オーピー映画
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オーピー映画株式会社(オーピーえいが-)は、日本の映画会社である。大蔵映画の子会社であり、本社所在地は東京都台東区上野2-14-31である。 2001年、大蔵映画の製作・配給部門が「オーピー映画」として系列子会社に分離し、同社が大蔵映画の製作・配給を引き継ぐ事となった。なお大蔵映画の配給網のOPは「Original Picture」の略で、当社名は「Okura Picture」の略称である。 同社のピンク映画は、作品の上映時間は59-60分となっている。企画・製作において、娯楽作品としての性格が強く要求される。倫理基準、健全性要求は「殺人なんて絶対ダメ」(『映画芸術』2007年11月号の吉行由美監督インタビュー)と言われるほどだったが、あくまで原則であって、時としてはスプラッター(『コギャル喰い・大阪テレクラ篇』友松直之監督、1996年)など実験的な作品が作られる事もある。前掲の通り、現在、配給作品は下請けのプロダクションに発注して製作されている。なお、作品のデジタル制作移行にともない、上映時間は70分台に延長されている。 古くは小林悟・小川欣也(小川和久)・市村譲・関根和美といった、旧新東宝系などのベテラン監督によるローテーションでプログラムピクチャーを維持してきた。小川は現在も作品を発表している。また、エクセスや(「的場ちせ」名義で)新東宝映画で活躍している浜野佐知も登用している。 ここ10年ほどは中堅の池島ゆたかをはじめとして、国沢実・荒木太郎・山崎邦紀・竹洞哲也・吉行由実・樫原辰郎・加藤義一・城定秀夫などの若手を積極的に登用している。この中で国沢・荒木・吉行は「大蔵ヌーベルバーグ」と呼ばれ、いわゆるピンク四天王やピンク七福神の国映・新東宝映画のラインとは異なる監督を生み出している。 ピンク映画と異なる分野で活躍している、園子温、榊英雄、谷口恒平、佐々木浩久、古澤健などの映画監督も作品を発表している。 2012年まで行なわれていたピンク大賞では作品賞や各賞を受賞する事が多かった。ピンク四天王等を擁して古くから進出を図っていた新東宝映画・国映に比べ、一般映画館や映画祭での上映が少なかったが、最近では吉行や竹洞の作品がポレポレ東中野などミニシアターで特集上映されるようになった。 ピンク映画と並行して、ゲイ・ポルノの製作・配給も行なっている。ENKプロモーションと並ぶ数少ないゲイ・ポルノ製作会社でもある。監督・脚本は、オーピーのピンク映画とほぼ同じスタッフとなっている。ここ最近は東京国際レズビアン&ゲイ映画祭などに受賞・出品される作品も多い。 一方、新東宝時代から続いてきた「エログロ」路線の象徴のひとつでもある「怪談映画」も忘れてはおらず、かつて作られた怪談映画が発掘され、DVDソフト化された。大蔵映画時代の1997年には、創立50周年記念作品として『色欲怪談・江戸の淫霊』が上映された。かつての大蔵怪談映画が松竹京都映画の製作協力でピンク映画の枠内で復活した豪華版だった。 また、1999年には、石井輝男監督の一般映画『地獄』の配給を行なった(製作は石井プロダクション)。製作総指揮には旧新東宝時代の後輩である小林悟が当たった。 2016年8月までの3年間で新東宝映画が新作2本、エクセスが同5本と製作停止に等しい状態となっている中、同期間で111本の新作を供給し、事実上日本唯一のピンク映画提供会社となりつつある。2014年12月までフィルム撮影で製作してきたが、2015年1月公開の『誘惑遊女の貝遊び』『痴漢電車 悶絶!裏夢いじり』からデジタル撮影に移行した。 デジタル製作に移行した2015年からは、市場の裾野を広げるため、従来のR18+版の他にR15+再編集版を作り「OP PICTURES+」と銘打ち、年一回のペースで一般向け上映イベントを行っている(ただしオーピー映画としては、再編集ではなく、それぞれ単独作品という位置付け)。海外への映画祭上映も増加している。 関東地区においては「OPチェーン」名義で東京スポーツなどで新聞への広告掲載も展開していた。その一方では東海地区のように、成人映画館「テアトル希望」(名古屋市、1980年代に閉館)が、大蔵映画も含む「独立系」ピンク映画の同地区での封切を一手に引き受け、各社作品を順不同で上映した同館のプログラムを、隣県の成人封切館がそのままスライドさせて公開するケースも存在した。ただし2000年代に入り直営館の閉鎖が相次ぎ、さらに2000年代後半ごろから本拠である上野オークラ劇場でも他社(新東宝映画・エクセス)作品との混成でプログラムを組む状況となっており、「OPチェーン」の現状は有名無実である。 かつては主演女優のスケージュールを抑えてから女優を軸に撮影することが多かったというが、2020年10月の取材では「監督や会社側が立ち上げた企画、脚本、プロットに合った女優を互いに相談して決める」決めることが多い。
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