確率分布
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/24 05:18 UTC 版)
定義
確率分布
なお、 は 上のボレル集合族(集合演算で閉じた部分集合族の一種)である。
確率変数の確率分布
実数値確率変数 X の確率分布 を
で定義する。PX は確率測度(像測度)である。
同様に 値確率変数 X の確率分布 は
で定義される確率測度である。
確率変数 X の確率分布が μ であるとき、X は μ に従う確率変数であるといい、記号で X ~ μ と書く[2]。例えば、「X は平均 0、分散 1 の正規分布に従う」のように使い、これを
のように書く。
累積分布関数
実数値確率変数 X の累積分布関数 (cumulative distribution function, CDF) あるいは一次元確率分布 PX の累積分布関数とは
で与えられる関数 FX のことである。累積を省略して分布関数 (distribution function) とも言う。
累積分布関数は定義より右連続であるが、左連続とは限らない。累積分布関数が連続である(左連続でもある)確率分布を連続確率分布という。累積分布関数がとる値が高々可算個である確率分布を離散確率分布という。
確率密度関数
確率分布 PX が絶対連続ならば、ある可測関数 f : X → [0, ∞) が存在して、確率分布は
と表される(ラドン=ニコディムの定理)。fX は PX のラドン=ニコディム微分であり、零集合を除いて一意である。fX を連続型確率変数 X の確率密度関数 (probability density function, PDF) という。
確率分布 PX が絶対連続であるとは、任意の(ルベーグ測度に関しての)零集合 N に対して、
が成り立つことと定義される。これは測度の絶対連続性と同じである。このとき連続確率分布である。
とくに A が区間の場合は
となる。区間の端点は入れても入れなくても確率は同じである。
確率質量関数
離散確率分布のときに確率密度関数に対応する関数として確率質量関数 (probability mass function) がある。確率変数 X のとる値の集合が S = {x1, x2, …} だとすると確率質量関数は
で定まる関数 fX のことである。日本語では確率関数とも略されるが、英語の probability function は意味が曖昧な言葉とされる。
多次元確率分布
2つ以上の変数の確率分布を、多次元確率分布と呼ぶ。2変数の確率確率分布を、二次元確率分布と呼ぶ[3]。
同時分布
2つ以上の変数の組の確率分布のことを同時分布(どうじぶんぷ、joint distribution)、同時確率分布 (joint probability distribution) という[3]。
周辺分布
同時分布から各変数の分布だけを取り出したものを周辺分布(しゅうへんぶんぷ、marginal distribution)、周辺確率分布と呼ぶ。日本工業規格では、「k次元確率変数の部分集合である k - 1変数の同時分布」と定義している[4]。
出典
- ^ JIS Z 8101-1 : 1999, 1.3 確率分布.
- ^ Klenke, Achim (2014). Probability Theory: A Comprehensive Course (Second ed.). Springer. p. 41. ISBN 978-1-4471-5360-3. "We write if and say that has distribution ."
- ^ a b JIS Z 8101-1 : 1999, 1.4 2次元分布関数.
- ^ JIS Z 8101-1 : 1999, 1.6 周辺分布.
- ^ 今野 1995, 第1章パーコレーションのモデル.
- ^ 今野 1995, 第2章分岐過程.
- ^ 今野 1995, 第4章無限粒子系.
- ^ 今野 1995, 第5章その他のモデル.
注釈
確率分布と同じ種類の言葉
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