棚 乗り物の棚

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/07 03:16 UTC 版)

乗り物の棚

鉄道車両バス船舶旅客機などの乗り物にも座席上部などに持ち込み手荷物用の棚が設置されている。

鉄道車両の棚は英語ではラゲッジ・ラック(: luggage rack)などと言う。古くは板で組まれた棚が用いられ、それが揺れても荷物が落下しないように網でつくった「網棚」に代わり、その後は不燃化の要求で金属製(ステンレス製のパイプや網)となり、さらにアルミ強化ガラス製のデザイン的に優れた棚も現れた。ロングシートと呼ばれる座席配置の車両では車体側面に片持ち式で取り付けられ、スタンションポール(つかみ棒)を経て座席袖に繋がっているものが多い。棚の脚部が手摺りを兼ねているとも言える。

航空機では、扉が無く寸法の小さなものをハットラック付きの大容量のものをオーバーヘッド・ビン(ズ)(Overhead bins)などと呼ぶ。

その他、雑学など

カラーボックス
棚の上を好むネコ
  • 置き棚は地震の際、人の上に倒れ人の命を奪う危険性がある。地震が多い日本では固定器具で固定することが推奨されている。(日本における地震対策と体制)。
  • 和美術の分類で棚などに配置することを目的として作られた作品を「棚物」という。たとえば「盆栽棚」がある(盆栽の項に複数棚の画像が見られる)。
  • 棚という語を用いた日本のことわざとして、「棚に上げる」、「棚から牡丹餅」などがある。
  • 棚の用途は融通がきく場合も多い。たとえば、本棚は本来は本を置くためのものであるが、実際には趣味の品を観賞するために並べておくという利用法もある。
  • 昔は棚がお金やへそくりを隠す場所に選ばれたという。落語の演目『水屋の富』には当たった富くじの大金をどこに隠すかについて戸棚にすべきか神棚に隠すべきか、などと悩むくだりがある。現在ではへそくりを隠す場所はアンケート調査の結果によると「個人の銀行口座」「引き出し」「タンス」などであり、棚は4位でしかなくわずか4%前後にすぎない[14]
  • 日本の棚に近いといえそうな、棚板と脚で構成されたものに、フランスでルイ16世のころから使われ始めたエタジェールという家具がある。英語ではホワットノット(What Not)。おもに骨とう品を飾る[15]
比喩
  • 蔓棚は、蔓が這って茂ってできる状態を「棚」に見立てたものである。
  • 地形を棚に見立てることもある。たとえば大陸棚棚田など。
  • 釣り用語で狙う魚の遊泳層(深さ)を棚(しばしば「タナ」と表記)という。仕掛けを棚に調整することをタナ取り(またはタナ合わせ)という。
日本古代の「棚」と呼ばれた建造物

当記事の棚とは全然別概念であるが、8世紀の『万葉集』巻10・2029番にも記される「織姫(たなばたつめ=はたおりひめ・おりひめ)」は、「棚機津女」とも記すが、その由来は、水辺に掛け造りした棚の上で、聖なる来訪者=神(孫星)を待ってを織っている婦人からきたという説がある[16]

この「棚」が実際はどのようなものであったかについては諸説ありはっきりしないが、「棚状の建物」(巨棚)の上で神の嫁となる神聖な女性が神が訪れるのを待つ「水神の祭り」が源流であったとする説もある[17]。『古事記』に記載される足一騰宮(東征以前の神武帝をむかえるために築かれた宮)の構造についても、『古事記伝』の解釈に従うなら、棚に似た形式であり、ウサツヒコがこの宮=巨棚を建てたのは、神を祀る形式ということになる[18]。古代日本では、海・河・池などの水辺に「棚造り」の建物を築いていたと想定される[19]

脚注


  1. ^ a b 広辞苑第六版【棚】
  2. ^ [1]
  3. ^ 精選版日本国語大辞典
  4. ^ 棚 ontech
  5. ^ 『日本大百科全書』【棚】
  6. ^ 『新訂 総合国語便覧』 第一学習社 ISBN 4-8040-3301-7 p.25.p.24に写真あり。
  7. ^ 特に承久の乱で、天皇勢力が(自分の実力を見誤り過大評価し)武家勢力に対して余計な文句をつけたことが裏目に出て、武力衝突する事態に陥り、天皇側が惨敗・完敗し、「首謀者」後鳥羽上皇は罪人として流罪の刑に処され、その結果、日本全土の人々にあまねく、本当はどちらの勢力が強いか、本当はどちらが実質的な日本の支配者なのかはっきり知られてしまう結果になり、以降、武家政権が日本の支配権を握ることになった。
  8. ^ NHK系列番組 『美の壺』を一部参考
  9. ^ 鈴木旭著 『面白いほどよくわかる 戦国史』 日本文芸社 2004年 p.49.
  10. ^ 同鈴木旭著 p.73
  11. ^ 同鈴木旭著 p.73より。
  12. ^ 鈴木旭著 『面白いほどよくわかる 戦国史』 日本文芸社 2004年 p.73
  13. ^ 『広辞苑 第六版』岩波書店、【冠棚】
  14. ^ 「内緒のへそくりどう作る?どこに隠す?気になる夫婦のお財布事情」
  15. ^ 渡辺優『室内学入門』建築資料研究社、1995、76頁。 
  16. ^ 参考・川口謙二著 『続 神々の系図』 東京美術 初版第8刷1996年(1刷1980年) ISBN 4-8087-0062-X p.143.
  17. ^ 倉林正次 『祭りの構造 饗宴と神事』 NHKブックス 1975年 p.29.
  18. ^ 同『祭りの構造』 p.30
  19. ^ 同『祭りの構造』 pp.28 - 29






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