電機子チョッパ制御とは? わかりやすく解説

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電機子チョッパ制御

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/14 03:56 UTC 版)

電機子チョッパ制御(でんきしチョッパせいぎょ)とは、鉄道車両において、直流電動機制御を行う方式の一つで、直流電圧を高速度でスイッチングして切り刻む(チョップする)「チョッパ回路」を主回路主電動機電機子回路)に接続して電圧制御を行うもので、主回路チョッパ制御といわれることもある。単にチョッパ制御、もしくはサイリスタチョッパ制御というと、通常この方式をいう場合が多い。チョッパ回路、採用車両についてはチョッパ制御の項を参照のこと。なお、電機子電流界磁電流を独立して制御する方式を、「高周波分巻チョッパ制御」(4象限チョッパ制御)と区別する場合もある。本項ではそれについても解説する。


  1. ^ ちなみに、抵抗制御でも抑速ブレーキのように高速でなおかつ速度変化が安定している場合や界磁調整器を搭載している場合は、回生ブレーキは使用できる。
  2. ^ VAL 208などで採用されている。
  3. ^ ネコ・パブリッリング『レイルマガジン』2008年5月号「どっこい生きている・・・オレンジ色の電機子チョッパ制御電車201系のトップナンバー編成」pp.40 - 49。
  4. ^ 東洋電機技報第109号 チョッパ・VVVFの流れ(東洋電機 技術開発情報)” (2003年11月). 2017年12月21日閲覧。 (PDF)
  5. ^ 試験は荻窪線(当時)で実施されたが、車両は銀座線用である。
  6. ^ 床上艤装とは、車両の客室に制御装置などの機器を搭載するもの。床下艤装作業の省略のため、試験用としての使用は多い。
  7. ^ a b 三菱電機『三菱電機技報』1966年2月号「電車のチョッパ制御」pp.343 - 345。
  8. ^ a b c d e f 帝都高速度交通営団『東京地下鉄道千代田線建設史』pp.932 - 933、936。
  9. ^ a b c d 鉄道図書刊行会『鉄道ピクトリアル』1995年7月臨時増刊号特集「帝都高速度交通営団」内「営団における電子制御車の移り変わり」pp.185 - 190。
  10. ^ a b c 日本鉄道運転協会「運転協会誌」1976年3月号職場指導講座「サイリスタ・チョッパ車のABC - 3 - 」pp.35 - 39。
  11. ^ 日立製作所『日立評論』 1966年10月号「サイリスタチョッパを用いた電気車のパルス制御 (PDF)
  12. ^ 日本鉄道車両機械技術協会『ROLLINGSTOCK&MACHINERY』2008年8月号技術の源流探訪「電機子チョッパ制御 誕生の頃(その1) - 刈田 威彦氏(帝都高速度交通営団OB)に聞く - 」pp.50 - 52。
  13. ^ a b c d 鉄道図書刊行会『鉄道ピクトリアル』1999年3月号特集「電機子チョッパ車の30年」内「電機子チョッパ制御の開発と車両制御技術」pp.10 - 18。
  14. ^ 三菱電機『三菱電機技報』1967年2月号「サイリスタによる電車用チョッパ制御装置」pp.310 - 317。
  15. ^ a b 東京芝浦電気『東芝レビュー』1969年7月号「直流電車の高圧チョッパ制御による現車試験(2)」pp.879 - 883。
  16. ^ a b c 東京芝浦電気『東芝レビュー』1968年2月号「直流電車の高圧チョッパ制御による現車試験」pp.201 - 205。
  17. ^ a b c d e f 交通労働研究所『鉄道工場』1974年9月号「チョッパ制御電車の現車試験」pp.29 - 33。
  18. ^ 東京芝浦電気『東芝レビュー』1975年2月号「今後のチョッパ制御電車」pp.92 - 96。
  19. ^ a b c d e f 鉄道電化協会『電気鉄道』1974年10月号「国鉄におけるチョッパ制御装置の開発」pp.23 - 26。
  20. ^ 東京芝浦電気『東芝レビュー』1969年10月号「直流電車のチョッパ制御装置」pp.1230 - 1237。
  21. ^ a b 東洋電機製造「東洋電機七十五年史」p.150。
  22. ^ 東洋電機製造「東洋電機技報」第21号(1974年11月)「JNRチョッパ現車試験」pp.15- 23。
  23. ^ 直流電車用サイリスタチョッパ制御装置(富士時報1970年2月号)。
  24. ^ 山陽電鉄納入 270形車用チョッパ制御装置(富士時報1972年10月号)。
  25. ^ 富士高速度サイリスタKGP 22-13(富士時報1971年6月号)。
  26. ^ a b 三菱電機『三菱電機技報』1971年2月号「阪神電鉄向けチョッパ制御装置」pp.235 - 239。
  27. ^ 阪急2200系(また同社の2300系電車5300系電車の一部も試験的に電機子チョッパ制御に改造された)、南海8000系電車 (初代)近鉄3000系電車のように試作車に関しては関西私鉄の方が積極的であった。
  28. ^ 複巻電動機を使用の場合、電機子チョッパの呼び方は適切ではなく、主回路チョッパ制御が正しい。
