豆腐 名称

豆腐

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/09/10 09:24 UTC 版)

名称

豆腐

豆腐という文字が最初に現れたのは、中国で965年の『清異録』陶穀であると、江戸時代の「豆腐百珍」[1]の巻末にある。

現代では、中国も日本も「豆腐」と呼んでいる。日本では一部「豆富」「豆冨」としている業者があり、これは食品に対して「腐」という字を用いるのを嫌ってのことと考えられる。 中国でも『腐』を避け、菽乳、方壁、小宰羊(宰羊:羊の肉)等の異名があったと前述の「豆腐百珍」の巻末に書かれている。

豆腐の「腐」の意味は、中国古代医学書「難経」[2]にある腐熟の「腐」であるとする説があり、中国で腐熟とは胃での初期消化のことで、白くどろどろした状態ともある[3]。 このことから、豆腐の「腐」は消化の悪い大豆を腐熟したものであるという説がある[4]

「本来は豆を腐らせた(発酵させた)ものが豆腐、型に納めたものが納豆だったが、両者が取り違えられた」と名称の由来が語られることがあるが、これは誤った「俗説」である。納豆が日本独自の言葉であるのに対し、豆腐は中国から伝来した食品であり中国でも豆腐と呼ばれており、取り違えられることはあり得ない。

豆富

「根ぎし 笹乃雪」(2018年1月31日撮影)

元禄時代に絹ごし豆腐を発明した豆富料理店「根ぎし 笹乃雪」では、9代目当主が、20世紀前半頃、食品に「る」という字を用いることを嫌って豆富と記すようになって以降、「腐」という文字を使わない表記が日本中に広まったとしている[5][注 1]。また、豆腐を好んだ日本の作家・泉鏡花は、極端な潔癖症でもあったことから豆府と表記した。

tofu

アメリカ合衆国イギリスを始めとする英語圏のほか、ドイツ語圏フランス語圏イタリア語圏等々、世界の様々な言語圏で、"tofu " (ドイツ語名詞の語頭は大文字のため "Tofu ")が単語として定着している。なお、英語表記ではtofuのほかsoybean curdも用いられる[6]。 中国語閩南方言由来であるtau-fuという表記も、ヨーロッパの中華料理店などでは頻繁に見られる。




注釈

  1. ^ 日本の豆腐は豆腐ようなど一部を除いてほとんどが発酵していないものである。中国では豆腐を発酵させた腐乳臭豆腐も一般的。
  2. ^ この説には腐乳は清朝(『隋園食単』 岩波書店 1980年)になってからであるという反論がある。著者は北方遊牧民族に腐乳が見当たらないとも書いてある。
  3. ^ 古来の豆腐は堅いタイプであるため、豆腐の全史からすれば、柔らかい豆腐のデリケートさは最近のものである。
  4. ^ 「ほととぎす自由自在にきく里は酒屋へ三里豆腐やへ二里」(ほととぎすの声が聞けるような場所は、近くの酒屋豆腐屋へ2里3里もある不便な田舎だ)江戸時代後期に、ほととぎすの多い郊外へ引っ越すことが流行った。当時の見さかいのない風流ばやりを馬鹿にした句。
  5. ^ 古典的製法の古文書は「豆腐集説」を参照のこと

