海外の反応および報道
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/10 05:59 UTC 版)
2011年3月21日の「ニコニコ笑っている人に放射能はきません」という山下の言葉は世界中に反響を呼び、ドイツやフランスからもインタビューに来るほどであった。 アメリカでは2011年6月10日、「デモクラシー・ナウ!」で環境活動家のアイリーン・スミスが福島県の健康調査とそれを率いる山下について、「100ミリシーベルト浴びても心配ない」という見解を「ニコニコ笑ってる人には来ません。クヨクヨしてる人に来ます」という発言とともに、紹介した。 8月にはドイツのデア・シュピーゲルからインタビューを受け、発言内容の意図等に間して質問を受け、山下は自分を非難する人々は「専門家ではない」とし、約200万人の福島県民を対象とする健康調査を、「科学界に記録を打ち立てる大規模な研究になる」と発言した。 9月には、フランス国立科学研究センターの経済学者であるティエリー・リボー (Thierry Ribault) が日本財団主催の国際会議「放射線と健康リスク」や健康調査について、山下の3月の発言「100マイクロシーベルト/hを越さなければ、まったく健康影響を及ぼしません」(年間876ミリシーベルト)やその後の「年間100ミリシーベルト」を引用しつつ、これらが「科学詐欺」であるとしている。 ドイツZDFテレビ「フロンタール21」は福島市民講演会の映像とともに山下が「ニコニコ笑っていれば放射能の被害は受けません。クヨクヨしていれば受けます」「動物実験はありませんが、困難な時にもクヨクヨしなければ健康被害はないのです」「毎時100マイクロシーベルト以下ならいずれにしろ健康に害はありません」という発言を放送した。しかし、動物実験の部分は誤訳となっており、「100マイクロシーベルト」発言が「10マイクロシーベルト」と訂正されたことも伝えられてはいない。この映像はネットを通じて世界へ発信され、日本にも日本語字幕付きで伝えられた。 台湾(中華民国)では、2011年10月に蘋果日報がティエリー・リボーの翻訳記事を掲載した。2012年3月5日に放送された公共電視の番組である『我們的島』(私たちの島)第645集の『311的習題(311の練習問題)』と『核電廠(原発)補考記』で山下は、「福島の原子力災害は予測するのが難しく、ただこの一点について周辺国家は日本を手本とすべきではなく、今回の失敗を反面教師としなければならない」と語った。さらに、「災害前は『放射能は私たちとはとても遠く、しかも原子炉は百パーセント安全である』と信じていたが、この種の考え方は『完全に間違い』であることを実証した」と表明し、「私たちはリスク管理のために良く準備すべきで、それは単に危機がやってくるのがとても早いというばかりではなく、さらに一般的に言えば大衆のためである」と強調した。 2012年同月、フィナンシャル・タイムズのミュア・ディッキー東京支局長は、山下にインタビューし、その経歴や彼に対する否定的な評価に触れつつ、福島第一原発からの放射性降下物による健康被害よりも避難生活やストレスによる健康被害の方が深刻だというその確信が科学者の賛同を得ており、福島県で政府出資による最重要なプログラムの一つである今後数十年にわたる200万の県民の健康をモニターする意欲的な調査を率いる手助けをしていると書いている。 2012年8月、チェルノブイリから戻ったばかりの山下は、エコノミストの取材で、レベル7に到達したにもかかわらず福島の放射性同位体の大半が海に吹き飛ばされたので、チェルノブイリ原子力発電所事故よりもはるかに深刻ではなく、政府が汚染された食物や牛乳の消費が迅速に止められたので、チェルノブイリ周辺の子供が苦しんだような甲状腺への潜在的な問題を減らしたと力説した。 2013年2月にネイチャーは本人からの電子メールを受けて、山下が健康管理調査委員会の座長を辞任することを報じた。 同年11月、アメリカのNatural Newsは朝日新聞連載『プロメテウスの罠』で山下がヨウ素剤の配布を拒否したことやSPEEDI結果への反応を引用し、山下が放射性降下物に対して誤った情報を与えていことを認めたと報じた.。
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