache"
45 - - P.F. Sloan/Steve Barri
1967/6/3
Soul City
ビートでジャンプ
"Up, Up and Away"  
7 9 - ジミー・ウェッブ
1967/11/4
Soul City
ペイパー・カップ
"Paper Cup"
34 - - ジミー・ウェッブ マジック・ガーデン
The Magic Garden 
1968/2/3
Soul City
カーペット・マン
"Carpet Man"
29 - - ジミー・ウェッブ
1968/6/1
Soul City
ストーンド・ソウル・ピクニック
"Stoned Soul Picnic"
3 - 2 ローラ・ニーロ ストーンド・ソウル・ピクニック
Stoned Soul Picnic 
1968/9/28
Soul City
スウィート・ブラインドネス
"Sweet Blindness"
13 - 45 ローラ・ニーロ
1968/12/21
Soul City
カリフォルニア・ソウル
"California Soul"
25 - 49 Ashford & Simpson
1969/3/8
Soul City
輝く星座/レット・ザ・サンシャイン・イン
"Aquarius/Let the Sunshine In"
1 1 6 Galt MacDermot 輝く星座
The Age of Aquarius
1969/7/19
Soul City
愛の星座
"Workin' On a Groovy Thing"
20 9 15 ニール・セダカ
1969/9/27
Soul City
ウェディング・ベル・ブルース
"Wedding Bell Blues"
1 1 23 ローラ・ニーロ
1970/1/3
Soul City
ブローイング・アウェイ
"Blowing Away"
21 7 - ローラ・ニーロ
1970/2/21
Bell
平和のために(独立宣言)
"The Declaration"
64 35 - Julius Johnsen, Rene De Knight 素敵なポートレート
Portrait
1970/4/4
Soul City
ガールズ・ソング
"The Girls' Song"
43 6 - ジミー・ウェッブ マジック・ガーデン
The Magic Garden
1970/4/18
Bell
パペット・マン
"Puppet Man"
24 31 - ニール・セダカ 素敵なポートレート
Portrait
1970/6/13
Bell
セイブ・ザ・カントリー
"Save the Country"
27 10 - ローラ・ニーロ
1970/8/22
Bell
渚にて
"On the Beach (In the Summertime)"
54 12 -
1970/10/24
Bell
悲しみは鐘の音と共に
"One Less Bell to Answer"
2 1 4 バート・バカラック 素敵なポートレート
Portrait
1971/2/27
Bell
愛のロンド(輪舞)
"Love's Lines, Angles and Rhymes"
19 6 - Dorothea Joyce 愛のロンド
Love's Lines, Angles and Rhymes
1971/5/22
Bell
新しい世界の歌
"Light Sings"
44 12 - Friendman, Holt
1971/9/18
Bell
ネヴァー・マイ・ラヴ(かなわぬ愛)
"Never My Love" (live)
12 1 45 Donald Addrisi ライブ
Live!!
1972/1/1
Bell
"Together Let's Find Love" (live) 37 8 22
1972/4/1
Bell
夢の消える夜
"(Last Night) I Didn't Get to Sleep at All"
8 2 28 Tony Macaulay 五次元の結晶
Individually & Collectively
1972/9/9
Bell
とどかぬ愛
"If I Could Reach You"
10 1 - Randy McNeill
1973/1/6
Bell
愛の仲間達
"Living Together, Growing Together"
32 5 - バート・バカラック 愛の仲間達
Living Together, Growing Together
1973/4/14
Bell
チェインジド
"Everything's Been Changed"
70 18 - ポール・アンカ
1973/8/25
Bell
アシェス・トゥ・アシェス
"Ashes to Ashes"
52 7 54 Dennis Lambert and Brian Potter
1973/12/15
Bell
"Flashback" 82 30 75
1975/3/1
Bell
"No Love In the Room" 105 11 - Soul & Inspiration
1976
abc
ラブ・ハングオーヴァー
"Love Hangover"
80 - 39

オリジナル・アルバム 

  • ビートでジャンプ Up, Up and Away (1967 Liberty/Soul City) - US #8
  • マジック・ガーデン The Magic Garden (1967 Liberty/Soul City) - US #105
  • ストーンド・ソウル・ピクニック Stoned Soul Picnic (1968 Liberty/Soul City) - US #21
  • 輝く星座 The Age of Aquarius (1969 Liberty/Soul City) - US #2
  • 素敵なポートレート Portrait (1970 Bell records) - US #20
  • 愛のロンド Love's Lines, Angles and Rhymes (1971 Bell records) - US #17
  • ライブ The 5th Dimension/Live!! (1971 Bell records) - US #32
  • 五次元の結晶 Individually & Collectively (1972 Bell records) - US #58
  • 愛の仲間達 Living Together, Growing Together (1973 Bell records) - US #108
  • ソウル&インスピレーション Soul & Inspiration (1974 Bell records) - US #202
  • アースバウンド Earthbound (1975 abc records) - US #136
  • ホーム・クッキン Home Cookin (1976 abc records)→reissue:Live! Plus Rare Studio Recordings (2011/6/3 Soul Concerts)
  • スター・ダンシング Star Dancing (1978 Motown)
  • ハイ・オン・ザ・サンシャイン High On Sunshine (1978 Motown)
  • Now (1984 Buddaha records)→reissue:宇宙のファンタジー Fantasy (2004)
  • イン・ザ・ハウス In the House (1995/6/20 SONY/Columbia)

脚注

注釈

  1. ^ ママス&パパスのオリジナルは不発に終わった。
  2. ^ トランス・ワールド航空パンアメリカン航空トランスオーストラリア航空 のCMソングとして使われた。
  3. ^ 同曲はフジテレビドラマチック・サンデー」枠TOKYOエアポート〜東京空港管制保安部〜(2012年10月 - 12月放送)の劇中挿入歌としても使用された。
  4. ^ アメリカabcテレビにて1970年2月23日放送。日本では翌年TBS/ABC系列で放送。

出典

  1. ^ a b c Huey, Steve. The 5th Dimension | Biography & History - オールミュージック. 2021年1月26日閲覧。
  2. ^ a b www.grammy.com”. 2025年6月27日閲覧。

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