【SVD(СВД)】(えすぶいでぃ(エス・ヴェー・デー))
現在ロシア軍で採用されている旧ソ連製狙撃銃。
また旧東側国家や、中国などでもコピー生産もされた。
正式名称は「Снайперская(スナイペルスカヤ・) (самозарядная(サマザリャドナヤ・))винтовка(ビントーフカ・) Драгунова(ドラグノバ)(英語だとドラグノフ・オートマチック・スナイパーライフル))」だが、あまりにも名前が長い事から「SVD」や「ドラグノフ(ドラグノバ)」と省略されるのが普通。
設計者はイュフゲニー・フュドロビッチ・ドラグノフ博士で、1963年にモシン・ナガンM1891/30狙撃ライフルの後継として旧ソ連軍に正式採用された。
設計についてはAK-47を参考とし、10連発のセミオートで弾丸は7.62mm×54R弾(射程は約1000m程)を使用する。
ただし、ロングストロークピストンガス圧作動方式のAK-47とはガスチューブの形状などが異なり、部品に互換性はない。閉鎖機構はAK同様ロータリー・ボルト方式。
『戦場の最前線で戦う歩兵が使用する』の運用思想の下で開発されたため、行軍の障害とならぬよう細身で軽量に造られており、重量は4,300gと西側の狙撃銃より比較的軽く、部品点数は少なく頑丈で信頼性も高い。
スコープは4倍のPSO-1スコープを標準装備とし、赤外線照射機能の付きのナイトスコープで夜間戦闘もする事が出来る他、スコープ破損などのハードな運用を想定してか、古めかしい照尺付の1,200m程度まで対応可能なアイアンサイトが設けられており、一部のモデルには銃剣も装着可能。
また、スコープを使用した際の照準を容易にするため、銃床上部には着脱式のチークピース(頬あて)を装着できる。
公称上の最大有効射程は800m程度とされるが、他の狙撃銃と比較すると遠距離の精密狙撃能力よりも、市街(100mから400m)での速射性を優先した造りとなっている。
ロシア軍では、AK系の有効射程の短さと、連射時の命中精度の低さを補う目的で分隊ごとに1丁のドラグノフが配備され、それぞれの有効戦闘距離を、AK系は300m、SVDは600mと想定しており、その性質は現在のマークスマンライフルに近い。
輸出は好調で旧東側諸国の他イラク・イラン・北朝鮮・アフガニスタン・エジプト・リビア・アンゴラ等AK47と同等レベル輸出された他、テロリストやゲリラにも不法に供給されていると言う(その多くは中国のコピー品である79式狙撃歩鎗であり、AK47と同じくSVDでは無い場合が多い。)。そのため各地の紛争でも必ずと言って良い程登場している。
日本国内でも、装弾数を5発以内にする等の改造をし、日本の猟銃所持資格や経歴(小銃は散弾銃の所持を十年以上)を満たしていれば猟銃として所持が可能である。
現在は近代化モデルが登場しているものの、設計上の限界で精度向上が難しいため、他国の軍用狙撃銃の発展についていけないのが現状である。
そのため、他国のそれと同程度の高精度を実現するべくボルトアクション式のSV-98が開発され、現在ロシアではSVDと併用してSV-98を使用している。
スペックデータ
種別 | セミオートマチックライフル |
口径 | 7.62mm |
全長 | 1,225mm |
銃身長 | 620mm |
重量 | 4,310g |
ライフリング | 4条右回り |
装弾数 | 10発(箱型弾倉) |
使用弾薬 | 7.62mm×54R |
作動方式 | ショートストロークピストンガス圧作動方式 |
銃口初速 | 830m/s |
有効射程 | 600m |
ドラグノフ系の派生モデル
- SVDM
近代化モデル。7.62mmx51NATO弾(.308)に対応した輸出モデルも生産されている。
- SVDK
9.3×64mm弾を使用するモデル。外見はSVDKと同じくプラスチック樹脂製。
- SVU
ドラグノフのブルバップバージョン。全長も短縮されサプレッサーも装着できる。
- SVU-A
SVUのフルオートモデル。
- SVU-A
- タイガー
主に猟銃として用いられるロシアの民間仕様型。
NATO制式の7.62mmx51(.308ウィンチェスター)も使用でき、口径によってマズルの形状が異なっている他、ストックも従来型とは違う。
- FPK/PSL
ロムテクニカル社(ルーマニア)が生産している発展型。
一見SVDに近いが、どちらかというと外観、内部ともにAKMに近い。
- 79式狙撃歩鎗/79式狙撃銃
ノリンコ社(中国)のライセンス生産型。狙撃時の精密度はロシア製より劣る。
- 85式狙撃歩鎗/79式狙撃銃
79式狙撃歩鎗の発展型。詳しい事は不明。
- NDM-86
ノリンコ社の輸出モデル。EM351は7.62mm×54R、EM352は7.62mmx51NATO弾を使用する。
- えすぶいでぃのページへのリンク