ALアミロイドーシス
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「アミロイドーシス」の記事における「ALアミロイドーシス」の解説
ALアミロイドーシスは異常形質細胞によって産出されるモノクローナル免疫グロブリン(M蛋白)の軽鎖(L鎖)由来のアミロイドALが全身諸臓器(心臓、腎臓、消化管、肝臓、末梢神経など)に沈着する。ALにはλ鎖由来のAλとκ鎖由来のAκがありAλの方がAκよりも多い。まれに重鎖(H鎖)由来のアミロイドAHが沈着するAHアミロイドーシスがみられる。ALアミロイドーシスとAHアミロイドーシスを免疫グロブリン性アミロイドーシスとよぶ。多発性骨髄腫や原発性マクログロブリン血症などの基礎疾患を伴わない場合は原発性ALアミロイドーシスとよぶ。原発性ALアミロイドーシスはMGUS(monoclonal gammopathy of undetermined significance)に随伴したものと考えられているがMGUS随伴例と骨髄腫随伴例か鑑別困難な例もある。 2004年の日本の統計では免疫グロブリン性アミロイドーシスおよび老人性TTRアミロイドーシスを含めた有病率は人口100万人あたり6.1人と推定されている。いわゆるアミロイドーシスの約70%が免疫グロブリン性アミロイドーシスと考えられている。アミロイドの沈着は心臓、肝臓、腎臓、消化器、末梢神経など多臓器にわたる。初期には全身倦怠感、体重減少、浮腫、貧血などの非特異的症状があり、経過中に鬱血性心不全、蛋白尿、吸収不良症候群、末梢神経障害、起立性低血圧、手根管症候群、肝腫大、巨舌、皮下出血などを呈する。巨舌は特徴的であり約20%に認められる。血管への沈着が著明であれば出血傾向を呈し、紫斑や皮下出血、粘膜下出血を認める。眼窩周囲に紫斑が認められる場合、アライグマの眼サインと呼ばれる。末梢神経障害として知覚障害、無感覚、筋力低下を認める。感覚障害は通常左右対称性で下肢に多く、ときに痛みを伴う。手根管症候群は他の症状より1年以上先行して見られることが多い。診断は厚生省特定疾患調査研究班による免疫グロブリン性アミロイドーシス(AL型)の診断基準と第10回国際アミロイド・アミロイドーシス会議コンセンサス・オピニオンによる診断基準がある。組織診が重視されるが腹壁の脂肪吸引生検は安全かつ診断率が高い。 ALアミロイドーシスの予後は不良であり無治療例での診断からの生存期間中央値はおよそ13ヶ月である。特に心病変を有する例は予後不良である。遊離軽鎖(FLC)も予後因子である。治療の目標はアミロイド蛋白の原因となっているモノクローナルなFLCの産生を速やかに抑制し臓器機能を温存することにある。第10回国際アミロイド・アミロイドーシス会議コンセンサス・オピニオンでは原発性アミロイドーシスの治療判定基準がある。最も有効な治療は65歳未満ならば造血幹細胞移植の自家末梢血幹細胞移植であるが治療関連毒性が多発性骨髄腫の場合と異なり高いため適応は慎重に検討する必要がある。自己末梢血幹細胞移植の適応がない場合はメルファランとデキサメタゾンの併用療法が行われる。多発性骨髄腫で行うVAD療法はALアミロイドーシスでは実施する意義が乏しいと考えられている。 年齢や臓器障害の程度、全身状態などから適応ありと判断される症例では、自家末梢血幹細胞移植併用大量メルファラン療法を行い、適応が無い場合は、メルファラン-デキサメタゾン併用(MD)療法を行う。
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ALアミロイドーシス
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「ニューロパチー」の記事における「ALアミロイドーシス」の解説
ALアミロイドーシスは多発性骨髄腫、原発性マクログロブリン血症、リンパ腫、他の形質細胞腫またはリンパ球増殖性疾患や原発不明の疾患が背景にあって起こる。ALアミロイドーシスの約30%の患者では多発ニューロパチーがあり通常は足での有痛性感覚障害と灼熱感がある。ただし体幹でにも症状は起こり患者によっては多発単ニューロパチーのパターンを呈する。手根管症候群は25%の患者で起こり初発症状となることがある。ニューロパチーは緩徐進行性であり、大径線維の感覚脱失とともに筋力低下がやがて進行する。大半の患者は起立性低血圧、失神、膀胱直腸障害、便秘、インポテンス、発汗異常といった自律神経症状を呈する。患者は一般には漸進的な疾患(腎不全、心不全)で死亡する。
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