「板画」の代表作
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 15:10 UTC 版)
「二菩薩釈迦十大弟子」 - 全12柵、1939年(昭和14年)作、1948年(昭和23年)改刻 棟方の代表作の1つ。中央に十大弟子、六曲一双屏風にするため右に文殊、左に普賢の二菩薩を追加して仕立てた作品。東京国立博物館に展示されていた興福寺の十大弟子、特に須菩提から着想を得て制作された。この時の棟方には十大弟子について深い知識は無く、完成後に資料を見てそれぞれ名付けたという。そのため、従来の図様とは無縁であり、印相なども正確ではない。しかし、仏に近づこうと苦悩・葛藤し、吠える者すらいる弟子たちの姿を、力強く生命力溢れて表現しており、彼らの人間性や精神性までも感じ取れる。棟方自身は「下絵も描かず、版木にぶっつけに一気呵成に約一週間で彫り上げた」(『板画の道』)と語っている。確かに彫りに要した時間は1週間程度なのは確かだが、実際には構想を得てから約1年半の間に熟考し、数百枚もの手慣らしが残されており、極めて入念に制作されたことが分かる。 版木は両面を用いて6枚使っている。板木を無駄なく一杯に使い、板の枠ギリギリの柵も複数ある。東京の自宅が空襲で焼けてしまったため菩薩の版木が焼失してしまったが、5枚は疎開する際ロッキングチェアを運ぶ添え木として使われたため難を逃れた。1948年(昭和23年)に菩薩像を彫り直しており、姿も変わっている。改刻前の作品は、棟方志功記念館(六曲一双)、總持寺(六曲一双)、富山県美術館(六曲一双)、千葉市美術館(二曲六隻)、大原美術館(額装)などが、改刻後は棟方志功記念館(2組)、宮城県美術館(12面、1970年(昭和45年)摺)、南砺市立福光美術館(六曲一双)、栃木県立美術館(六曲一双)、東京国立近代美術館(六曲一双、棟方自身が寄贈)、京都国立近代美術館(12面)、パラミタミュージアム(六曲一双)、柏市砂川コレクション(六曲一双)、小平市平櫛田中彫刻美術館、町田市立国際版画美術館、龍泉寺(足利市)などが所蔵。 なお、各図の配置は屏風によって不統一で、棟方は最晩年まで十人の名前と並べ方を考え続けている。一貫して同名・同位置なのは、目犍連、須菩提、舎利弗の3名のみで、時期によって名前も位置も変化する。1967年(昭和42年)に棟方板画美術館所蔵作品の並びを「基本とする」と宣言するものの、実際にはその後何度も並び方を変えている。こうした事は以後の作品にもあり、完成に満足しない棟方の姿勢が伺える。 本作は1940年(昭和15年)第15回国画会展出品し翌年佐分賞、1955年(昭和30年)第3回サンパウロ・ビエンナーレで版画部門最高賞、翌年のヴェネツィア・ビエンナーレでグランプリの国際版画大賞を受賞している。 「御鷹揚げの妃々達々」 「大和し美し」 「東海道棟方板画」 「大世界の柵・坤(こん)ー人類より神々へー」(世界最大の木版画ともいわれる。)
※この「「板画」の代表作」の解説は、「棟方志功」の解説の一部です。
「「板画」の代表作」を含む「棟方志功」の記事については、「棟方志功」の概要を参照ください。
- 「板画」の代表作のページへのリンク