Pro Tools Pro Toolsの概要

Pro Tools

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/04 16:43 UTC 版)

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Pro Tools
作者 アビッド・テクノロジー
最新版
*Pro Tools Ultimate 2019.5
(2019年5月9日)
  • Pro Tools 2019.5
    (2019年5月9日)
  • Pro Tools First 2019.5
    (2019年5月9日)
対応OS Apple Mac OS X,
Microsoft Windows
種別 デジタル・オーディオ・ワークステーション
ライセンス プロプライエタリソフトウェア
公式サイト http://www.avid.com/JP/
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概要

Pro Toolsとは使用されるアプリケーションの名称であり、使用されるオーディオ・システム全体の名称でもある。Pro Toolsソフトウェアとコンピューター内部のカードバスにインストールされるHD Coreカード、HD Accelカード、オーディオ・インターフェースの192 I/Oなどに分類することができ、使用されるコンピューター本体、フィジカル・コントローラなどもセットにしたシステム全体の呼称でもある。

Pro Toolsは音声波形編集ソフトウェア "Sound Designer" とオーディオ・インターフェース (I/O) である "Sound Tools" を組み合わせたモデルを原型として、1990年代初頭にプロフェッショナル向けのハードディスク・レコーディング・システムとして開発された[1]

当時のパーソナル・コンピュータが持つ演算処理能力では非圧縮でCD品質――すなわちサンプリングレート44.1kHz・ビット深度16ビット・リニアPCM――のデジタル音声をリアルタイム処理することが困難だったため、専用のDSPカードをコンピューター内部のカードバスへ増設し、音声処理を専用カードに分散させた。この設計方法はDSPカードやオーディオ・インターフェースの数を必要に応じて随時追加変更できる柔軟なシステムとしての構築を可能にしただけではなく、コンピューター処理能力にそれほど依存することなくDAWシステムの能力を強化できるため、現在のパーソナル・コンピューターと組み合わせたDAWシステムにおいても様々な応用が行われている。

Pro Toolsはコンピューターのモニター・ディスプレイ上に表示された音声信号の波形(リージョン)部分を視覚的に確認しながらマウスやトラック・パッドなどのポインティング・デバイスを使用することにより、直感的な編集が可能な柔軟さと操作性を備えており、ハードディスク・レコーディングならではの非破壊レコーディング[2]や、コンピューター本体にインストールされた各種プラグインでの処理による実機同様の音声信号処理が可能になるなど、現在では音楽制作現場をはじめ映画関連や放送局など、オーディオ素材を取り扱う多くの分野において共通する録音再生及び音声編集機材となっている。

現在ではサラウンド音声にも完全対応し、音楽制作だけにとどまらずアメリカの映画関連企業のスカイウォーカー・サウンドをはじめとする多くの映画の音響製作現場にも標準設備として導入されている。世界中のファンから歌声を収集するなど複雑な工程を経てDolby Atmosでミックスされた映画『ボヘミアン・ラプソディ』の音響スタッフは、インタビューでPro Toolsが世界の業界標準であると述べた。[3]

コンピューターの演算処理能力やカードバスなどの高性能化に伴い、専用DSPカードを用いずCPU上での音声処理を行うコンシューマ向けの製品であるPro Tools LEや、その派生としてM-Audio社のオーディオ・インターフェイスで動作するPro Tools M-Poweredも発売された。Pro Tools LEはオーディオ・インターフェース自体がiLokと同様にドングルの役目になっており、Pro Tools LE用のオーディオ・インターフェースがコンピューター側とUSBまたはFireWireで接続され電源が投入されていないと起動することができない仕様になっていたが、現在ではサードパーティー製品にも対応したため、Pro Toolsのライセンスが格納されたiLokのみで起動が可能となった。

Pro Tools ソフトウェア

主に以下のバージョンが存在する。各バージョンによって使用可能なOSが限定されていたり推奨環境が定められているため、OSやコンピューターと連動した開発が行われている。

Pro Tools 5
Pro Tools HDシステムが発表、運用され始めた時期のバージョン。
Pro Tools 6
MacintoshにおいてOS X Panther 発表時期のバージョン。
Pro Tools 7
MacintoshにおいてOS X Tiger 発表時期のバージョン。Pro Tools HD上では遅延補正エンジンが機能するようになり、バージョン7.4からはエラスティック・タイムが使用可能になった。
Pro Tools 8
MacintoshにおいてOS X Leopard 発表時期のバージョン。
Pro Tools 9
MacintoshにおいてOS X Snow Leopard 発表時期のバージョン。このバージョンよりAvidブランドでのリリースとなり、PPCをサポートしなくなった。またLEにおいてdigidesign製ハードウェアがドングルの役目を果たしていたがiLokによる認証方式へ変更され、サードパーティ製のオーディオ・インターフェースによるソフトウェアの使用が可能になった。自動遅延補正、可変ステレオ・パン・デプス、EUCONを全てのプラットフォームでサポートする。
Pro Tools 10
MacintoshにおいてOS X Lion 発表時期のバージョン。32ビット浮動小数点フォーマット、オーディオクリップ毎にゲインを調整出来るクリップ・ゲインなど主にオーディオ編集面の機能が強化されたほか、音楽クラウドサービスであるSoundCloudへミックスを直接発信出来る機能も搭載。また、このバージョンから新しいプラグイン形式であるAAX(Avid Audio eXtension)が採用され、このバージョンのみRTASとAAXを共存して使用することが可能になっている。
Pro Tools 11
MacintoshにおいてOS X Mountain Lion 発表時期のバージョン。このバージョンより64ビット環境に対応し、新しいオーディオエンジンAAE(Avid Audio Engine)を採用。新機能としてオフラインバウンスやミックスウィンドウのメーターGUIオプションなど、より高速で高品質な制作を可能としている。このバージョンでRTASが廃止され、AAXのみ使用可能となっている。ただしRTASのみ対応のプラグインも存在するため、Pro Tools 10とPro Tools 11は同一コンピューター上で共存が可能となっている[4]
Pro Tools 12
Windows版ではWindows 7を正式にサポートしている最後のバージョン。
Pro Tools 2018
Pro Tools HDの名称がPro Tools Ultimateへ変わった。
Pro Tools 2019



  1. ^ ファイル拡張子である「sd2」はこのSound Designer用のファイル・フォーマットとして誕生した。
  2. ^ DAWの記事を参照。
  3. ^ https://www.snrec.jp/entry/column/bohemian/78825
  4. ^ OSによって共存不可の場合がある。
  5. ^ 現在はHD Native Thunderboltの展開によりラップトップ・コンピュータによるHDシステム構築も容易になった。
  6. ^ HTDMで動作するプラグインはWAVES等から対応する物がリリースされていたが、TDMとの相性などの点から今では殆ど存在せず淘汰されてしまった。
  7. ^ ただしRTASはPro Tools 10までの対応となるため、使用には注意を必要とする。






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