  29. ^ 東京地下鉄道南北線建設史』帝都高速度交通営団、2002年3月31日https://metroarchive.jp/content/ebook_nanboku.html/ pp.881 - 883。
  30. ^ “「さらばセノハチ」名脇役が引退「西の箱根」で日本支えた機関車”. 朝日新聞 (朝日新聞社). (2022年3月30日). オリジナルの2022年3月30日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20220330030827/https://www.asahi.com/articles/ASQ3Y6SNWQ3TPITB00J.html 2022年3月30日閲覧。 
  31. ^ 電気学会『チョッパ制御ハンドブック』pp.199 - 202。
  32. ^ 東京地下鉄道千代田線建設史、p.930。ただし、一部記述に誤記がある。
  33. ^ a b c d e f g h i j k l m n 帝都高速度交通営団『60年のあゆみ -営団地下鉄車両2000両突破記念-』109 - 110頁。
  34. ^ a b c d e f 三菱電機『三菱電機技報』1982年8月号「新方式高周波4象限チョッパシステム」 (PDF) 」pp.39 - 44。
  35. ^ 日立製作所『日立評論』1986年3月号「鉄道車両へのパワーエレクトロニクスの応用 (PDF) 」。p.14に本形式の主回路つなぎ図が書かれている。
  36. ^ 主制御装置は主チョッパ装置(電機子チョッパ)と界磁チョッパ装置の2種類のチョッパ装置で構成される。
  37. ^ 交友社『鉄道ファン』1983年8月号新車ガイド「営団銀座線に試作車01系登場」pp.64 - 65。
  38. ^ 三菱電機『三菱電機技報』1982年8月号ではGATTの記載はなく、「高周波スイッチング用新型逆導通サイリスタ」の名称が使用されている。
  39. ^ 車両性能は丸ノ内線500形に合わせた設計で、加速度は3.2 km/h/s、減速度は4.0 km/h/sである。(三菱電機『三菱電機技報』1982年8月号)。
  40. ^ a b c 交友社「鉄道ファン」1985年5月号「営団地下鉄新車の話題」pp.76 - 81。
  41. ^ a b 日本地下鉄協会『SUBWAY』1983年7月号レポート「営団地下鉄銀座線用01系試作車について」pp.28 - 37。
  42. ^ a b c d 鉄道図書刊行会「鉄道ピクトリアル」1988年9月号「営団地下鉄日比谷線 03系」106-107頁
  43. ^ 鉄道ジャーナル社『鉄道ジャーナル』1987年7月号LOCAL NEWS「営団東西線でチョッパ試験を実施」p.112。
  44. ^ a b 交友社「鉄道ファン」1988年9月号新車ガイド「日比谷線用03系の概要」63-64頁
  45. ^ 日本鉄道サイバネティクス協議会「鉄道サイバネ・シンポジウム論文集」第25回(1988年)「営団日比谷線向1500V四象限チョッパ制御装置」論文番号309。
  46. ^ 日立製作所『日立評論』1988年7月号「最近の直流電車制御システム (PDF)
  47. ^ 従来の分巻チョッパ制御を採用する01系・02系の粘着性能は18%台で、起動加速度は3.0 km/h/s
  48. ^ 05系はVVVFインバータ制御の試作車として,9000系は路線条件の都合から特殊な事例。
  49. ^ 日本鉄道サイバネティクス協議会「鉄道サイバネ・シンポジウム論文集」第26回(1990年2月)「シーサイドライン横浜向 4象限チョッパ制御装置」論文番号602。
  50. ^ 日本鉄道車輌工業会『車両技術』第192号(1990年10月)「桃花台新交通100系車両」pp.103 - 111。
  51. ^ 日本鉄道運転協会『運転協会誌』1994年9月号ニュース「広島新交通システムアストラムラインの概要」pp.29 - 30。
  52. ^ 日立製作所『日立評論』 1973年2月号「カナダ・トロント地下鉄向け回生ブレーキ付チョッパ制御装置」。
  53. ^ a b c d e f g h 鉄道図書刊行会『鉄道ピクトリアル』1999年3月号特集「電機子チョッパ車の30年」内「チョッパ制御の輸出車両とその歴史」pp.42 - 47。
  54. ^ a b c 若林良明「鉄道車両駆動システムの技術開発と海外展開の変遷」『電気学会誌』第137巻第3号、電気学会、2017年、145-148頁、doi:10.1541/ieejjournal.137.145ISSN 13405551CRID 1390001204994517760 
  55. ^ 三菱電機『三菱電機技報』1982年4月号「スペイン国鉄納め高出力サイリスタチョッパ電気機関車」 (PDF) 」pp.38 - 41。
  56. ^ ロックダウン下でも貨物輸送を止めるな -東芝グループの南アフリカでの貢献(東芝クリップ)。
  57. ^ 三菱電機『三菱電機技報』1988年6月号「オーストラリア ニューサウスウェルズ州鉄道納め 4象限チョッパ制御電車用電機品」 (PDF) 」pp.53 - 58。



