板
『出エジプト記』第31~34章 モーセがシナイ山から降りる時、彼の手には掟(=十戒)を記した2枚の石の板があった。それは神自身が作った板であり、表にも裏にも、神自身の指で書かれた文字があった。ところがモーセが下山すると、イスラエルの民は雄牛の鋳像を造って拝んでいた。モーセは怒り、2枚の板を投げつけて砕いた。モーセは再び山へ登り、神の教えにしたがって、あらためて石の板を2枚切り、十戒を書き記した〔*神自身の筆跡の板は残っていない、ということである〕。
『2001年宇宙の旅』(キューブリック) 人類の黎明期、アフリカに謎の黒石板(モノリス)が現れ、ヒトザルに「知」を与える(*→〔骨〕3)。西暦2001年、月面から黒石板が発掘され(*→〔旅〕3a)、黒石板から発する電波を追って、宇宙船ディスカバリー号が木星へ向かう。宇宙空間を黒石板が漂い、太陽光を受けて黒く輝く。ディスカバリー号の乗員ボーマンは異世界へ入り込み(*→〔自己視〕1b)、年老いた姿でベッドに臥す。彼の前に黒石板が現れ、ボーマンは震える手で黒石板を指差す。ベッドの上のボーマンは、青白い光を放つ胎児に変わる。
『今昔物語集』巻27-18 夏の深夜。ある人の邸の棟の上に、板が7~8尺ほど差し出て、それがヒラヒラ飛んで降りて来た。宿直(とのい)の侍2人が「これは鬼であろう」と思って刀を抜くと、板は侍たちを避け、格子の隙間から部屋の中へ入り、寝ていた五位の侍を押しつぶした。板はそのままどこかへ消えてしまった。五位の侍は、刀も持たず無防備に眠っていたゆえ、殺されたのだ。
*『図説日本妖怪大全』(水木しげる)の板鬼は、ほぼ同話といってよいものであるが、そこでは「五位の侍」ではなく、「5人の侍」となっている。すなわち、板が5人を平(ひら)ったくつぶしたというので、物語が伝承過程で誤解などによって変化して行くさまがうかがえる。
『一千一秒物語』(稲垣足穂)「友だちがお月様に変った話」 お月様が「自分」を押し倒して(*→〔月〕6)、その上をころがって行った。「自分」はアスファルトの上に、板になって倒れていた。カイネ博士が「月は三角形で、速く廻っていたから円く見えたのだ」と人々に説明しながら、倒れている「自分」をひき起こす。それは、ボール紙を切りぬいた人形であった。
★4.板が伸びる。
『スーフィーの物語』17「粘土の鳥はなぜ空を飛んだか」 子供時代のイエスが、父親の大工ヨセフの仕事場にいた時のこと。短くて使えない木の板をイエスが引っ張ると、不思議なことに板が伸びた。この話を伝え聞いた人々は「それは奇蹟だ。その子は聖者になるだろう」と言った。ある者たちは「信じられない。俺たちの前でもう1度やってみろ」と言った。「その話は事実ではないのだから、本に記録してはならない」と言う者たちもいた。
『西遊記』百回本第9回 悪人劉洪が、玄奘三蔵の父陳光蕋(ちんこうずい)を殺して河に投げ入れ、母温嬌(おんきょう)を強奪する。温嬌は、生まれたばかりの三蔵を劉洪の手から守るために、板に乗せて川へ流す。金山寺の和尚がこれを拾って育てる。
『東海道四谷怪談』(鶴屋南北)「浪宅」~「砂村隠亡堀」 民谷伊右衛門は、妻お岩が死んだ後、下僕・小仏小平(こぼとけこへい)を斬り殺し、2人を不義密通の男女に仕立てる。伊右衛門は2人の死骸を戸板の両側に釘で打ちつけ、「世間へ見せしめ。川へ流して、すぐに水葬」と言って、川に棄てる。戸板は数十日間漂流して方々で評判になった後、隠亡堀で釣りをする伊右衛門のもとへ流れ寄る→〔釣り〕1a。
「板」に関係したコラム
-
株式取引の板とは、銘柄の価格帯ごとの売り数量と買い数量を表示した表のことです。売数量株価買数量14100341534000341021900340565200340087000339576600339...
-
特別気配とは、売り注文と買い注文の数量がアンバランスな状態で、売買の成立が困難な状況のことです。例えば、株価が400円の時に、402円、401円、400円、399円、・・・に大量の買い注文が入り、40...
-
株価指数は、証券取引所に上場している銘柄を一定の基準で選出し、それらの銘柄の株価を一定の計算方法で算出したものです。例えば、日本の株価指数の日経平均株価(日経平均、日経225)は、東京証券取引所(東証...
- >> 「板」を含む用語の索引
- 板のページへのリンク