自然と天然資源
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/12 16:55 UTC 版)
バルカンの大部分は北西から南東に向けて走る山岳地帯に覆われている。主たる山地はバルカン山脈であり、ブルガリアの黒海沿岸からセルビアの国境線まで伸びる。ロドピ山脈がブルガリア南部と北部ギリシャに、ディナルアルプス山脈がボスニア・ヘルツェゴヴィナ、クロアチア、そしてモンテネグロに伸びている。シャル山脈(英語版)の山地がアルバニアから北マケドニアにかけて、ピンドス山脈が南アルバニアから中央ギリシャにかけて、プロクレティエ山地(英語版)(アルバニア・アルプス)まで広がっている。バルカンの最も高い山はブルガリアのリラ山脈(英語版)のムサラ山であり、標高は2925メートルである。ギリシャにあるオリンポス山は標高2917メートルで第二位であり、ブルガリアのヴィフレン山(英語版)が標高2914メートルで第3位である。カルスト地形またはポリエはバルカンの山地の景観における一般的な特徴である。 バルカンのアドリア海とエーゲ海の沿岸の気候は地中海性であり、黒海沿岸では温暖湿潤気候と海洋性気候、内陸部では湿潤大陸性気候となる。バルカン半島の北部と山岳地帯では冬は冷え込み降雪がある。一方で夏は暑く乾燥している。南部の冬は穏やかである。具体的には、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ、北部クロアチア、ブルガリア、コソヴォ、北マケドニア、北部モンテネグロ、アルバニア内陸部、そしてセルビアは湿潤大陸性気候が優勢であるが、それ以外の地域ではそうではない。温暖湿潤気候と海洋性気候の地域はブルガリアとヨーロッパ・トルコの黒海沿岸で見られる。アルバニア沿岸部とクロアチア沿岸部、ギリシャ、南部モンテネグロ、ヨーロッパ・トルコのエーゲ海沿岸部は地中海性気候である[要説明][要出典]。 数世紀に渡り森林の伐採が進み、植生は低木に切り替わった。バルカン南部と沿岸部では常緑樹の植生がある。内陸部の木々は典型的な中央ヨーロッパのそれ(オークとブナ、山地ではトウヒとモミ、そしてマツ)である。山地の森林限界線は標高1800メートルから2300メートルにある。バルカンの土地は多くの固有種の生息地となっている。また極めて豊富な昆虫と爬虫類の生息地ともなっており、多様な猛禽類と貴重なハゲタカの食糧源となっている。 土壌は一般的に痩せている。天然の草原が広がる平野部は例外で、肥えた土壌と温暖な夏のため耕作に適している。それ以外の土地では、山地、酷暑、土壌の貧困のために農業はほとんど成立しないが、オリーヴやブドウなど特定種の生産は栄えている。相当量の石炭、鉛、亜鉛、クロム、そして銀の鉱床があるコソヴォを例外として、エネルギー資源は乏しい。炭鉱は他の地域、特にブルガリア、セルビア、ボスニアにも存在する。亜炭の鉱床はギリシャに広く存在する。ギリシャ、セルビア、アルバニアの石油埋蔵量は少ない。天然ガスのガス田もまた乏しい。水力は広く利用され、1,000以上のダムが存在する。しばしば吹き付けるボーラ(この地域で北、北東から吹く滑降風)も風力発電に活用されている。 その他の資源と比べ金属資源はより豊富である。鉄鉱石は希少であるが、いくつかの国には多量の銅、亜鉛、スズ、クロム鉄鉱、マンガン、マグネシウム、そしてボーキサイトが存在する。これらの一部は輸出されている。
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