線型代数学の基本定理
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/01/18 21:21 UTC 版)
数学の分野における線型代数学の基本定理(せんけいだいすうがくのきほんていり、英: fundamental theorem of linear algebra)とは、ベクトル空間に関するいくつかの定理である。それらの定理においては、ある m×n 行列 A の階数 r や、その特異値分解
に関する内容が、具体的にまとめられている。はじめに、各行列 (行列
は
個の行と
個の列を持つ)は、「四つの基本部分空間」を導く。それらを次の表に示す:
部分空間の名前 | 定義 | 含まれる空間 | 次元 | 基底 |
---|---|---|---|---|
列空間、値域あるいは像 | ![]() ![]() |
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零空間あるいは核 | ![]() ![]() |
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行空間あるいは余像 | ![]() ![]() |
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左零空間あるいは余核 | ![]() ![]() |
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続いて、次が成立する:
において、
である。すなわち零空間は、行空間の直交補空間である。
において、
である。すなわち左零空間は、列空間の直交補空間である。
各部分空間の次元は階数・退化次数の定理によって関連付けられており、上表の定理に従う。
また、これら全ての空間は、基底の選び方に依らず、本質的に定義される。そのような場合この定理は、抽象的ベクトル空間や作用素および双対空間として、 および
を用いて次のように言い直すことが出来る:
の核および像は、
の余核および余像に、それぞれ等しい。
関連項目
参考文献
- Strang, Gilbert. Linear Algebra and Its Applications. 3rd ed. Orlando: Saunders, 1988.
- Strang, Gilbert (1993), “The fundamental theorem of linear algebra”, American Mathematical Monthly 100 (9): 848–855, doi:10.2307/2324660, JSTOR 2324660
外部リンク
- Gilbert Strang, MIT Linear Algebra Lecture on the Four Fundamental Subspaces at Google Video, from MIT OpenCourseWare
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