復元力
復元力(ステアリング)
操舵されたハンドルを直進状態にもどそうとする力をいう。復元力の源は、タイヤのセルフアライニングトルク、キャスタートレール、キングピン傾角とキャスター角による車体の位置のエネルギーなどである。クルマのステア特性によっても影響を受け、アンダーステア特性のほうが相対的に復元力は強い。これらに、接地荷重、オーバーオールステアリングレシオ、ステアリング系の効率、フリクション、スクラブ半径、駆動、制動力などが関係して全体の復元力となる。復元力を強化するシステムとしては、パワーステアリング機構に、操舵反力を高める機能や、強制的にハンドルを直進位置にもどす機能を付加したものがある。
参照 復元性(操縦安定性)復元力
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/06 21:16 UTC 版)
ばねは、力を加えられると変形し、力を取り除くと元の形に戻るという性質を持っている。このように力が加わって変形しても元に戻ろうとする性質を持つことが、ばねの基本的性質であり、必要条件である。元の形に戻ろうとする力は「復元力」と呼ばれ、復元力の存在がばねの主要な特性の1つ目に挙げられる。 復元力は物質の「弾性」という性質に起因し、力を取り除くと元の形に戻る変形は「弾性変形」と呼ばれる。しかし、力(正確には応力)が材料の限界を超えて加わると、力を除いても変形(正確にはひずみ)が残るようになる。この性質は「塑性」と呼ばれ、塑性という性質によって元に戻らない変形のことを「塑性変形」と呼ぶ。変形が弾性変形に留まる最大の応力は「弾性限度」と呼ばれる。ばねは元に戻ることを前提して使われるものであるため、塑性変形が起こることは好ましくなく、一般にばねに加わる力が弾性限度を超えない範囲で使用される。 ばねの変形のことや変形量のことを「たわみ」と呼ぶ。たわみの物理単位には、変位(長さの変化)と回転角(ねじり角や曲げ角の変化)の2種類がある。長さが変化することを利用する圧縮コイルばねでは、たわみの単位は変位で表される。棒のねじり角度が変化することを利用するトーションバーでは、たわみの単位は回転角(ねじり角)である。たわみの物理量に対応して、たわみを起こす負荷にもいくつかの種類が考えられる。変位であれば荷重(純粋な力)であり、ねじり角であればねじりモーメントが考えられる。実際のばねでは、変位や回転変形が組み合わさった複雑なたわみを起こすものもある。 このような荷重とたわみがある一定関係を持っていることが、ばねが持つ基本的性質や機能の一つともいえる。ばねが示す荷重とたわみの関係のことを「ばね特性」「荷重-たわみ特性」「荷重特性」などと呼ぶ。最もよく利用されるばねのばね特性は、線形であることが多い。線形とはたわみが荷重に比例して増減するということで、ばねに 10 kg の重りを吊るすとばねが 1 cm 伸び、20 kg の重りを吊るすと 2 cm 伸びるという具合である。この関係は「フックの法則」としても知られる。線形特性であるばねでは荷重とたわみの関係は以下のような式で表される。 P = k δ {\displaystyle P=k\delta } ここで、P が荷重(力)で、δ がたわみ(変位)である。k は P と δ の比例定数で「ばね定数」と呼ばれ、単位は[力]/[長さ]である。例えば 10 kgf/cm というばね定数は、たわみ 1 cm を起こすのに 10 kg の重りを吊るす必要があるという意味である。実際の製品でいえば、大型自動車や鉄道車両の懸架装置用ばねでは大きなばね定数が必要となり、それと比較してベッドやソファーのばねでは小さなばね定数が必要となる。 負荷がねじりモーメント T で、たわみがねじり角 θ のときは、 T = k θ {\displaystyle T=k\theta } という式になる。この場合の k の単位は[モーメント]/[角度]であり、k を「回転ばね定数」などと呼んで通常のばね定数と区別する場合もある。 荷重とたわみが比例しないばねも存在し、そのような関係を非線形と呼ぶ。非線形特性のばねでは、例えば、ばねに 10 kg の重りを吊るすと 1 cm 伸びるが、20 kg の重りを吊るしても 1.2 cm しか伸びないという具合である。さらに、荷重を加えるときと取り除くときで荷重とたわみの関係が異なり、荷重-たわみ曲線がヒステリシスループを描くばねもある。皿ばねや圧縮コイルばねの内の特殊なものが、非線形特性のばねの例として挙げられる。
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