熱重量分析
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/03/10 21:23 UTC 版)
ナビゲーションに移動 検索に移動TGAは、分解や酸化による重量減少または増加、あるいは揮発による重量減少(水分など)のいずれかを示す物質の特性を決定するために一般的に使用される。TGAの一般的な応用としては以下が挙げられる、(1)特徴的な分解パターンの分析による材料の特定、(2)分解機構および反応速度論の研究、(3)試料中の有機物の含有量の決定、(4)試料中の無機物(例えば灰分)の含有量の決定、 これらは予測した物質構造の裏付け、あるいは単に化学分析として使用される。 以上のTGAの応用は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、エラストマー、複合材、プラスチックフィルム、繊維、コーティング材および塗料を含む高分子材料の研究に特に有用な技術である。 以下では、TGA装置、その方法、および測定曲線の分析について論じる。 また、熱安定性、酸化および燃焼(これらはすべて、TGAの分析チャートで解釈できる)についても述べる。
分析装置
熱重量分析(TGA)では、重量変化、温度、温度変化の3つの測定を、高精度に行う必要がある。 したがって、TGA機器の基本的要件は、測定試料を載せたサンプルパンとプログラム可能な炉との精密なバランスである。 炉は一定の加熱速度、または一定の重量減少速度とする加熱のいずれかをプログラムすることができるようになっている。
一定の加熱速度のプログラムがより一般的ではあるが、一定の重量減少速度のプログラムは特定の反応速度を分析したい場合に用いられる。 一例として、ポリビニルブチラールの炭化の速度定数は、0.2重量%/分の質量減少速度での条件で見出される[2] 。炉がこのようにプログラミングされているにもかかわらず、温度を(さらに)正確な尺度で測定するために、測定試料は熱電対を備えた小型の電気加熱炉内に置かれ、その電圧をコンピュータのメモリに記憶された電圧温度対照表と比較している[3]。参照となる試料を、別のチャンバ内の別の天秤に置くこともできる。 試料チャンバ内は、酸化または他の望ましくない反応を防ぐために、加熱開始前に不活性ガスを充填することで酸素のような反応性に富む気体を追い出しておくこともある[4]。 水晶振動微量天秤法を用いた他の手法は、マイクログラムのオーダーでより少量の試料を測定するために考案された(汎用のTGAではミリグラムのオーダーである)。
測定方法とデータ
TGA装置は、サンプル重量を連続的に測定しながら、2000℃の温度まで加熱し、発生するガスを接続したFTIRや質量分析で解析することもなされる。温度が上昇するにつれて、試料のいろいろな成分が分解され、各質量変化の重量%が測定され得る。 その結果は、X軸に温度、Y軸に重量減少をプロットしたチャートで表される。 データはカーブスムージングしたあと、より詳細な解析のため、一次微分曲線をプロットし、その変曲点を決定することが多い。
熱重量曲線の分析
加熱後の生成物がすでに同定済みであれば、セラミック収率は灰分含有量の分析から求めることができる(以下の考察参照)。 その既知の生成物の重量を出発物質の初期量で割ることにより、すべての含有物の重量百分率を求めることができる。 出発物質の質量、および加熱により遊離する配位子、構造的欠陥、反応の副生成物のようなものを含めた総質量を知ることで、化学量論比がサンプル中の物質量%を計算するために使用される。熱重量分析の結果は、以下によって表される、(1)熱重量曲線と呼ばれる質量 対 温度(または時間)曲線、または(2)示差熱重量曲線と呼ばれる重量減少速度 対 温度曲線。単純な熱重量曲線には、これが全てというわけではないが、次の特徴がある:
- 水平部、または平坦域は試料の重量が一定であることを示す。
- 曲線部、曲線の勾配は重量減少を示す。
- がゼロではない最小となるところが変曲点である。
一見して分からないTGA曲線の特徴は、その曲線に一次微分曲線をプロットすることで、より明確に識別しやすくなる。 例えば、重量減少速度の変化は、TGA曲線に一次微分曲線をプロットすると、すぐに明らかとなる、この変化は微分曲線のピークの谷、肩、テーリングとして現れ、これらは2つの連続した、または重複した反応を示している。 また、TGA微分曲線は、示差熱分析(DTA)曲線とかなりの類似性を示し、容易に比較できる[1]。
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