仮名の登場とは? わかりやすく解説

仮名の登場

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/29 21:29 UTC 版)

仮名 (文字)」の記事における「仮名の登場」の解説

正倉院所蔵奈良時代公文書なかには、本来「多」と書ところを「夕」、「牟」と書くのを「ム」と書くというように、漢字一部使ってその字の代わりとした表記見られ、また現在の平仮名「つ」に似た文字記されたりもしている。この「つ」に似た文字漢字の「州」を字源にしているといわれるが、このように漢字一部などを使って文字を表すことは、のちの平仮名片仮名誕生に繋がるものといえる。 やがて仏典講読する僧侶の間で、その仏典行間漢字の音や和訓を示す借字などを備忘のために書き加える例が見られるうになるが、この借字漢字一部画数少な漢字などを使い、本来の漢字字形とは違う形で記されるようになった行間という狭い場所に記すためには字形できるだけ省く必要があり、また漢字記される経典本文区別するためであった。これが現在みられる片仮名源流である。この片仮名源流といえるものは、文献上で平安時代初期以降用例確認されているが、片仮名はこうした誕生経緯から、古く漢字従属しその意味や音を理解させるための文字として扱われていた。 また漢文訓読以外の場では、借字から現在の平仮名源流となるものが現れている。これは借字としての漢字草書よりもさらに崩した書体でもって記したのである。その平仮名数字分の続け字すなわち連綿にすることによって意味の区切り作り出し長い文章で綴ることが可能となった。これによって『土佐日記』などをはじめとする仮名平仮名)による文学作品平安時代以降発達するうになる借字が「かな」と呼ばれるようになったのは、漢字真名(まな)といったのに対照してのものである当初は「かりな」と読み撥音便形「かんな」を経て「かな」の形に定着したもしくは梵語カラナ (करण、Karana、「音字」の意)からの転化という説もある。古くは単に「かな」といえば平仮名のことを指した。「ひらがな」の呼称現れたのは中世末のことであるが、これは「平易な文字」という意味だといわれる。また片仮名の「かた」とは不完全なことを意味し漢字に対して省略した字形ということである。 平安時代平仮名文章和文は、単語大和言葉であり、平仮名用いるのが基本であった。しかし「源氏」だとか朝廷官職名など、大和言葉置き換える事が不可能で漢語用いしかない場合は、漢字のままで記されていた。当時漢語はあくまで漢字で記すものであり、漢語平仮名表記する慣習がなかった(現代一部例外はあるが、漢語漢字で書くのが基本である)。また文章読み取りを容易とするために、大和言葉必要に応じて漢字表記された。ただし和歌場合は、慣習的に漢語漢字表記避けるように詠まれ書き記されていた。 一方で文章構文については、漢字導入され当初は「漢文」の規則に従って読み書きされていたが、その後漢字記した言葉日本語構文に従って並べ形式生まれた。さらに、助詞などを借字語句のあいだに小さく書き添える形式宣命書きが行われるようになり、やがてそれら借字記した助詞片仮名となった。つまり、漢語漢字記され文章に、片仮名補助的に付加されることがあった。 その両者はやがて統合され『今昔物語集』見られるような、日本語文章中に漢語数多く取り入れた和漢混淆文として発展していった。成立当初『今昔物語集』は、漢字記され語句のあいだに小さく片仮名書き添える宣命書きと同じスタイル書かれていたが、やがて漢字仮名を同じ大きさで記すようになった平仮名片仮名使い分け長年渡って統一されなかったが、第二次世界大戦後あたりから、文章表記には原則として平仮名用い片仮名外来語など特殊な場合用いスタイルとなった平仮名漢字から作られたものであるが、なかには現在の平仮名そのまま文字のほかに、それとは違う漢字崩して作られさまざまな異体字がある。現在この異体字平仮名変体仮名称するが、片仮名にも古くは現在とは違った字体のものがあった。平仮名による文は変体仮名交えて美しく書くこと求められ、それらは高野切などをはじめとする古筆切として残されている。こうした異体字をふくむ平仮名片仮名明治時代になると政府によって字体整理が行われ、その結果学校教育はじめとする一般社会において平仮名片仮名呼ばれるものとなった。このふたつは現代日本語においてもそれぞれ重要な役割担っている

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