電機子チョッパ制御

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/25 17:01 UTC 版)

回生ブレーキ」の記事における「電機子チョッパ制御」の解説

サイリスタ直流電化応用したもので、主回路高速On-Offすることで制御する回生時は主電動機逆電圧をかけて電源電圧より高い電圧を得る。高速時から回生ブレーキ立ち上げる逆に架線電圧大幅に上回ってしまうため、抵抗器挿入して規定電圧以内抑える工夫なされる場合がある。打ち切り速度は数km/h程度

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電機子チョッパ制御

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/08 21:29 UTC 版)

直巻整流子電動機」の記事における「電機子チョッパ制御」の解説

電機子チョッパ制御は、大電半導体(主にサイリスタ)でチョッパ回路構成して電動機回転数見合った電圧供給して起動する方式チョッパで断の瞬間は、通電時にコイル平滑リアクトル)に蓄積したエネルギー電動機供給するので起動抵抗損が発生しないしかしながら抵抗損は低速度域しか発生せず電源供給する走行エネルギー速度2乗比例するから全体走行電力消費対す抵抗損の割合意外に小さく高速度領域での回生制動追求したほうが安価メリット大きいという判断から日本の私鉄では複巻電動機使って起動抵抗制御高速度域からの制動で分巻巻線電流制御して回生制動する界磁チョッパ制御主流になった。また国鉄においても201系電車製造においても高価な電機子チョッパ装置ネックとなり抵抗制御駆逐するには至らず直巻電動機界磁電流逆にして回生制動実現できる界磁添加励磁制御シフトした。 地下鉄においては連続制御により力行時スリップ防ぎつつトンネル内の温度上昇避け目的で電機子チョッパ制御が採用される例が少なくない帝都高速度交通営団大阪市交通局それぞれ6000系電車大阪市交通局10系電車開発し営団その後05系5次車まで電機子チョッパ制御車両製作した

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電機子チョッパ制御

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/30 14:44 UTC 版)

電気車の速度制御」の記事における「電機子チョッパ制御」の解説

電機子チョッパ制御の力行時回路。 同回生ブレーキ時。回路昇圧チョッパ組み替える。 電機子チョッパ制御は主回路チョッパ制御組み入れた構造で、電機子電流電圧制御チョッパで行う方式である。旧来抵抗制御直並列組合せ制御により行っていた、電動機への印加電圧制御降圧チョッパ置き換え連続的に電圧制御するのである抵抗用いないことから損失小さく電圧連続的に制御できるため空転起こしにくく、粘着性能に優れる。 また、電機子チョッパ制御では回生ブレーキ有効に利用できる利点有している。回生ブレーキ電動機ブレーキ時に発電機として利用し得られ電力電車線架線等)に返還するブレーキ方式であり、回生電圧架線電圧上回る必要がある直巻整流子電動機起電力回転速度比例するため、回転速度が低いときは十分な電圧得られず、旧来の抵抗制御等による方法では広い速度域で回生ブレーキ利用することが困難であった。これに対し電機子チョッパ制御では、力行時降圧チョッパ回路を、低い電圧高くする昇圧チョッパ組み替えることが可能であり、低速時起電力が低い場合でも電圧上げて架線に戻すことが可能となった一方で電機子チョッパは、パワーエレクトロニクス発展途上にあった1960年代から1970年代実用化されたため、 電機子流れ大きな電流制御することから、装置大がかり製造費用が高い。 位相制御と同様、高調波生じ誘導障害引き起こすことがある。 などの問題有していた。 また、昇圧チョッパ利用によって低速域まで回生ブレーキ使用できる反面高速域では電動機起電力架線電圧大きく超え回生ブレーキ使用難しくなる問題抱えていた。このため、電機子チョッパ制御では一般に直並列組合せ制御行わないが、高すぎる回生電圧制御するためにブレーキ時に並列組み替えを行う構造搭載した車両もある。 このように本方式は粘着性能に優れており、しかも電流抵抗損失生じない一方で高速域の回生ブレーキに難のある方式であったこのため高速運転は行わないが、高い加速度(高い粘着性能)を必要とし、トンネル内の温度上昇抑制する必要のあった地下鉄車両にしばしば用いられた。

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