線型代数群 簡約群の分類

線型代数群

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/01 09:54 UTC 版)

簡約群の分類

簡約群は実際問題として現れる古典群英語版——GLn, SLn, 直交群 SOn, 斜交群 Sp2n——などの重要な線型代数群の多くを含んでいる。一方で、簡約群の定義は極めて「消極的」であり、多くを語ることができるのか明らかではない。驚くべきことに、クロード・シュヴァレーは代数的閉体上の簡約群の完全な分類を与えた:それらはルート・データ英語版によって決定される[26]。特に、代数的閉体 k 上の単純群は(有限中心的部分群スキームによる商を除いて)そのディンキン図形によって分類される。特筆すべきことに、この分類は k の標数に依存しない。例えば、例外型リー群 G2, F4, E6, E7, E8 はどんな標数でも(さらに Z 上の群スキームとしてさえも)定義することができる。有限単純群の分類は多くの有限単純群が有限体 k 上の単純代数群かその亜種の k 有理点のなす群として生じると述べている。

体上の簡約群はトーラスとある単純群との直積の有限中心的部分群スキームによる商である。例えば

である。

任意の体 k に関して、簡約群 Gk 上の極大分裂トーラス(つまり、G に含まれる分裂トーラスであって、k の代数的閉包上でも極大である)を含むならば分裂 split するという。例えば、GLn はどんな体 k 上でも分裂簡約群である。シュヴァレーは分裂簡約群の分類はどんな体上でも同じであることを示した。それとは対照的に、任意の簡約群の分類は難しいこともあり、基礎体に依存する。例えば、体 k 上の任意の非退化二次形式 q は簡約群 SO(q) を定め、k 上の任意の中心的単純多元環 A は簡約群 SL1(A) を定める。その結果、k 上の簡約群の分類問題は本質的に k 上の二次形式や k 上の中心的単純多元環の分類問題を含んでいる。これらの問題は k が代数的閉体のときは易しいし、数体などいくつかの体上では理解されているが、任意の体上では多くの未解決問題がある。


  1. ^ Kolchin 1948.
  2. ^ Milne 2017, Corollary 4.10.
  3. ^ Milne 2017, Corollary 8.39.
  4. ^ Milne 2017, Proposition 1.26(b).
  5. ^ Borel 1991b, p. 218, Theorem 18.2.
  6. ^ Borel 1991a, Corollary 18.4.
  7. ^ Borel 1991a, Remark 14.14.
  8. ^ Milne 2017, section 10.e.
  9. ^ Borel 1991a, section 7.1.
  10. ^ Milne 2017, p. 170, Theorem 9.18.
  11. ^ Borel 1991a, Corollary 11.3.
  12. ^ Milne 2017, p. 359, Corollary 17.25.
  13. ^ Springer 1998, p. 256, Theorem 15.2.6.
  14. ^ Borel 1991a, 18.2(i).
  15. ^ Milne 2017, Corollary 14.12.
  16. ^ Borel 1991a, Theorem 10.6.
  17. ^ Borel 1991a, Theorem 15.4(iii).
  18. ^ Borel 1991a, Theorem 11.1.
  19. ^ Milne 2017, Theorems 7.18 and 8.43.
  20. ^ Borel 1991a, Corollary 11.2.
  21. ^ Milne 2017, Definition 6.46.
  22. ^ Bröcker & tom Dieck 1985, pp. 151ff., section III.8.
  23. ^ Conrad 2014, section D.3.
  24. ^ Conrad 2014, after Proposition 5.1.17.
  25. ^ Conrad 2014, Proposition 5.4.1.
  26. ^ Springer 1998, 9.6.2 and 10.1.1.
  27. ^ Milne 2017, Lemma 19.16.
  28. ^ Milne 2017, Theorem 22.2.
  29. ^ Renner, Lex (2006), Linear Algebraic Monoids, Springer .
  30. ^ Milne (2017), Theorem 14.37.
  31. ^ Deligne & Milne (1982), Corollary II.2.7.
  32. ^ Deligne & Milne (1982), Remark II.2.28.





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