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けんか-そうち ―さう― 4 【懸架装置】



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サスペンション

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2011/12/03 12:55 UTC 版)

(懸架装置 から転送)

サスペンションsuspension、懸架装置)とは、主に車両において、路面の凸凹を車体に伝えない緩衝装置としての機能と、車輪、車軸の位置決め、車輪を路面に対して押さえつける機能を持つことで、乗り心地や操縦安定性などの改善を目的とする機構である。またその他の機械類における、防振機構(インシュレーター)のことを指す場合もある。

目次

自動車のサスペンション

コイルオーバーの例

黎明期以来さまざまな方式のサスペンションが考案され実用化されている。

一般的な自動車のサスペンションは、基本的構成として車軸の位置決めを行うサスペンションアーム、車重を支えて衝撃を吸収するスプリング、スプリングの振動を減衰するショックアブソーバーで構成される。欧米ではスプリングショックアブソーバーが一体となった部品をコイルオーバー (Coilover) と称することもある。

乗用車では、低コストなストラット式が最も多く用いられている。乗り心地の向上やタイヤの接地条件やクルマの姿勢(ロールセンターやアンチダイブ、アンチスクワットなど)を細かくコントロールする目的で、ジオメトリー自由度の大きいダブルウィッシュボーン式や、さらなる安定性を得るためにマルチリンク式なども多く用いられている。

サスペンションの特性は同じ方式でも一様ではなく、使われる部品の固さや寸法に大きく依存する。一般に「サスペンションが硬い」と表現されるものは、車重に比してばね定数が高い場合やダンパーの減衰力が高い場合が多い。俗に「サスペンションがへたる」と表現される現象は、ほとんどの場合はショックアブソーバーの減衰力が低下したり、サスペンションアームの軸部に用いられているブッシュの弾力性が失われたりすることで発生する。

方式

懸架方式は大きく分けて車軸懸架リジッドアクスル・サスペンション)、独立懸架(インディペンデント・サスペンション)、可撓梁式(トーションビーム・サスペンション)に分類される。単純な緩衝機能に留まらず、外力に対して車両の姿勢を積極的に制御し、安定させるシステムとしてアクティブサスペンションセミアクティブサスペンションがある。それに対し、旧来の懸架装置をパッシブサスペンションと呼ぶようになった。

車軸懸架方式

I形ビームのリーフリジッド式

左右の車輪を車軸(アクスル)で連結したサスペンション形式で、馬車時代から続く、長い歴史を持つ。

車軸懸架方式は、ドライブシャフトがアクスルハウジング(ホーシング、アクスルチューブ)に守られており、ドライブシャフトに角度を持たせるための軸継手を必要としないため、構造が簡単で耐久性が高い。左右の車輪が常に同軸上に保たれているため、対地キャンバーの変化が少ない。ホイールトラベル(ストローク)を大きく設計しやすいため、起伏の大きな路面状況での車輪の接地を保ちやすい。

反面、バネ下重量が重くなる傾向にあり、比較的高い速度での路面追従性や乗り心地が悪い。また、ロールセンターが高くなりがちで、旋回による車体のローリングが大きいなどの短所がある。

大型自動車商用車クロスカントリー車での採用例が多い。また、1500cc以下程度の大きさで前輪駆動の乗用車でも、リヤサスペンションに多く採用されている。

固定車軸懸架式(車軸懸架式)の細分類


独立懸架方式

左右の車輪が独立して動作するサスペンション形式で、バネ下重量が軽く、乗り心地や路面追従性に優れる。デファレンシャルが車軸ごと上下する固定車軸に比べ、フレームエンジンの搭載位置、車室の床を低くすることができる。リンク機構を用いることで、ストローク時のジオメトリーを操縦特性が向上するように設計することが可能である。

一方で、部品点数が多く、製造コストや整備コストが高くなりやすい。サスペンションアームの制約によりストロークが短くなる傾向にある。

スポーツカーレーシングカーに留まらず、現在では、一般的な乗用車や中型以下の貨物車のほか、一部の観光バスではフロントサスペンションに独立懸架が採用されている。乗用車では、リア・サスペンションにも独立懸架が多く用いられ、インディペンデント・リア・サスペンション (Independent Rear Suspention) の頭文字をとってIRSとも呼ばれる。