出典

  1. ^ 醒狂道人何必醇 輯『豆腐百珍』正編、1782年
  2. ^ 滑壽(写作) 呉勉学『難経本義』(三十一難) 宋代
  3. ^ 『中国語大辞典』 角川書店 1994年
  4. ^ a b 松崎修『食文化雑学:言語から考えるホントの語源』 文芸社 2015年
  5. ^ いわれ”. 豆富料理 笹乃雪. 2015年11月18日閲覧。
  6. ^ a b c d e f 杉田浩一編『日本食品大事典』 医歯薬出版 p.84 2008年
  7. ^ a b 豆腐の歴史 15. 豆腐のルーツは中国。その発明者は?”. 日本豆腐協会. 2012年2月11日閲覧。
  8. ^ a b c d e f g 『Cook料理全集5 豆腐と豆の料理』 p.202 千趣会 1976年
  9. ^ a b c d 岡田哲著『たべもの起源事典』 東京堂出版 p.314 2003年
  10. ^ a b c 『丸善食品総合辞典』丸善 p.754 1998年
  11. ^ 陶穀『清異録』官志門・小宰羊。「時戢為青陽丞、潔己勤民、肉味不給、日市豆腐数箇。邑人呼豆腐為小宰羊。」
  12. ^ 『古代日本のチーズ』 角川書店 1996年
  13. ^ a b 豆腐の歴史 16. 日本に豆腐の製造方法をもたらしたのは遣唐使?”. 日本豆腐協会. 2018年6月16日閲覧。
  14. ^ 飯野亮一『居酒屋の誕生』 ちくま学芸文庫 2014年、ISBN 978-4-480-09637-1 pp.284-285
  15. ^ a b c 世界の食文化雑学講座”. キッコーマン. 2020年4月10日閲覧。
  16. ^ 豆腐の歴史 7. 江戸で評判だった豆腐料理屋”. 日本豆腐協会. 2018年6月16日閲覧。
  17. ^ “探訪 都の企業:<こだわり製品編>【上】豆腐屋のラッパ復刻 日本教育楽器(港区芝大門)”. 東京新聞. (2013年7月30日). http://www.tokyo-np.co.jp/feature/kigyou/news/130730.html 2018年6月16日閲覧。 
  18. ^ ぶらり途中下車の旅 放送内容 2012年11月3日放送分”. 日本テレビ. 2018年6月16日閲覧。
  19. ^ 11月16日放送 “ものづくり”心と技を次世代へ NHK「団塊スタイル」公式ホームページ”. 日本放送協会. 2012年12月21日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2018年6月16日閲覧。
  20. ^ 野瀬泰申. “豆腐(その3) 豆腐屋の合図はラッパ、それとも鐘?”. 日本経済新聞 電子版. 日本経済新聞社. 2011年12月8日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2012年2月11日閲覧。
  21. ^ William Shurtleff; Akiko Aoyagi (2013). History of Tofu and Tofu Products (965 CE to 2013). Soyinfo Center. pp. 72-73. ISBN 1-928914-55-1. https://books.google.com/books?id=gGrUNvZt0_YC&pg=PA73 
  22. ^ JBAセミナー 豆腐バカ世界に挑む” (2015年). 2019年5月21日閲覧。
  23. ^ a b c d e f 『丸善食品総合辞典』丸善 p.753 1998年
  24. ^ a b c d e 杉田浩一編『日本食品大事典』 医歯薬出版 p.86 2008年
  25. ^ a b 「日本型食生活の歴史」 安達巖
  26. ^ a b c d e 食品成分データベース 文部科学省(2019年4月1日)
  27. ^ a b c 杉田浩一編『日本食品大事典』 医歯薬出版 p.85 2008年
  28. ^ 『丸善食品総合辞典』丸善 pp.753-754 1998年
  29. ^ 森孝夫『食品加工学実験書』
  30. ^ 山口百々男『日本の文化・観光・歴史辞典』
  31. ^ a b c d e f g 食彩の王国 第412回『堅とうふ』”. tv asahi (ウェブサイト). テレビ朝日. 2018年6月16日閲覧。
  32. ^ 豆腐・原料大豆の消費量”. 全国豆腐連合会. 2018年6月16日閲覧。
  33. ^ 大豆のまめ知識:Q.5 大豆の自給率は?”. 農林水産省. 2018年6月16日閲覧。
  34. ^ 大豆のまめ知識:Q.18 日本の大豆の輸入相手先は?”. 農林水産省. 2018年6月16日閲覧。
  35. ^ 大北昌彦「商社の人と仕事 非遺伝子組み換え大豆の安定確保への取り組み (PDF) 」 『日本貿易会月報』2009年5月号No.670、日本貿易会、2009年5月、 51-53頁、2018年6月16日閲覧。
  36. ^ アメリカ大豆って?”. アメリカ大豆輸出協会. 2018年6月16日閲覧。
  37. ^ 大豆のまめ知識:Q.49 国産大豆使用製品の表示は?”. 農林水産省. 2018年6月16日閲覧。
  38. ^ 加工食品品質表示基準改正のポイント 「特色のある原材料表示」及び「原料原産地表示」 (PDF)”. 東京都福祉保健局. 2018年6月16日閲覧。[リンク切れ]
  39. ^ 大豆のまめ知識:Q.50 遺伝子組換え大豆に係る表示は?”. 農林水産省. 2018年6月16日閲覧。
  40. ^ 『本草綱目』穀之四・豆腐
  41. ^ a b 『Cook料理全集5 豆腐と豆の料理』 p.203 千趣会 1976年
  42. ^ 豆腐事業者数の推移・販売額等”. 全国豆腐連合会. 2018年6月16日閲覧。
  43. ^ a b c 森永宅配ミルク”. (公式ウェブサイト). 森永乳業. 2012年2月11日閲覧。
  44. ^ a b c ほんとうふ”. (公式ウェブサイト). ハウス食品. 2012年2月11日閲覧。[リンク切れ]
  45. ^ 豆腐 - チルド商品”. SHOPハウス(公式ウェブサイト). 井村屋. 2012年2月11日閲覧。[リンク切れ]
  46. ^ a b “豆腐店、続々廃業「365日働いても利益ない」”. 読売新聞. (2013年11月2日). http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20131102-OYT1T00227.htm 2013年11月3日観覧閲覧。 
  47. ^ くるみ豆腐
  48. ^ 広辞苑 第5版』 岩波書店
  49. ^ a b 『Cook料理全集5 豆腐と豆の料理』 p.190 千趣会 1976年
  50. ^ 豆腐と栄養・健康”. (公式ウェブサイト). 愛知県豆腐商工業協同組合[1]. 2012年2月11日閲覧。
  51. ^ Google Noto Fonts”. Google Inc.. 2017年4月20日閲覧。
  52. ^ “豆腐の「常温」販売を解禁へ 非常食での利用も可能に”. 朝日新聞. (2016年11月29日). オリジナルの2016年11月29日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20161129182116/https://www.asahi.com/articles/ASJCY55H2JCYULBJ00F.html 
  53. ^ “災害時の重要なたんぱく源…豆腐「常温で販売」解禁へ”. 読売新聞. (2016年11月30日). オリジナルの2016年12月1日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20161201132751/https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20161130-OYTET50014/ 
  54. ^ 長澤まき (2016年11月30日). “1~2年後に「豆腐」が常温販売されるように?厚労省の決定に驚きの声”. IRORIO. 2018年6月16日閲覧。





豆腐と同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「豆腐」の関連用語

豆腐のお隣キーワード

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   
検索ランキング



豆腐のページの著作権
Weblio 辞書情報提供元は参加元一覧にて確認できます。

  
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの豆腐 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2020 Weblio RSS