ノルマンディー古慣習法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/02/13 07:47 UTC 版)
「ジャージー法」の記事における「ノルマンディー古慣習法」の解説
中世ヨーロッパの北部・西部諸地域は、「主たる法源が比較的定着し確立された慣習、慣例および慣行である領域的区画のパッチワークであった」。ノルマン法は、封建社会における口承の伝統と反復される慣行を基礎とするものであったノルマンディー古慣習法を説明した文書で知られている中で最古のものは、「ノルマンディーの最も古き慣習法集(Très-ancienne coutumier de Normandie)」であり、最初はおおよそ1199年から1223年にかけてラテン語で筆記されたものである。これがフランス語に翻訳されたのが、おそらく1230年ごろのことである It is thought to be the work of scholars or court officials, designed to be a manual for legal practitioners. A modern edition was compiled from various sources in 1903 by Professor E.J. Tardiff. ジャージー法にとってより重要なのは「ノルマンディーの大慣習法集(Grand coutumier de Normandie)」であり、これは1245年から58年の期間に書かれたもので、原典はラテン語の写本(「ノルマン法律概説(Summa de Legibus Normanniae)」)である。最初に印刷された版は1438年まで下る。この文献は、ノルマンディーの法と慣習を125箇条で説明したものである。おそらく原典の編纂者は「個人の法律実務家か法律研究者であり、いかなる意味においても公的な著作ではなかった」。 1309年にエドワード2世が裁判官をジャージーに派遣した時、ジャージの人々は「いかなる法の適用を受けると主張するのか、イングランド法か、ノルマンディー法か、それとも自身の何らかの特別な慣習か、と尋ねられた。彼らは『ノルマンディー法である』と回答し、裁判官に対し、ノルマンディー法がよく具体化されている『Summma of Malcael』[大慣習法集のジャージー名]を参照するように述べた。しかし、彼らは加えて、後に大いに苦労をもたらす一節を述べた。『ただし、我々がこの島において超記憶時代から用いられる一定の慣習を有する場合には、この限りではない』」。 16世紀には、大慣習法集の2つの注釈書がノルマンディーで書かれ、ジャージー法に影響を及ぼした。ギヨーム・ルイイェ・オブ・アレンソン(Guillaume Rouillé of Alençon)(ル・ルイイェとも)は、Le Grant Coustumier du pays & duché de Normendie : tres utile & profitable a tous practiciens(ノルマンディー公爵領の大慣習法:全ての実務家にとって非常に有用かつ有益) (1534; 1539) の著者である。彼はさらに隣接するメーヌについても注釈書を著した。 ギヨーム・テリエン(Guillaume Terrien)のCommentaires du droit civil, tant public que privé, observé au pays et Duché de Normandie(市民法注釈書―公法および私法―ノルマンディー公爵領を観測して)が最初に出版されたのは1574年である。ドーズ(Dawes)の説明によれば、「テリエン自身の著作は、大慣習法集の文章を選択して彼の配列に沿った順序で挿入し(全く異なる文章の切り貼りにまでさえ及ぶ)、そのうえで出来上がった合成物に注釈をしたものである。この注釈書については後の著作家が「Additio」で始まる注記を行っており、その回数はラテン語以外のものよりも多い」。大慣習法集のテキストは、近代的なバージョンが2つ作られている。最初のものはウィリアム・ローレンス・ド・グルシ(William Laurence de Gruchy)終身治安判事(Jurat)によるもので、題名は「L’Ancienne Coutume de Normandie: Réimpression, éditée avec de légères annotations(ノルマンディー古慣習法:若干の注付きで編集された再版)」である。これは、ル・ルイイェの1539年版をベースにしたもので、フランス語テキストとラテン語テキストを2列に対照しながら並べる形式を用いている。2009年には、ラテン語テキストのJ・A・イヴラード(E.A.Everard)による英訳も出版されている。
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