線型代数群 半単純群と簡約群

線型代数群

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/01 09:54 UTC 版)

半単純群と簡約群

代数的閉体上の連結線型代数群 G半単純 semisimple であるとは、G のどんな滑らかで連結な可解正規部分群も自明であることを指す。より一般に、代数的閉体上の連結線型代数群 G簡約 reductive であるとは、G のどんな滑らかで連結なべき単正規部分群も自明であることを指す[21]。(簡約群に連結性を要請しない著者もいる。)半単純群は簡約群である。任意の体 k 上の群 G が半単純あるいは簡約であるとは、 が半単純あるいは簡約であることを指す。例えば、適当な体 k 上の行列式 1n 次行列からなる群 SLn は半単純である一方、非自明なトーラスは簡約であるが半単純ではない。同様に、GLn も簡約であるが半単純でない(なぜならば中心 Gm が非自明で滑らかな連結可解正規部分群だから)。

任意のコンパクト連結リー群は複素化英語版と呼ばれる複素簡約代数群を持つ。その上、この構成はコンパクト連結リー群と複素簡約群の同型類に対して一対一対応を与える[22][23]

k 上の線型代数群 G は半単純かつ非自明で kG のどんな滑らかな連結正規部分群も自明であるとき、単純 simple (あるいは k-simple)と呼ばれる[24]。(この性質を almost simple と呼ぶ著者もいる。)この用語は抽象群のものとは僅かに異なっており、単純代数群は非自明な中心を持つことがある(ただし中心は必ず有限になる)。例えば、2 以上の整数 n と体 k に関して、k 上の群 SLn は単純で、その中心は 1n 乗根の群スキーム μn である。

完全体 k 上の連結線型代数群 G は簡約群 R の滑らかな連結べき単群 U による(一意的な)拡大である:

UGべき単根基 unipotent radical と呼ばれる。もし k の標数がゼロならば、より精密にレビ分解英語版 Levi decomposition を持つ:k 上の線形代数群 G は簡約群のべき単群による半直積 RU である[25]


  1. ^ Kolchin 1948.
  2. ^ Milne 2017, Corollary 4.10.
  3. ^ Milne 2017, Corollary 8.39.
  4. ^ Milne 2017, Proposition 1.26(b).
  5. ^ Borel 1991b, p. 218, Theorem 18.2.
  6. ^ Borel 1991a, Corollary 18.4.
  7. ^ Borel 1991a, Remark 14.14.
  8. ^ Milne 2017, section 10.e.
  9. ^ Borel 1991a, section 7.1.
  10. ^ Milne 2017, p. 170, Theorem 9.18.
  11. ^ Borel 1991a, Corollary 11.3.
  12. ^ Milne 2017, p. 359, Corollary 17.25.
  13. ^ Springer 1998, p. 256, Theorem 15.2.6.
  14. ^ Borel 1991a, 18.2(i).
  15. ^ Milne 2017, Corollary 14.12.
  16. ^ Borel 1991a, Theorem 10.6.
  17. ^ Borel 1991a, Theorem 15.4(iii).
  18. ^ Borel 1991a, Theorem 11.1.
  19. ^ Milne 2017, Theorems 7.18 and 8.43.
  20. ^ Borel 1991a, Corollary 11.2.
  21. ^ Milne 2017, Definition 6.46.
  22. ^ Bröcker & tom Dieck 1985, pp. 151ff., section III.8.
  23. ^ Conrad 2014, section D.3.
  24. ^ Conrad 2014, after Proposition 5.1.17.
  25. ^ Conrad 2014, Proposition 5.4.1.
  26. ^ Springer 1998, 9.6.2 and 10.1.1.
  27. ^ Milne 2017, Lemma 19.16.
  28. ^ Milne 2017, Theorem 22.2.
  29. ^ Renner, Lex (2006), Linear Algebraic Monoids, Springer .
  30. ^ Milne (2017), Theorem 14.37.
  31. ^ Deligne & Milne (1982), Corollary II.2.7.
  32. ^ Deligne & Milne (1982), Remark II.2.28.





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