関手性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/12 10:21 UTC 版)
群のコホモロジーは次の意味で群 G に反変的に依存している:つまり群準同型 f : H → G は自然な射 Hn(G, M) → Hn(H, M) を誘導する。(ここで後者の M は f を介して H 加群としてみる。)これを制限写像(英: restriction map)という。もし H の G における指数が有限ならば、逆向きの移送写像[訳語疑問点](英: transfer map)と呼ばれる写像 cor H G : H n ( H , M ) → H n ( G , M ) {\displaystyle \operatorname {cor} _{H}^{G}\colon H^{n}(H,M)\to H^{n}(G,M)} がある。次数 0 のところでは、この写像は M H → M G , m ↦ ∑ g ∈ G / H g m {\displaystyle M^{H}\to M^{G},\ m\mapsto \sum _{g\in G/H}gm} で与えられる。G 加群の射 M → N が与えられたとき、コホモロジー群の射 Hn(G, M) → Hn(G, N) を得ることができる。
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関手性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/01 06:45 UTC 版)
上記の構成は任意の位相空間に対して定義でき、連続写像の作用によって保たれる。この一般性により特異ホモロジー論は圏論の言葉で言い直すことができる。とくに、ホモロジー群は位相空間の圏 Top からアーベル群の圏 Ab への関手であると理解することができる。 まず X ↦ C n ( X ) {\displaystyle X\mapsto C_{n}(X)} は位相空間から自由アーベル群への写像と考える。Top の射上のその作用を理解できるとすればこのことによって C n ( X ) {\displaystyle C_{n}(X)} を関手であるようにとれる。さて、Top の射は連続写像であるので、 f : X → Y {\displaystyle f:X\to Y} が位相空間の連続写像であれば、群の準同型 f ∗ : C n ( X ) → C n ( Y ) {\displaystyle f_{*}:C_{n}(X)\to C_{n}(Y)\,} に f ∗ ( ∑ i a i σ i ) = ∑ i a i ( f ∘ σ i ) {\displaystyle f_{*}\left(\sum _{i}a_{i}\sigma _{i}\right)=\sum _{i}a_{i}(f\circ \sigma _{i})} と定義することで拡張できる、ただし σ i : Δ n → X {\displaystyle \sigma _{i}:\Delta ^{n}\to X} は特異単体で ∑ i a i σ i {\displaystyle \sum _{i}a_{i}\sigma _{i}\,} は特異 n-チェイン、すなわち、 C n ( X ) {\displaystyle C_{n}(X)} の元。このことは C n {\displaystyle C_{n}} は位相空間の圏からアーベル群の圏への関手 C n : T o p → A b {\displaystyle C_{n}:\mathbf {Top} \to \mathbf {Ab} } であることを示している。 バウンダリ作用素は連続写像と交換するので、 ∂ n f ∗ = f ∗ ∂ n {\displaystyle \partial _{n}f_{*}=f_{*}\partial _{n}} 。これによってチェイン複体全体を関手として扱うことができる。とくに、このことは写像 X ↦ H n ( X ) {\displaystyle X\mapsto H_{n}(X)} が位相空間の圏からアーベル群の圏への関手 H n : T o p → A b {\displaystyle H_{n}:\mathbf {Top} \to \mathbf {Ab} } であることを示している。ホモトピーの公理によって H n {\displaystyle H_{n}} はまた関手であり、ホモロジー関手と呼ばれ、hTop, 商ホモトピー圏(英語版)、に作用する。 H n : h T o p → A b . {\displaystyle H_{n}:\mathbf {hTop} \to \mathbf {Ab} .} これは特異ホモロジーを他のホモロジー論から区別する。 H n {\displaystyle H_{n}} はなお関手であるが、Top のすべてで定義されている必要はない。ある意味、特異ホモロジーは「最大の」ホモロジー論である。Top の部分圏上のすべてのホモロジー論はその部分圏上の特異ホモロジーと一致するということである。一方で、特異ホモロジーは最もcleanな圏論的性質を持っていない。そのようなcleanupは胞体ホモロジー(英語版)のような他のホモロジー論の発達をモチベートする。 より一般的に、ホモロジー関手はアーベル圏の関手として、あるいは、チェイン複体の関手として、公理的に定義される。短完全列を長完全列に変えるバウンダリ射を要求する公理を満たす。特異ホモロジーの場合には、ホモロジー関手を2つのピースに分解できる。位相的なピースと代数的なピースである。位相的なピースは C ∙ : T o p → C o m p {\displaystyle C_{\bullet }:\mathbf {Top} \to \mathbf {Comp} } で与えられる。位相空間を X ↦ ( C ∙ ( X ) , ∂ ∙ ) {\displaystyle X\mapsto (C_{\bullet }(X),\partial _{\bullet })} として写し、連続関数を f ↦ f ∗ {\displaystyle f\mapsto f_{*}} として写す。すると、ここで、 C ∙ {\displaystyle C_{\bullet }} は特異チェイン関手と理解され、これは位相空間をチェイン複体の圏(英語版)[要リンク修正] Comp (or Kom) に写す。チェイン複体の圏は対象としてチェイン複体をもち射としてチェイン写像をもつ。 次に、代数的な部分はホモロジー関手 H n : C o m p → A b {\displaystyle H_{n}:\mathbf {Comp} \to \mathbf {Ab} } でこれは C ∙ ↦ H n ( C ∙ ) = Z n ( C ∙ ) / B n ( C ∙ ) {\displaystyle C_{\bullet }\mapsto H_{n}(C_{\bullet })=Z_{n}(C_{\bullet })/B_{n}(C_{\bullet })} で写しチェイン写像をアーベル群の写像に写す。公理的に定義されるのはこのホモロジー関手であり、それはそれ自身にチェイン複体の圏上の関手として基づいている。 ホモトピー写像はホモトピー同値なチェイン写像を定義することによって再び絵に入る。したがって、商圏(英語版) hComp あるいは K、チェイン複体のホモトピー圏(英語版)、を定義できる。
