慢性炎症
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/18 18:47 UTC 版)
慢性炎症(まんせいえんしょう)は、炎症のうち、進行が緩やかに持続するもの。臨床的には1週間以上の炎症である。炎症は組織異常に対する生体の反応であるため、組織異常が治癒しないために炎症が起き続けるという場合、厳密に言って慢性炎症ではない。これは正常な炎症反応である。通常は組織異常が、治癒してゆくに従い、炎症は反応レベルが下がり、治癒機転が始まり異常組織の細胞断片、異常の原因物質などが除去されると消失する。慢性炎症とは、組織異常が解消されているのにもかかわらず炎症物質、細胞などの活動が収束しないものを指す、と言うべきである。例を挙げると化学物質により皮膚の異常が生じたのち、その原因物質が除去され異常が修復されている状況で赤発、かゆみ、疼痛などがおさまらない場合である。 静かに沈むような軽度の慢性炎症は、ほとんどすべての人に影響を及ぼし、心血管疾患、癌、2型糖尿病などの症状の原因となる可能性がある。驚くべきことに、世界中の5人に3人が、慢性炎症に関連する病気で亡くなっている。慢性炎症が認知機能低下、脳卒中、認知症(アルツハイマー病を含む)、うつ病につながる可能性がある。慢性的なストレスなどは、慢性炎症の発症を引き起こす。多くの慢性疾患は炎症に関連しており、その炎症を制御することはしばしば治療の重要な部分である。しかし、炎症はほとんどの慢性疾患の直接的な原因ではない。したがって、慢性炎症は一般の人々の想像をはるかに超えているが、それが唯一の死因ではなく、慢性炎症を制御することは他の慢性疾患の排除につながらない。それでも、地中海式食事療法は慢性炎症を軽減するのに役立つ。
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