サスペンション 鉄道車両のサスペンション

サスペンション

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/24 02:09 UTC 版)

鉄道車両のサスペンション

鉄道車両でも軌条(レール)への追従性、車両の安定性、乗り心地や静粛性の向上を目的としてサスペンションが組み込まれているが、自動車とは異なり、舵取り装置が不要で、前後どちらの向きにも同じ速度運転されることから、自動車とは構造が異なる。ゴムタイヤ方式や超低床電車などを除くと、左右の車輪は車軸と一体の輪軸を採用していて、各軸の軸受けに懸架装置がないと軌道の狂いに対応できず、速度を上げた場合や輪重の不均等が起こった際には脱線につながる。トロッコなどで懸架装置の無いものが見られるが、この場合は左右輪が独立して回転できるようにして車輪がレールへ乗り上げることを防いでいる。

鉄道の黎明期には機関車以外の客車貨車二軸車であり、車軸の支持方式は台枠に固定された軸箱守(ペデスタル)を位置決めに用い、緩衝に重ね板ばねを用いていた。これは現在でも二軸貨車などに用いられている。その後、車両の大型化と高速化が進むと固定車軸では対応できなくなり、ボギー台車が生まれた。また空気ばね台車の開発・研究の成果として、レールに対する車輪の追従性は軸箱を支持する軸ばねが担い、乗り心地に関しては台車と車体の間に備わる枕ばねが受け持つことが明らかにされたため、旅客車両では優等車から一般車に至るまで枕ばねに空気ばねを採用することが一般化した[注釈 2]。さらに新幹線では高速走行時の車両の安定化を図るため、JR西日本500系車両ではアクティブサスペンションを取り入れて、300 km/hでの運行を実現した。

自転車のサスペンション

自転車においては、起伏の激しい路面を走るマウンテンバイクダウンヒル競技用のダウンヒルバイク(en:Downhill bike)にサスペンションを装備するモデルが多く、一部のクロスバイクでも装備されている。前後輪ともにサスペンションをもつフレーム構成をフルサスペンション、前輪のみにもつものをハードテイルと呼ぶ。特に高速で起伏の激しい斜面を下るダウンヒルバイクではサスペンションストロークを大きくとったフルサスペンションである場合が多い。一方、サスペンション機構を付加することで車体重量が増え、構成部品にかかる費用が増加することから、安価な軽快車や、軽量性が求められるロードレーサーなどではサスペンションを装備しないものが専らである。

家具のサスペンション

主に事務用の椅子において、人の身体が触れる部分の表層にクッション性と通気性を兼ね備える目的で弾性樹脂でできた網目状の布を用いるものがある。こうした布をサスペンションファブリックと呼び、この布を用いた椅子はSFチェアやメッシュチェアの名で呼ばれる。SFチェアの多くは、もしくは高強度樹脂成形した剛性の高いフレームにサスペンションファブリックを張った、簡素な構造を持つ。


注釈

  1. ^ セントラルアーム式サスペンションなどの様に各社の独自呼称とされている場合がある。
  2. ^ 空気ばねを採用すると乗客の多寡にかかわらず一定の床高を実現可能なため、ラッシュ時の床の沈み込みを防止する不必要に固い枕ばねを用いる必要が無くなり、また乗り心地も改善されるメリットがあった。このことは空気ばね台車の初期費用の高額さを補って余りあるものだったため大手私鉄を中心に採用が進んだ。

出典

  1. ^ トラック豆知識2”. 栃木日野自動車株式会社. 2005年3月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年6月20日閲覧。






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