紫外線 紫外線の概要

紫外線

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/08 01:48 UTC 版)

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概要

赤外線が熱的な作用を及ぼすことが多いのに対し、紫外線は化学的な作用が著しい。このことから化学線とも呼ばれる。紫外線の有用な作用として、殺菌消毒・ビタミンDの合成・生体に対しての血行や新陳代謝の促進、あるいは皮膚抵抗力の昂進(こうしん)などがある。

波長による分類として、波長 380–200 nm の近紫外線 (near UV)、波長 200–10 nm の遠紫外線もしくは真空紫外線(far UV (FUV) もしくは vacuum UV (VUV))、波長 121–10 nmの極紫外線もしくは極端紫外線(extreme UV,EUV or XUV)に分けられる。また、人間の健康や環境への影響の観点から、近紫外線をさらに UVA (400–315 nm)、UVB(315–280nm)、UVC (280 nm 未満) に分けることもある[2]。なお、以上の分類とは別に、IBMのリン博士が用いた深紫外線(Deep-UV、DUV、リン博士の概念では200~300nmの波長域)という概念が用いられることがあり遠紫外線と混同されることがあるが波長域が異なる[3]

太陽光の中には、UVA, UVB, UVCの波長の紫外線が含まれているが、そのうちUVA, UVBはオゾン層を通過し、地表に到達する。UVCは、地球の大気よる吸収が著しく、大気の窓でなければ通過することができない。地球の地表に到達する紫外線の99%がUVAである(UVCは、オゾンの反応で生成されるものもある)。

物質の屈折率は、入射した光の波長に依存する。光学部品(光学窓やレンズなど)の素材としてよく用いられるガラスは、紫外線の波長域では吸光係数が著しく増大し、透過率が急激に減少する。このため、ガラスを使った光学部品で、紫外線光を取り扱う事は困難であり、特殊な材料を使用した専用の光学部品が使用される(例えば、石英ガラス[波長 200 nm 以上で使用可]やフッ化カルシウム (CaF2)、フッ化マグネシウム (MgF2)[150 nm 以上で使用可])。

紫外線はガンマ線などの強透過性放射線のような透過力がなく、表面のごく近傍で吸収されてしまうことから、紫外線の照射量は吸収線量ではなく照度(mW/cm2)と積算光量(mJ/cm2)の積で表現される[3]

語源

人間の視覚は、波長の短いを「紫色光」として感じとるが、その下限は 360 - 400 nm 付近とされ、それより波長の短い光は知覚できない。すなわち紫外線である。

英語の ultraviolet も「を超えた」という語から来ている(ラテン語ultra は、英語の beyond に相当)。

日本語では、紫外線と呼ぶのが一般的であるが、violet をスミレ色とも訳すことから、菫外線(きんがいせん)と呼ばれることもある。菫外線の表記は、紫外線より少ないものの、1960年代以前は学術用語としての用例[1]があるが、1960年代以後の用例[4]は極めて希である[5]


注釈

  1. ^ nm はナノメートルで、10-9 m に相当する。

出典

  1. ^ a b 真辺春蔵「照明研究の動向」『心理学研究』第37巻第6号、日本心理学会、東京都、1967年、 368頁、 doi:10.4992/jjpsy.37.364ISSN 1884-1082NAID 130002010602JOI:JST.Journalarchive/jjpsy1926/37.364NCID AN001236202014年2月14日閲覧。
  2. ^ 「地球と人間の歴史9 汚染と破壊」p269(週刊朝日百科 動物たちの地球141)朝日新聞社 1994年3月20日発行
  3. ^ a b 秋吉優史. “紫外線と光触媒の「工学的ウイルス対策」紫外線と光触媒の「工学的ウイルス対策」”. 大阪府立大学 放射線研究センター. 2021年1月22日閲覧。
  4. ^ 安藤義路「実験レポート 菫外線針孔写真」『写真工業』第50巻第6号、写真工業出版社、東京都、1992年6月、 94-96頁、 ISSN 0371-0106NDLJP:3342369全国書誌番号:00010716
  5. ^ 国立国会図書館CiNiiJ-STAGEのWebサイトでキーワード「紫外線」または「菫外線」で検索した結果の出版年ごとの件数より
  6. ^ 「地球と人間の歴史9 汚染と破壊」p269(週刊朝日百科 動物たちの地球141)朝日新聞社 1994年3月20日発行
  7. ^ 「初歩から学ぶ紫外線殺菌 工業用水から上水道まで」p8 浦上逸男 工業調査会 2005年12月20日初版第1刷
  8. ^ 皮膚がんなどの発症なし 222nm紫外線(UV-C)繰り返し照射の安全性を世界で初めて実証” (日本語). Research at Kobe. 2021年6月11日閲覧。
  9. ^ ウシオ電機と島根大、222nm-紫外線の眼(ラット)に対する暴露限界値の検討と安全メカニズムを解明” (日本語). 日本経済新聞 電子版. 2021年6月11日閲覧。
  10. ^ 世界初、222nmの紫外線で褥瘡創傷を殺菌消毒。” (日本語). ウシオ電機株式会社 ホームページ. 2021年6月11日閲覧。
  11. ^ 現代社会に欠如しているバイオレット光が近視進行を抑制することを発見-近視進行抑制に紫の光-”. 2019年5月7日閲覧。
  12. ^ Grant, W. B. (2002). "An estimate of premature cancer mortality in the U.S. due to inadequate doses of solar ultraviolet-B radiation". Cancer Volume 94, Issue 6, pp. 1867-1875.
  13. ^ http://www.sunarc.org/
  14. ^ https://www.afpbb.com/articles/-/2756719?cx_part=search 「オゾン層の破壊に歯止め、フロンガス全廃の取り組み奏功 国連」AFPBB 2010年9月17日 2019年6月27日
  15. ^ https://www.data.jma.go.jp/gmd/env/ozonehp/diag_o3hole_trend.html 「オゾンホールの経年変化」 気象庁 2015年1月22日閲覧
  16. ^ https://www.data.jma.go.jp/gmd/env/uvhp/diag_cie.html 「紫外線の経年変化」 気象庁 2015年1月22日閲覧
  17. ^ https://www.who.int/uv/intersunprogramme/activities/uv_index/en/ WHO 2019年9月2日閲覧
  18. ^ https://www.data.jma.go.jp/gmd/env/uvhp/3-55uvindex_info.html 「紫外線情報の解説」日本国気象庁 2019年9月2日閲覧






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