独立懸架方式の細分類

トーションビーム懸架方式

トーションビーム式とは左右の車輪がたわみやねじれ(トーション)を許容する梁(ビーム)で結ばれている構造で、サスペンション自体にスタビライザー機能が有り、独立懸架ほどではないが、車軸懸架よりも左右の車輪に自由度が与えられている。ほとんどが鋼板プレス製の部品を溶接した一体構造で、部品点数が少なく、可動部(関節)を持たないため、生産コストが非常に低い。前輪駆動車の後輪やトレーラーなどに採用されている。特にコンパクトカー軽自動車の前輪駆動の後輪用では主流。

ハブが剛結であるため、独立懸架ほどのジオメトリー変化を与えることはできないが、サスペンション自体のたわみで対地キャンバーを変化させる手法や、ピボットブッシュの剛性を調整し、横Gがかかった際にサスペンションの枠ごと変位させ、姿勢安定を図る手法が採られている。

トーションビーム式の細分類
  • アクスルビーム式
  • ピボットビーム式
  • カップルドビーム式

車軸以外のサスペンション

キャブオーバー型の大型貨物自動車のなかには、車軸のサスペンション以外にフレームキャビンの間に緩衝装置を設けるキャブサスペンションを持つ物が多い。日本製トラックでは1981年に日野自動車製の車両で初めて導入された[1]

キャブサスペンションはコイルばねや空気バネ、懸濁液方式などが用いられており、車軸のサスペンションの耐荷重性能強化と乗り心地の向上という相反する要素を両立するために採用されている。エンジン出力や積載量の割にホイールベースが短い牽引自動車のトラクターでは、運転室のピッチングを抑えることができる。

また、トラック、バス四輪駆動車、建設機械農業機械などでは、運転席が緩衝装置で支持されているサスペンションシートが採用されている物もある。ドライバーの任意でばねのプリロードを調整でき、不要な場合はロック(固定)できる。

戦車のサスペンション

戦車が開発された当時はサスペンションは存在しないか、ないに等しい状況であったが、戦車を取り巻く環境が変化し、サスペンションが着目されるようになった。歴史上存在する戦車に取り入れられたサスペンションとして、リーフスプリング、コイルスプリング、クリスティー式、トーションバー式、油気圧式などがある。

オートバイのサスペンション

オートバイのサスペンション(ドゥカティ・ムルティストラーダの後輪側サスペンションユニット)

オートバイに使われるサスペンションは、そのほとんどの形式ではスプリングショックアブソーバー(ダンパー)が一体のサスペンションユニット(クッションユニット)となっている。自動車と比べると、オートバイではサスペンションの車体の伸縮による車体のピッチングが大きく、これによる操縦特性への影響が大きい。オートバイでは前輪側と後輪側で異なるサスペンション形式を採用する場合がほとんどである。

前輪

オートバイの前輪側サスペンションは、後輪側よりも早い時期から取り入れられていた。歴史的にはガーダーフォークアールズフォークなどの形式も広く用いられていたが、現在は多くの車種でテレスコピックフォークと呼ばれる形式が採用されている。テレスコピックフォークは、単純な構造で部品点数を少なく作ることができるが、フォークに対して直角な方向への荷重に弱く、制動時などにフォークのストロークが大きくなるとキャスター角の変化が大きくなる短所を持つ。こうした短所を克服するために、ボトムリンク式テレレバー式などの形式も採用されている。

後輪

初期のオートバイには後輪側に緩衝装置が無い車種も多く、代わりにサドルにばねが付けられていたものも多かった。こうした車両の構造はリジッドフレームと呼ばれている。現在では、ほとんどの車種でスイングアーム式が採用されているが、かつてはプランジャー式やハブクッション式といった形式も存在した。




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  1. ^ [1]


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