「カシェル」であるための条件
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/17 06:02 UTC 版)
「カシュルート」の記事における「「カシェル」であるための条件」の解説
『レビ記』第11章によれば、 4つ足の獣のうち蹄が全く分かれ、反芻をするものは食べてもよい。この2つの条件を満たしていない草食動物(ラクダ、イワダヌキ、ウサギ、ブタ)はカシェルではない不浄な生き物である。ラクダは生物学的には蹄が分かれ、反芻をするが、外見上蹄が毛に覆われて分かれているように見えないためカシェルから外されている。 海や川・湖に住む生き物で、ヒレと鱗のあるものは食べてもよい。エビやカニなどの甲殻類、貝類、タコ、イカなどは食べられないことになる。また、鱗が目立たないウナギも食べられないとされている。 鳥の中で食べてはいけないものは、猛禽類(鷲、クマタカ、鳶、ハヤブサ、鷹など)とカラス、ダチョウ、フクロウ、カモメ、ハクチョウなどである。 昆虫の中で食べてよいものは、イナゴ・バッタなどのごく一部のみで、ほとんどの昆虫は食べることができない。一般的な解釈ではバッタ類は基本的に食べてよい。しかし、バッタ類のうち特定の4つの種だけを食べてよいとする解釈もある。(詳細はレビ記の4種類の昆虫)現実的には、昆虫食の制限より、料理や飲み物に昆虫が混入していないか(例えば野菜料理)がカシールを保つ上で大きな問題となる。 ハチはカシェルではないが、純粋な蜂蜜はカシェルと解される。 カシェルとされる動物は、カシェルでない昆虫を餌にするとしてもカシェル。 『レビ記』第17章や『出エジプト記』第22章によれば、 「野外で獣に裂き殺された動物の肉」 「自然に死んだ動物の肉」 を食べることも禁じられ、あるいは好ましくないとされる。また狩人が殺したものも「カシェル」ではない。食べてよい動物でも、一定の仕方で屠殺・食肉処理しないとカシェルにならない(シェヒーター)。 『レビ記』第17章や『創世記』第9章などでは、血を食べることが厳重に禁止されている。食べてよい動物でも、血抜きをしないとカシェルにならない。 このほかにも、調理法や調理場所などについて、いくつかの制限がある。その代表的なものとして、肉と乳製品の混食禁止がある。 『出エジプト記』23章19節「子やぎをその母の乳で煮てはならない」から、肉類と乳製品を一緒に食すること、また同種の産物を使った食事(鶏卵と鶏肉を使った親子丼等)を禁じられている。具体的には、一回の食事に両種の食品を同時に食すことはもとより、調理器具や食器、さらには貯蔵場所の混用も禁忌とされる。厳格なユダヤ教徒は、肉類用と乳製品用の食器を別々に揃え、しばしばキッチンも別にしている場合もある。また、肉製品を食した後は1~6時間の間隔を置かなければ乳製品を口にしない。 イスラム教と異なりユダヤ教では酒は禁忌でなく、安息日に飲まれるワインは特にカシュルートの重要な対象である。
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