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関手性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/30 06:56 UTC 版)
位相空間の連続写像はすべての n に対してそれらの n 次ホモロジー群の間の準同型を引き起こす。この代数トポロジーの基本的な結果はチェイン複体のある種の性質による自然な説明を見つける。いくつかの位相空間を同時に研究することは非常によくあることだから、ホモロジー代数において多数のチェイン複体を同時に考察するということになる。 2つのチェイン複体の間の射 (morphism) F : C ∙ → D ∙ {\displaystyle F:C_{\bullet }\to D_{\bullet }} はアーベル群の準同型 Fn:Cn → Dn の族であって微分と交換するようなものである。これの意味するところは、すべての n に対して、Fn -1 • dnC = dnD • Fn ということである。チェイン複体の射はそれらのホモロジー群の射 H ∙ ( F ) {\displaystyle H_{\bullet }(F)} を誘導する。これはすべての n に対して準同型 Hn(F): Hn(C) → Hn(D) からなる。射 F は、それがすべての n に対して n 次ホモロジーの同型を誘導するときに、擬同型 (quasi-isomorphism) と呼ばれる。 代数や幾何で生じる、特異ホモロジーを含む、チェイン複体の多くの構成は、次の関手的性質をもっている。2つの対象 X と Y が写像 f で結ばれていれば、伴ったチェイン複体は C ∙ ( X ) {\displaystyle C_{\bullet }(X)} から C ∙ ( Y ) {\displaystyle C_{\bullet }(Y)} への射 F = C(f) によって結ばれており、さらに、写像 f: X → Y と g: Y → Z の合成 g • f は、合成 C(g) • C(f) と一致する、 C ∙ ( X ) {\displaystyle C_{\bullet }(X)} から C ∙ ( Z ) {\displaystyle C_{\bullet }(Z)} への射 C(g • f) を誘導する。ホモロジー群 H ∙ ( C ) {\displaystyle H_{\bullet }(C)} もまた関手的であるということが従い、それゆえ代数的あるいは幾何学的対象の間の射はそれらのホモロジーの間の両立する (compatible) 写像を引き起こす。 次の定義は代数やトポロジーでよくある状況から生じる。3つのチェイン複体 L ∙ , M ∙ , N ∙ {\displaystyle L_{\bullet },M_{\bullet },N_{\bullet }} とそれらの間の2つの射 f : L ∙ → M ∙ , g : M ∙ → N ∙ {\displaystyle f:L_{\bullet }\to M_{\bullet },g:M_{\bullet }\to N_{\bullet }} からなる三つ組みは次のようなとき exact triple あるいは複体の短完全列 (short exact sequence of complexes) と呼ばれ、 0 ⟶ L ∙ ⟶ f M ∙ ⟶ g N ∙ ⟶ 0 , {\displaystyle 0\longrightarrow L_{\bullet }{\stackrel {f}{\longrightarrow }}M_{\bullet }{\stackrel {g}{\longrightarrow }}N_{\bullet }\longrightarrow 0,} と書かれる:任意の n に対して、列 0 ⟶ L n ⟶ f n M n ⟶ g n N n ⟶ 0 {\displaystyle 0\longrightarrow L_{n}{\stackrel {f_{n}}{\longrightarrow }}M_{n}{\stackrel {g_{n}}{\longrightarrow }}N_{n}\longrightarrow 0} はアーベル群の短完全列である。定義によって、このことは fn は単射で、gn は全射で、 Im fn = Ker gn であることを意味する。ジグザグ補題と呼ばれることもある、ホモロジー代数学の最も基本的な定理の1つによると、この場合、ホモロジーの長完全列 … ⟶ H n ( L ) ⟶ H n ( f ) H n ( M ) ⟶ H n ( g ) H n ( N ) ⟶ δ n H n − 1 ( L ) ⟶ H n − 1 ( f ) H n − 1 ( M ) ⟶ … {\displaystyle \ldots \longrightarrow H_{n}(L){\stackrel {H_{n}(f)}{\longrightarrow }}H_{n}(M){\stackrel {H_{n}(g)}{\longrightarrow }}H_{n}(N){\stackrel {\delta _{n}}{\longrightarrow }}H_{n-1}(L){\stackrel {H_{n-1}(f)}{\longrightarrow }}H_{n-1}(M)\longrightarrow \ldots } が存在する。L, M, N のホモロジー群は循環的に互いに従い、δn は f と g によって決定されるある準同型であり、連結準同型 (connecting homomorphism) と呼ばれる。この定理を位相幾何学的に表現すれば、マイヤー・ヴィートリス完全系列や相対ホモロジー(英語版)の長完全列が現れる。
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