日本型
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/13 05:17 UTC 版)
日本のカタログモデルとしては、1952年(昭和27年)にトヨペット・SBをキャブオーバー化した「トヨペット・ルートバン」が嚆矢と思われる。アメリカ型の模倣・縮小版と見られる構成で、イラストでは左側のドアが引き戸のように描かれているが、実車と見られる写真では前ヒンジとなっている。同時に図面も掲載されているが、扉の開き方に関しての記載は無い。SBトラックのラダーフレームを流用し、かつ全高2.0メートルの小型車枠に収めているため、荷室の室内高は1,400 mmとやや低い。車体架装は路面電車やバスの車体を手がけていた、日産自動車傘下となる前の新日国工業(現・日産車体)である。トヨタの他の乗用車やライトバンなどと異なるコーチビルダーに車体製造を依頼していることから、現在の特装車に当たると想像される。 1968年(昭和43年)にモデルチェンジしたいすゞ・エルフの2代目に、エルフ ハイルーフの名で、アルミボディーのウォークスルーバンが登場している。その後、1982年(昭和57年)にヤマト運輸が宅急便集配用にトヨタと共同開発したクイックデリバリーや、他社の競合車種も、はしごフレームを持つ1.5 - 2トンクラスのトラックをベースに、平面構成の鋼製車体を架装する工法を踏襲しており、アメリカ型に準ずる構造である。日本のこのクラスの車種で、プラットフォームフレームを採用した例は無い。 1984年(昭和59年)、初代ダイハツ・ミラのモデル末期にパネルバンボディを架装したミラ ウォークスルーバンが登場する。見た目のユニークさや実用性の高さ、そして何よりも軽規格内でのウォークスルー構造ということで、大きな話題となった。 ミラ ウォークスルーバンは、軽量化と室内容積の有効活用のため、乗降用ドアは戸袋やスライドレールの不要な内開き式の折戸が採用され、左側のみに配置されている。バックドアには3枚折戸と上下開きの2種類がある。基本的には1人乗りで、助手席はオプションである。軽自動車規格の最大高は2.0メートルが上限のため、室内高はやや低いものの、優れた設計で床の段差はできる限り小さくされており、小回りの効く外寸と共に使い勝手は良く、大きな成功を収めた。 さらに同時期のミラシリーズには、運転席が通常のセパレートシートでウォークスルー構造では無いが、移動販売に適したウォークインバンとして商用車臭を薄めたデザインを施し、荷箱に対面販売に対応したガルウイングドアを装備する、ミラ ミチートも追加されている。 市場の反響の大きさからスズキ・アルトと三菱・ミニカにもウォークスルーバンがラインナップされたが、先行して登場したミラに比べて各部に造りの荒さや詰めの甘さが散見されることから販売台数は少なく、これら2車は軽自動車の規格変更前に消滅している。 660 cc規格ではミラのみ生産が続けられていたが、それも1998年(平成10年)の軽自動車規格改定と同時に消滅している。 ダイハツは2004年(平成16年)の第38回東京モーターショーに「FFC」をコンセプトカーとして出品しており、ウォークスルーバンの後継車についての模索と見られるが、市販には至っていない。 トヨタ・クイックデリバリーが2011年(平成23年)をもって生産終了したため日本メーカーの国内現行車種は今のところ皆無だが、欧州日産ではルノー・マスターのOEM車を、インタースターの名で販売している。 2020年(令和2年)、久方ぶりの国産車種としていすゞ・エルフをベースとするEVウォークスルーバンが開発され、ヤマト運輸にて実証運用を開始した。 2021年(令和3年)、日野が4月に発表した「超低床・前輪駆動」のデュトロ Z EVを、11月24日より約6か月間ヤマト運輸にて実証実験を行うことが発表された。
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