慢性活動性EBウィルス感染症
別名:慢性活動性EBウイルス感染症
EBウィルス(エプスタインバールウイルス)への感染によって発症する場合がある希少疾患、および難治性疾患。
EBウィルスはヘルペスウィルスの一種で、「EBウィルス感染症」と呼ばれる感染症の原因となる。EBウィルス感染症は世界中の多くの人が罹患する感染症で、大半の場合は軽微な症状を呈する程度で回復する。EBウィルスによって「伝染性単核球症」を発症する場合もあるが、数日から数週間程度で回復する。
慢性活動性EBウイルス感染症は、EBウィルスが体内で増殖し、通常のEBウィルス感染症の数百倍から1000倍程度に増えるという。肝臓や脾臓などに合併症を発症し、数ヵ月におよぶ高熱、発疹、脳炎などを併発する。
関連サイト:
厚生労働科学研究 難治性疾患克服研究事業 「慢性活動性EBウイルス感染症の診断法及び治療法確立に関する研究」 ホームページ - 独立行政法人国立成育医療研究センター研究所 母児感染研究部
慢性活動性EBウイルス感染症
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/28 04:37 UTC 版)
慢性活動性EBウイルス感染症(まんせいかつどうせいイービーウイルスかんせんしょう、Chronic Active Epstein-Barr Virus infection:CAEBV)とは、ヘルペスウイルス科に属するEBウイルス(Epstein-Barr virus) が感染したTリンパ球やNKリンパ球の増殖が免疫系の制御が不十分となって誘発される高サイトカイン血症である[1]。希ではあるが顕在化すると重篤な症状を起こす。
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- ^ “研究内容”. 東京医科歯科大学血液内科. 2016年7月9日閲覧。
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- ^ 研究奨励分野 研究班名簿・疾患概要(21年度) 102 慢性活動性EBウイルス感染症 名簿 - 難病情報センター
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- ^ 難治性疾患研究班情報(研究奨励分野)》 慢性活動性EBウイルス感染症(平成22年度)
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- ^ 今日の小児治療指針 第15版 20120215 発行
- ^ CAEBV患者会SHAKE
- ^ "EBV-associated T/NK-cell lymphoproliferative diseases in nonimmunocompromised hosts: prospective analysis of 108 cases." PMID 22096243, doi:10.1182/blood-2011-10-381921
- ^ "Excellent outcome of allogeneic hematopoietic SCT with reduced-intensity conditioning for the treatment of chronic active EBV infection.", PMID 20498651, doi:10.1038/bmt.2010.122
- ^ 慢性活動性EBウイルス感染症の治療 大阪府立母子保健総合医療センター[リンク切れ]
- 1 慢性活動性EBウイルス感染症とは
- 2 慢性活動性EBウイルス感染症の概要
- 3 診断基準
- 4 出典
慢性活動性EBウイルス感染症
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/13 02:05 UTC 版)
「エプスタイン・バール・ウイルス」の記事における「慢性活動性EBウイルス感染症」の解説
慢性活動性EBウイルス感染症(chronic active EBV infection;CAEBV)は、EBVが感染しているNK細胞もしくはT細胞の増殖性疾患である。抗ウイルスカプシド抗原(anti-viral capsid antigens;VCA)-IgG・抗初期抗原(anti-early antigens;EA)-IgGといった溶解感染関連遺伝子に対する抗体価が高いケースが多いために“慢性活動性“という名称をつけられているが、増殖しているT/NK細胞においてEBVは、他のEBV陽性がん同様、溶解感染ではなく潜伏状態にある。 伝染性単核球症においてはEBVはB細胞を感染ターゲットとしているのに対し、CAEBVにおいてはNK細胞やT細胞がEBVの感染ターゲットとしている点が異なる。CAEBV患者の組織においては、EBER-1の in situ ハイブリダイゼーションによって多くのEBV感染に感染したリンパ球を認めることができ、患者の末梢血単核球(peripheral blood mononuclear cells ; PBMC)でEBVゲノムが高値となることが多い。 伝染性単核症様の症状が長期継続するほか、蚊刺過敏症、種痘様水疱症(英語版)、赤血球貪食症候群などが随伴する場合がある。まれな疾患ではあるが、日本を含む東アジアでは比較的発症率が高い。少なくとも一部のケースにおいては、慢性活動性EBウイルス感染症から悪性転化してT/NKリンパ腫を生じる。また、主たるEBV感染細胞がT細胞かNK細胞かによって予後が異なる。EBV感染細胞の主体が CD3+細胞の場合はT細胞型とし、さらにCD4+細胞とCD8+細胞に分類される。EBVによる赤血球貪食症候群の場合にはEBVの感染しているリンパ球はCD8+細胞であることがほとんどであり、CAEBVでは主にCD4+細胞に感染していることが多い。特に活性化したT細胞により多くのEBV感染細胞が認められる。CD3-かつCD16+またはCD56+細胞にEBVが感染している場合にはNK細胞型と分類される。 T細胞型CAEBVは、高熱とVCA-IgG・EA-IgGの抗体価が高いことが特徴である。これは、EBVに感染したT細胞が活性化し、インターフェロンγ・IL-6・TNF-αなどの炎症性サイトカインを放出した結果、重症な炎症と発熱が引き起こされると考えられている。 一方NK細胞型CAEBVは・HMB・大顆粒リンパ球増加症・IgE抗体価が高いことが特徴である。 EBVはB細胞においてCD40L発現を誘発し、CD40とCD40Lの共発現を引き起こす。この2分子間の相互作用は、共刺激(co-stimulation)による細胞生存シグナルを出すことでB細胞形質転換において大きな役割を担う。また、今までEBV感染による CD40とCD40L共発現はB細胞についてのみ言われてきたが、EBVに関連したT/NK細胞の増殖においても、CD40-CD40LシグナルがT細胞やNK細胞の不死化を促進しているのではないかと考えられている。
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