西行
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/25 16:40 UTC 版)
伝説
『撰集抄』に西行が「人造人間を作ろう」としていた記述がある。“鬼の、人の骨を取集めて人に作りなす例、信ずべき人のおろ語り侍りしかば、そのままにして、ひろき野に出て骨をあみ連らねてつくりて侍りしは〜”。
<要約>(西行が)高野山に住んでいた頃、野原にある死人の体を集め並べて骨に砒霜(ひそう)という薬を塗り、反魂の術を行い人を作ろうとした。しかし見た目は人ではあるものの血相が悪く、声もか細く魂も入っていないものが出来てしまい、高野山の奥に捨ててしまったという記述がある。伏見前中納言師仲に会い作り方を教わるものの、つまらなく思い、その後、人を作ることはなかった[12]。
西行の子・隆聖の子孫・佐藤正岑の子が長束正家であるという伝説がある。
ゆかりある人々
- 西行の娘
- 西住 - 西行自身が「同行に侍りける上人」と呼んだ僧侶。
- 木下勝俊(木下長嘯子) - 最晩年、西行出家の寺の近くの寺に居を構えた。
- 似雲 - 江戸時代の僧。西行を尊崇し、「今西行」と呼ばれた[2]。
刊行著作
- 『山家集 新潮日本古典集成』 後藤重郎校注、新潮社、新装版2015年
- 『新訂 山家集』 佐佐木信綱校訂 岩波文庫、ワイド版も刊
- 『山家集』 風巻景次郎校注 日本古典文学大系29:岩波書店
- 『山家集』 伊藤嘉夫校註 日本古典全集・第一書房 1987年
- 『西行法師全歌集』 伊藤嘉夫編・第一書房 1987年
- 『西行全集』 久保田淳編 日本古典文学会、貴重本刊行会、1990年
- 『新訂増補 西行全集』 尾山篤二郎編著、五月書房、1978年
- 『西行全集』全2巻、伊藤嘉夫・久曾神昇編、ひたく書房、1981年
- 『西行 コレクション日本歌人選』橋本美香編、笠間書院、2012年
- 『西行全歌集』久保田淳・吉野朋美校注、岩波文庫、2013年
- 『山家集』宇津木言行校注、角川ソフィア文庫、2018年
関連文献
- 『西行物語』 桑原博史訳注、講談社学術文庫 1981年
- 『西行物語絵巻 日本の絵巻19』 小松茂美編、中央公論社
- 『新訳 西行物語』 宮下隆二訳 選書版:PHP研究所 2008年
- 『絵巻=西行物語絵』 千野香織編 〈日本の美術416号〉 至文堂 2000年
- 『毎日グラフ別冊 古典を歩く5 西行物語』毎日新聞社 1989年
- 『西行の時代』堀江朋子著 論創社 2021年
注釈
- ^ 河南町弘川(地図 - Google マップ) ※該当地域は赤色で囲い表示される。西行の墓と伝えられる「西行墳」も区域内(弘川寺境内)にある。
- ^ 竜池山 弘川寺(地図 - Google マップ) ※該当施設は赤色でスポット表示される。
- ^ 鴫立沢(地図 - Google マップ) ※該当地域は赤色でスポット表示される。画面を拡大すれば近くにある鴫立庵もスポット表示される。
出典
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p 植村雅史「中古末法期から紐解く現代社会の死生観序説(上) : 隠遁者西行,その生涯からみる死生観」『駿河台大学論叢』第48号、駿河台大学、2014年、105-132頁、doi:10.15004/00000075、ISSN 0914-9104、NAID 110009872013、2021年7月1日閲覧。
- ^ a b “生誕900年 西行展/理想移す多彩な肖像/歌と旅の生涯 ルーツの和歌山で”. 毎日新聞 東京夕刊: p. 6面. (2018年11月12日)
- ^ a b c d e 植村雅史「中古末法期から紐解く現代社会の死生観序説(下) : 隠遁者西行,その生涯からみる死生観」『駿河台大学論叢』第49号、2015年1月、43頁、doi:10.15004/00001313、NAID 120005578382、2021年7月1日閲覧。
- ^ “「わかやま何でも帳」を活用するために”. 和歌山県. 2020年11月8日閲覧。
- ^ 「さても西行発心のおこりを尋ぬれば、源は恋ゆゑとぞ承る。申すも恐れある上臈女房を思ひ懸け進ぜたりけるを、阿漕の浦ぞといふ仰せを蒙りて思ひ切り、官位は春の夜見はてぬ夢と思ひなし、楽栄は秋の夜の月西へとなずらへて、有為世の契りを遁れつつ、無為の道にぞ入りにける。阿漕の歌の心なり。伊勢の海あこぎが浦に引く綱も度かさなれば人もこそ知れ」(源平盛衰記、巻第八)
- ^ 出原博明「西行の出家と歌」(桃山学院大学人間科学、No.20、2000年)P.12
- ^ 谷口耕一「撰集抄の構造 - 西行仮托説話の発想と傾向をめぐって[1]」
- ^ 三上景文『地下家伝 第14-20(日本古典全集 ; 第6期)[2]』(日本古典全集刊行会、1937年)
- ^ 小学館『日本大百科全書(ニッポニカ)』、小学館『精選版 日本国語大辞典』. “鴫立沢”. コトバンク. 2019年7月6日閲覧。
- ^ 『東海道鉄道遊賞旅行案内』(国立国会図書館デジタルコレクション)
- ^ “鴫立庵”. 大磯町 (2018年). 2019年7月27日閲覧。
- ^ 小松和彦『異界と日本人 絵物語の想像力』角川選書、2003年
- ^ 初田亨『職人たちの西洋建築』(ちくま学芸文庫、2002年)pp157-158。
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