ルソーの市民宗教論とは? わかりやすく解説

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ルソーの市民宗教論

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/12 03:54 UTC 版)

ヨーロッパにおける政教分離の歴史」の記事における「ルソーの市民宗教論」の解説

ホッブズロック次ぎ、彼らとは異な内容社会契約説展開したジャン=ジャック・ルソーは、ホッブズ重視する社会秩序ロック重視する自由とを両立させようとした。そこでルソー社会関係土台となる結社協約を、契約する当事者相互合意だけではなく、「市民宗教の上にも基礎づけた。また、ルソー1762年の『社会契約論最終章において宗教3つ分け、「聖職者宗教」(カトリック)は「ひとびと2つ法体系2人首長2つ祖国与えて人々矛盾した義務に従わせ、人々信者市民役割使い分けるように仕向ける」として否定し古代ギリシア古代ローマにみられた「市民宗教」は神への礼拝と法への愛とを結びつけ、祖国熱愛対象とする「よき宗教」だが、自国民以外に対して排他的不寛容なこともあるとし、さらに純粋な福音宗教としての人間宗教」において人間はすべて互いに兄弟となるが市民たちの心を国家からも引き離してしまうので、社会的精神反するとして批判したルソーはすでに1756年に「市民宗教」の着想得ており、これはヴォルテールにあてた書簡によって確かめられている。ルソーはこの書簡において、「それぞれの国家には1つ道徳的法典、すなわち一種市民的信仰告白」が存在しており、それは積極的に各人認め義務がある社会的な行為基準含み、あるいは消極的には「不信心者としてではなく謀叛人としてはねつけなければならない狂信的な行為基準含んでいるとし、したがって「この法典折り合え宗教はすべて認められるが、それと折り合いつかないような宗教はすべて放逐される」としている。言い換えれば、「市民宗教」とは宗教的な方法課されるところの世俗的な道徳教義である。そして、「各人がこの法典そのもの以外に少しも宗教もたないのは自由」であると述べ、「市民的信仰告白」さえなされれば無神論に立つことも許容するのである。これはもはや特定の地域特定宗教ではなく政治的関係そのものといってよい。「社会的な道徳律」に照らして異端的であったり、それに対して無神論であったりすれば追放されることも甘受しなければならないとした。それゆえに「市民的信仰告白」は義務であり、歴史的宗教の方は任意なのである個人主義分離主義的なロック思想対しルソー思想はいっそう社会的包括的である。ルソーは「宗教国家基盤役割を果たすことなくして、決し国家建設されことはない」という歴史的な原理提示しロックにおいては国家宗教分離したうえで、国家権力制限における定義が示されたが、ルソー人民による社会的信仰への同意が必要であるとした。ルソーは、「市民宗教」における「教義」を「つよく、かしこく、親切で、先見の明あり、めぐみ深い神の存在死後の生、正しい者にあたえられる幸福、悪人くわえられる刑罰社会契約および法の神聖さと列記しており、「不寛容に関しては「自由を大事にしない人たちに自由を与えるべきではない」として、不寛容者は「それゆえ国家から追い出されるべきなのである」とした。ルソーは、神学的不寛容市民的不寛容区別することを拒んだのである

※この「ルソーの市民宗教論」の解説は、「ヨーロッパにおける政教分離の歴史」の解説の一部です。
「ルソーの市民宗教論」を含む「ヨーロッパにおける政教分離の歴史」の記事については、「ヨーロッパにおける政教分離の歴史」の概要を参照ください。

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